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Sports /競技を知る
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車いすバスケットボール男子日本代表がネイションズカップで優勝! 世界選手権への大きなステップ

7月9日と10日、墨田区総合体育館(ひがしんアリーナ)で行われた車いすバスケットボールのネイションズカップ。男子における有観客の国際大会は、国内で2019年以来の開催となる。京谷和幸ヘッドコーチ(HC)の強い要望があり、強豪を迎えて開催に至ったという本大会は、日本がトルコに2勝、イギリスに1勝1敗の成績を収め、通算3勝1敗で優勝を飾った。「3ヵ国の国際大会とはいえ優勝っていうのはやっぱり気持ちいい」と京谷HCが語れば、「ずっと結果が出てない状況だったので本当によかった」と東京2020パラリンピック銀メダルメンバーの髙柗義伸も安堵の表情を見せる。世界の舞台で返り咲きを目指すチームは、2ヵ月後の世界選手権と同じ12人のメンバーで自信を手にした。
日本代表の現在地
男子日本代表は、2024年1月のアジアオセアニアチャンピオンシップス(AOC)で4位に終わり、パリ2024パラリンピックへの出場権を逃すという辛酸をなめた。あれから2年半。大舞台への切符を失ったチームは今、銀メダルを獲得した東京大会以来、5年ぶりの大きな舞台である世界選手権(カナダ・オタワ)に向けて準備に励んでいる。
指揮を執る京谷HCのもと、日本が目指すのは東京大会から一貫しているトランジションバスケだ。しかし、2025年11月のAOCで「世界に通用しない部分」を痛感したという。そこで、スピードだけに頼らず、オフェンスにメリハリを生むために着手したのが、これまでの大きな課題であった「ハーフコートオフェンス」の構築だった。
キャプテンの川原凜(1.5)は、日本代表の課題をこう振り返る。
「強いディフェンスから素早いトランジションに持っていくプレーは、(2025年の)AOCオーストラリア戦で敗れたときも機能していた。課題は、速い展開でボールを運べなかったり、シュートまで持ち込めなかったりした場面。一度落ち着かせて、5対5のハーフコートから相手を崩し始める必要があるが、これまではその成功率がどうしても低かった。海外勢の高さや手の長さを警戒しつつ、いかに自分たちのスペースを作ってシュートまで持っていくか。世界選手権に向けて徹底的に対策を重ねてきました」
若手選手の「個」の成長
今大会では、そのハーフコートオフェンスのクオリティアップが随所に見られた。たとえば、相手のマークを引きつける「おとり」として鳥海連志(2.5)と髙柗(4.0)が仕掛け、逆サイドからフリーになった秋田啓(3.5)が得点を狙う2on2の戦術。秋田を休ませる場面では、抜群の安定感を誇るベテランの香西宏昭(3.5)を投入したり、アウトサイドシュートが強みの村上直広(3.0)を起用するなど、最終戦のトルコ戦では序盤のリードを活かして様々なラインナップをテストする余裕も見せた。
この日本の進化を支えているのが、選手個人のレベルアップだ。昨シーズン、トランジションバスケットの要である鳥海、髙柗、赤石竜我(2.5)らは海外リーグへと渡り、屈強な海外選手とのコンタクトプレーを通じて個の力を磨いた。
スペインでプレーした鳥海は「スペインリーグで学んだことをコートで表現できたのは自信になった。チームメートのフィリップジェームズ・プラット(イギリス代表/今大会は不在)から、ディフェンスとの間合い、ポジショニング、フェイクのかけ方やテンポ感を盗み、周りを活かす動きにつなげられた」と手応えを語る。
さらに新戦力の台頭も光る。鳥海や赤石と同じ障がいクラスの古崎倫太朗(2.5)だ。持ち前のシュート力を買われて代表入りした古崎に対し、京谷HCも「(最後の)トルコ戦では、シュートは入らなかったが、シュートからパスへ瞬時に切り替えるなど、非常に高いバスケIQを見せてくれた」と評価。本人は「時間を使いながら味方にパスをつなぐプレーは見せられた。世界選手権に向けてしっかり準備していく」と語る。
イギリス代表のキャプテン、グレッグ・ウォーバートン(2.0)が「日本には素晴らしい選手が本当に多い」と称賛するほど、現在の日本は選手層の厚みを増している。
ロサンゼルスを見据えて世界選手権へ
選手・スタッフが「相当な強さ」と口を揃えるイギリスに対しても、最終日は見事な勝利を収めた。その試合では古澤拓也(3.0)が効果的な3ポイントシュートで流れを引き寄せ、香西や藤本怜央(4.5)らベテランが確実に加点。若手とベテランが見事に融合した日本代表の強さを証明してみせた。
大会前のトレーニングマッチを含め、計8試合の実戦を重ねた日本。大会後、ハーフコートオフェンスの達成度を問われた京谷HCは「6割から7割くらい。これはロサンゼルスパラリンピックまでの継続的な課題」と冷静に語った。
ロサンゼルス大会につながる世界選手権のチームの目標は、トップ5以上に食い込むこと。「世界選手権もまた、ロサンゼルスへの通過点に過ぎない。その先を見据えて、しっかりとチームを作っていきたい」。本格的にいばらの道へと進む指揮官は、優勝の余韻もそこそこに、視線をすでに2年後へと向けていた。
text by Asuka Senaga
photo by JWBF/X-1