2017.12.06

【卓球】[FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会]髙橋利也が2年ぶり2度目&伊藤槙紀が最多の7回V!

12月2、3日の2日間、神奈川県横浜市・平沼記念体育館で「FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会」が行われ、30都道府県から男女合計145人が集まり、熱戦を繰り広げた。
今大会は男女各2リーグがあり、チャンピオンリーグでは6月のチャンピオンシップ大会で上位に入った12名、女子8名が総当たり戦を行った。誰でも参加できるオープンリーグでは6人から7人による予選リーグ戦を経て、1、2位が決勝トーナメントに進出し、優勝を目指した。

三つ巴の戦いを制した高橋利也が王者に返り咲き

男子チャンピオンリーグは1日目を終えて、8月のアジア大会に出場した3人による三つ巴の様相を呈した。

6月のチャンピオンシップ大会優勝の加藤耕也(世界ランキング9位)、リオパラリンピック日本代表の竹守彪(同9位)、そして今回優勝した高橋利也(同13位)は、それぞれ1993年生まれの24歳。アジア大会の団体戦で金メダルを獲得した仲間でもある。そんな3人のうち、もっとも戦況が悪かった高橋が逆転で2年ぶり2度目の優勝を成し遂げた。


環境の変化を力にした高橋

その高橋だが、1日目はつまずいた。加藤、竹守が6戦全勝で折り返したのに対し、高橋は第3戦で所属が同じ日立SC所属の宮内良(同11位)に土をつけられた。しかし高橋が優勝への思いをしぼませることはなかったという。「宮内君とは練習でも勝ったり負けたりなので仕方ない。がっかりしたけど、試合は何が起こるかわからないので、優勝はあきらめていませんでした」と、2日目の加藤、竹守戦にしっかり備えた。

大会2日目、そんな高橋が意地を見せたのが、加藤との第9戦だ。最終5ゲームで9-10から7度のマッチポイントをしのいで勝利。さらに竹守との第10戦でも最終ゲームでマッチポイントを奪われてから劣勢をひっくり返し、15-13で勝利を収めた。



高橋が厳しい連戦を勝ち抜いたことで3人は9勝1敗に並んだ。そして迎えた最終試合の第11戦、高橋が永松巧にストレート勝ちを収めると、加藤VS竹守の勝敗を待たず、高橋の優勝が決まった。

「信じられないです。この1年はいろいろなことがありました」(高橋)

実は所属している日立SCの支援により、東京パラリンピックを目指し、昨年から毎日、練習に専念できるようになった。練習拠点は、松島輝空ら話題の日本一のジュニアを抱える京都の田阪卓研。ここで松島卓司コーチは「かなりガミガミ言ったので泣いていることもありましたね。競ると勝ち切れない弱さがあったので、かなり追い込みました」と打ち明ける。

さらに初心者用のラバーに愛着があった高橋だが、チャンピオンシップ大会で4位に留まり、「それでは絶対にこれ以上、上に行けない」という松島コーチの厳しい説得でラバー変更にも踏み切った。
高橋は「最初は不安でしたが、飛ぶラバーに変えて押されないようになり、レシーブを生かせるようになったと思います」と語る。

今回、大きな山場をフルゲームの延長戦で勝てたことは、様々な自己改革に努めた高橋の勇気のたまものだった。もちろん、高橋の夢は東京パラリンピックでの活躍だ。
「来年の目標は世界選手権で優勝すること。もちろん東京パラリンピックにも出たいです。今回の結果は自信になりました」

ここ2年、加藤や竹守にリードを許していた高橋。しかし、多くの支援を生かしたことで返り咲き、今後の可能性をアピールした。

リオ代表の伊藤が女子チャンピオンリーグで4年ぶり7度目V

女子はリオパラリンピック日本代表のベテラン伊藤槙紀(同9位)が4年ぶりに頂点に立った。今年33歳になった伊藤は、7戦全勝の文句なしのV。コツコツと積み重ねてきた努力が破壊力のある若手選手の勢いを止めた。

今回の優勝筆頭候補は、チャンピオンシップ大会の覇者・美遠さゆり(同7位)だった。このほか8月のアジア選手権を制し、勢いのある古川佳奈美(同11位)、ミスが少なく手堅い櫨山七菜子(同12位)といったライバルもいる。20歳から23歳の若手選手たちだ。

ここ数年、伊藤はこの選手たちに白星を譲ることが多かった。粒高の特殊ラバーを使いこなし、変則的な返球が伊藤の武器だが、海外では通用するものの、手の内をよく知られている国内では勝ち切れないことが増えていた。とくに弱点であるフォア側を狙われ、敗れるのがお決まりのパターンだったという。今回はこの欠点を克服して臨んだ。

その努力の跡がにじんでいたのが2日目、最大の山場である美遠との第4戦だ。美遠からフォアを狙われながらも切り返し、最終ゲーム11-9で38分の激闘を終わらせた。第5戦でも難敵は続き、対戦相手は古川。この試合もやはりフォアを狙われたが、2ゲームをとられたあと、3ゲームを連取して乗り越えた。この2連戦で勢いを得た伊藤は、最終戦の櫨山戦は危なげなくストレート勝ちし、4年ぶりの優勝を決めた。


若手の勢いを止めたベテランの伊藤

「フォアに球が来ると焦りましたが、頑張って取りました」と伊藤。

昨年10月から伊藤の指導にあたる黄木道弘監督は、「これまでフォアは入れるだけだったんですが、コース取りのことなども教え集中的に練習してきました」と明かす。

東京パラリンピックについては、「よくわからない。出るのはとても大変」と言いながらも、伊藤は「これからも頑張る」と前進を誓っている。今大会で7回目、チャンピオンシップ大会では9回優勝し、第一人者としてFID大会を引っ張ってきた伊藤の挑戦はこれからも続きそうだ。



オープン大会で高校生の浅野俊が優勝、芹澤瑠菜が2位

これまで存在が知られていなかった若手が飛び出てくることの多いオープン大会で、今年は高校1年生が上位に進出し、男子は浅野俊が優勝、女子は芹澤瑠菜が準優勝した。

ただし、浅野はすでに無名ではない。昨年のチャンピオンリーグでは中学生にして3位。今回も10戦すべてストレート勝ちの勝利だった。長崎の名門校・瓊浦高校で寮生活を送り、インターハイ県予選シングルス16強、全日本ジュニア県予選ダブルス3位の好成績を残している。6月のチャンピオンシップ大会は県大会の日程が重なり、チャンピオンリーグへの出場資格はなかったが、出ていれば、優勝争いに加わってもおかしくない存在だった。
「土日は12時間以上、平日は毎日5時間練習しています」と言う浅野は、東京パラリンピックを目指してほしい逸材だ。

また、女子2位だった芹澤は予選リーグで日本代表の川﨑歩実(同17位)を下し予選リーグを1位で通過した。決勝トーナメント決勝でふたたび当たった川崎に敗れ、準優勝だったが、将来性を示したひとりだ。
「予選リーグで川崎さんに勝ったあと、『強い人なんだよ』と聞いてびっくり。決勝戦は疲れて全然ダメでしたけど楽しくやれました。また今回、『東京パラリンピックに挑戦してみたら』と言われて驚いています」(芹澤)

今後はINAS(国際知的障害者スポーツ連盟)の選手資格認定の申請を積極的に検討していくという。

なお、東京パラリンピックの卓球クラス11の選手枠は男子12名、女子8名で仮決定されており、その枠は、2018年の世界選手権と2019年の5大陸大会の優勝者などで埋められる。そのため、今大会は世界を転戦するために日本代表に選ばれたいという選手の気持ちの強さが目立った大会でもあった。2018年度の日本代表は1月に決定される予定だ。


オープン大会で活躍した芹澤


表彰を受けた上位選手たち


※世界ランキングは12月1日付け。加藤と竹守はともに9位



text&photos by Yoshimi Suzuki
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