2017.09.13

【ゴールボール】[日本ゴールボール選手権大会男子一次予選大会] チーム附属AがAmaryllisの追い上げを振り切り、貫禄の1位通過

11月に東京・足立区で開催される「日本ゴールボール選手権大会」の出場権をかけた「男子一次予選大会」が9月9 日から2日間にわたり、千葉県印西市の松山下公園総合体育館で行われた。全国から参加した7チームによる予選リーグと順位決定リーグの結果、上位5チームが出場権を獲得。このあと10月に行われる二次予選会で選出される3チームと合わせ、全8チームで日本一を争う予定となっている。

強豪チームが激突


チーム附属Aの(左から)川嶋、小林、信澤

今大会は変則的なリーグ戦で行われ、ともに予選リーグを全勝で勝ち上がったチーム附属AとAmaryllisが対戦した順位決定リーグの最終試合が実質的な1位決定戦となった。両チームとも日本代表でも活躍する選手を多数擁し、昨年の日本選手権大会の決勝でも顔を合わせている強豪同士だ。

試合は序盤から一進一退の緊張感あふれる展開となったが、前半を2対1とリードして折り返したチーム附属Aが、後半に入りギアを上げた。日本代表チームでも活躍する信澤用秀が迫力あるバウンドボールやペナルティスローなどで3点を追加して5対1と突き放す。Amaryllisは終盤、今季、他チームから移籍した伊藤雅敏が長身を生かした力強いボールで1点を返すも、チーム附属Aの小林裕史がダメ押しの1点を挙げ試合終了。チーム附属Aが総合力の高さを見せつけ、Amaryllisを6対2で下した。



チーム附属Aの信澤は、守備で貢献した小林の活躍を勝因として挙げた。攻撃力で勝るAmaryllisの伊藤や辻村真貴の大量得点を封じることができ、逆に4点差はつけたものの実感としては、「守って勝った試合」と振り返った。信澤、小林、川嶋悠太という主力3人が日本ゴールボール協会の2017年日本代表強化指定選手に名を連ねる、チーム附属Aは、「負けることは許されないチーム」(信澤)であり、1位で選手権に駒を進めたことに信澤は安堵の表情を見せた。

「チーム附属」は筑波大学附属視覚特別支援学校の卒業生らで構成され、「TEAM FUZOKU」という女子チームもある。今年の日本選手権では、「男女アベックでの3連覇」を目指しており、達成すれば快挙だ。信澤は、「こんなチャンスはそうそうない。女子の強化にも協力して、目標を達成したい」と意気込んだ。


日本選手権で初優勝を目指すAmaryllis(右が辻村)

一方、敗れたAmaryllisの辻村はチーム附属Aの堅い守備の前に、「(持ち味である攻撃力)出し切れずに終わってしまった。決めきる投球ができなかったことが敗因」と悔しさをにじませた。

とはいえ、設立3年目に入り、選手間の心のつながりも十分強まり、また伊藤の加入によって攻撃のバリエーションが広がり、守備も安定したという。「日本選手権については、いいイメージしかない。こちらから仕掛ける攻撃をし、動いて動いて相手をかく乱する、押し切る戦いがしたい」と初優勝に向け、攻撃型チームの本領発揮を誓った。



上位決定リーグでチーム附属Aに2対7 で敗れ、3位となったYMS2の橋詰伸明は、「実力差を考え、前半は3点差以内で食らいつくことを目指した」と言うが、その前半は0対5と大差をつけられた。だが、課題を修正して臨んだ後半だけを見れば、2対2の互角。「負けはしたが、次につながる戦いができた」と前を向く。一昨年、昨年と3位に甘んじている日本選手権では、「うちはメンバー3人全員に得点力がある。課題の守備を強化し、コントロールの利いた攻撃をしたい」と“準決勝の壁”突破を目指す。

個人敢闘賞には、5位で出場権を獲得した国リハMen’sチーム雷の山口凌河が選ばれた。各試合で得点を重ねた攻撃力に加え、積極的に声を出し、チームをリードした点が評価された。

山口は今季、所属チームの解散に伴い、以前から練習拠点だった国リハMen’sチーム雷に移籍した。「バウンドボールとグラウンダーのコンビネーションで点を取ることと、ペナルティスローを確実にものにすることを練習してきた。今大会でその成果が感じられた」と手応えを口にした。日本代表チームでも活躍する山口はまだ20歳。さらなる飛躍が期待される。

なお、1位はチーム附属A、2位はAmaryllis、3位はYMS2、4位はスーパーモンキーズ、5位は国リハMen’sチーム雷(以上、日本ゴールボール選手権出場権獲得チーム)、6位はNBS、7位はローラー作戦だった。

出場チーム数減に危機感

日本ゴールボール協会の樫尚史専務理事によれば、日本選手権大会に向けて一次予選会と二次予選会が設けられたのは2013年から。日本一を決める選手権大会は国際基準の大会であるべきで、予選会もそれに適した形が必要であるという理由で採用されたという。一次予選会の出場チーム数は13年、14年が9チームで、15年、16年には10チームに増えたが、今年は一転、7チームに減った。

大会はチームの実力試しの場であり、多くのチームによる切磋琢磨が競技力の底上げにもつながる。樫氏は、チーム数減少は同協会としても「憂慮すべきこと」として、大会運営のあり方とチーム数の充足を今後の課題としたいと話した。一方で、メンバー増員は地域の課題でもあり、各チームに一層の努力も求めた。

参加チームの減少について、信澤は「仕事と競技の両立で日程が合わないこともあり、仕方のない側面もある」としつつ、地区予選会をこれまで未開催の地域で行い、選手発掘につなげる案を挙げた。また、辻村や橋詰は、日本選手権はもちろん、予選会のレベルが年々高まっている分、競技歴が浅いチームの参加が難しいのでは、と指摘。より多くのチームが参戦しやすい大会の新設や体験会の実施などゴールボールの底辺を広げる取り組みの必要性も示した。

例えば、晴眼者への働きかけも一案だろう。国内大会では晴眼者も参加でき、その人数にも制限はない。過去には男女とも晴眼者だけのチームが優勝したこともあるという。樫専務理事は、「多くのチームに挑んでほしい」と呼びかけている。


text&photo by Kyoko Hoshino
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