[日本車椅子バスケットボール選手権大会]打倒・宮城MAXに燃える強豪揃いの日本一決定戦、5月3日に開幕

2017.04.20.THU 公開

車椅子バスケットボールの国内最高峰の大会「内閣総理大臣杯争奪日本車椅子バスケットボール選手権大会」が、東京体育館を舞台に、5月3日から5日の3日間にわたって開催される。今年は例年以上に群雄割拠の様相を呈しており、数多くの熱戦が繰り広げられることが予想される。また、女子選手が初めて出場可能となった大会としても注目されている。果たして、日本一の座を獲得するのはどのチームか。

9連覇の可能性十分の宮城MAX

史上初の9連覇という偉業達成を目指すのは、東北の雄・宮城MAXだ。これまで絶対王者として日本車椅子バスケット界に君臨してきた。しかし、2015年まで長きにわたって日本代表としてプレーし、前回大会ではベスト5に選出された佐藤聡が、昨年限りで現役を引退。現在はチームのアシスタントコーチを務め、指導者の道を歩み始めた。主力のひとりとして活躍してきた彼が外れた影響は決して小さくはない。

それでも、今年も優勝候補の一角であることは間違いない。日本を代表する2人のプレーヤーが海外での戦いを終え、既にチームに合流しているからだ。ドイツのブンデスリーガで世界のトップ選手たちと鎬を削る中で、いずれも主力としてチームに貢献した藤本怜央と豊島英である。

彼らが宮城MAXの一員としてプレーするのは約1年ぶりだが、チームにはこれまで共に戦い、築き上げてきたものがある。互いへの信頼に揺るぎはなく、フィットさせるのにそう時間は要しないはずだ。どれほど厳しいマークの中でもペイントエリア内ではシュートを決めてみせる藤本の得点力、そして豊島のスピードとキレのある動きは、ドイツの地で確実にレベルアップしている。それだけに、彼らが合流した宮城MAXは間違いなく強い。9連覇への可能性は十分にある。

絶対的な高さと強さをもった藤本に死角なし
ドイツで磨かれた豊島のスピードに注目だ

若手とベテランの融合でチーム力アップのNO EXCUSE

その宮城MAXにとって、最大のライバルとなることが予想されるのがNO EXCUSE(東京)だ。昨年までチームを率いた及川晋平・現男子日本代表ヘッドコーチから、中井健豪・新ヘッドコーチに指揮官が代わったものの、チームの方針にブレはなく、今、最も成長を感じる。

従来のNO EXCUSEは、レギュラーにベテランが多く、「世代交代」が課題のひとつとなっていた。そこに台頭してきたのが、湯浅剛、森谷幸生、池田貴啓の3人だ。2013年からスタメンを張り、今やキャプテンとしてチームを牽引する湯浅に続いて、昨年、池田がチームに復帰し、森谷が加入した。いずれもこの1年での成長は著しく、チームには欠かすことのできない存在となっている。

ゲームメーカーの役割を担う湯浅だが、今年はこれまで以上にシュートシーンが増えており、得点力が上がっている。一方、ハイポインターである森谷と池田も、積極的にゴールを狙う姿が見受けられ、それぞれの強さを発揮している。チームからの信頼度、戦力としての貢献度は、昨年とは比較にならないほどアップしている。

そんな3人の成長が、そのままチーム力につながっており、若手とベテランがうまく融合し、層の厚いチームへとなりつつある。そこに選手権では、大学時代から海外を拠点にプレーし、高いスキルを持つ香西宏昭が加わる。さらなるチーム力アップは、間違いない。

昨年は、準決勝で宮城MAX相手に、前半は33-33の同点という接戦を繰り広げた。結果的に敗れはしたものの、その差は6点。今年のNO EXCUSEは、宮城MAXにとって昨年以上に手強い相手となるに違いない。トーナメントの山が分かれた両チームが顔を合わせるのは「決勝」の舞台だ。

香西は前回大会4試合で19本のスリーポイントを決めた
初優勝を狙うNO EXCUSEキャプテンの湯浅

優勝候補と将来有望の若手がズラリと並ぶ

優勝候補は、宮城MAX、NO EXCUSEだけではない。リオパラリンピック日本代表の土子大輔と千脇貢を中心に高さのある選手が多く揃い、今年も安定した強さを誇る千葉ホークス。トランジションの速さを武器に3月の長谷川杯では3連覇を達成し、スタメン全員が日本代表強化指定選手の埼玉ライオンズ。ライオンズとは対照的にじっくりと時間をかけてシュートチャンスを作り出し、ベンチには大黒柱の大島朋彦が控えるワールドBBC(愛知)など、強豪チームがズラリと並ぶ。

正確なシュートが持ち味の土子が千葉ホークスを牽引する
埼玉ライオンズは日本代表強化指定選手が
数多く在籍するタレントチーム

また、成長著しい若手のプレーも見どころのひとつだ。特に注目したいのは、今年6月のU23世界選手権で活躍が期待されている選手たち。現在日本代表候補でもあり、U23ではキャプテンを務める古澤拓也(パラ神奈川スポーツクラブ)は、巧みなボールハンドリングとスリーポイントを武器としている。攻守の要である彼のプレーが、チームを左右することは間違いない。一方、昨年のリオパラリンピックにチーム最年少として出場した鳥海連志は、今年4月に日本体育大学に進学したため、地元の佐世保WBCでは最後の出場となる。世界でもトップレベルのスピードに加えて、どれだけシュート力に磨きがかかったかに注目したい。車椅子バスケットを始めて1年ながら、運動能力の高さを見せ、凄まじいスピードで成長しているのが現役高校生の高松義伸(栃木レイカーズ)だ。彼にとっては今大会が初めて挑む「日本一の座」をかけた戦い。失敗を恐れず思い切りのいいプレーを期待したい。

さらに、今年から出場が可能となった女子にも注目したい。日本代表のキャプテン藤井郁美や、成長著しい萩野真世(いずれも宮城MAX)、ベテランの大島美香(ワールドBBC)など、女子では国内トップレベルの選手たちが、どんなプレーを見せるのか楽しみだ。

果たして、今年の「日本一決定戦」はどんな展開となるのか。宮城MAXの黄金時代は続くのか、それとも阻止され新時代が幕を開けるのか——。5月3日、熱戦の幕が切って落とされる。

ベテラン選手が多いパラ神奈川SCを若い古澤がチームを引っ張る
宮城MAXの藤井郁(写真右)と萩野(左)が女子選手で初めて賜杯を抱くか

text by Hisako Saito
photo by X-1

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