熱気が渦巻いた「東京パラリンピック開幕に向けた3年前イベント」。千葉埼玉でもカウントダウン

2017.08.28.MON 公開

全国的に気温の高かった8月25日。東京パラリンピック開幕まであと3年を迎え、各地でカウントダウンイベントが開催された。熱気が充満したそれぞれの会場の様子をレポートする。

クイズやデモンストレーションで盛り上がった東京

東京出身のパワーリフティング三浦(前列)らが盛り上げた photo by TEAM A

東京では、「あと3年で開幕!!! 東京2020パラリンピックカウントダウンイベント~みんなのTokyo2020 3years to GO!」が車いすバスケットボールやカヌーなどの会場となる江東区のアーバンドックららぽーと豊洲で開催された。

買い物客などでにぎわった会場は開始10分前には満席に。イベントは小池百合子東京都知事らが挨拶したほか、会場に取り付けられた大型モニターでは国際パラリンピック委員会のフィリップ・クレイヴァン会長から届いた東京大会に向ける期待を込めたメッセージも流された。

リオパラリンピック日本代表で最も活躍した水泳のメダリスト木村敬一、陸上4×100リレーで銅メダルを獲得した芦田創らアスリートも登壇。5人制サッカーのデモンストレーションの後、パラリンピックや選手について知ることができるクイズを行い、観客も一体になって盛り上がった。

フラッグの到着、トークショー、パラスポーツ体験……多くの人が楽しんだ埼玉

同日、埼玉では埼玉県総合リハビリテーションセンターの体育館にて「埼玉でも開催 みんなで応援しよう!東京2020パラリンピック」が行われた。駅からは離れた場所が会場だったが、多くの人が足を運び、会場は人で溢れかえる盛況ぶり。パラアスリートのトークショーのほか、パラスポーツ体験や東京五輪音頭-2020-振付練習会も行われた。

はじめに今年4月に行われた最終選考会で選出された「彩の国パラ育成強化アスリート」の認定式が行われ、その後、埼玉県を巡回中のオリンピック・パラリンピックフラッグが会場に到着。フラッグ歓迎式の後、来場者も含め記念撮影が行われた。

会場内に設けられたパラスポーツ体験コーナーは全部で4つ。競技用車いすの試乗とミニフリースロー、車いすバスケットボール、ボッチャ、ビームライフル射撃の体験が行われた。

東京大会では射撃が同県で実施されるが、ビームライフル射撃体験コーナーはこの日一番の行列をつくった。

実際の競技を行う環境とできる限り同じ環境が再現されており、本格的なビームライフル射撃が体験できるとあって大盛況だった。

ボッチャの人気の高さにも驚かされた。参加者の女の子は「ボッチャは以前、ショッピングセンターでのイベントでも体験したことがあるので、今日は2回目の体験でしたが、前回とはボールの硬さや転がり方が全然違かった」と語ってくれた。各地でパラリンピック競技体験の機会が増えており、一般の人たちの競技に対する知識量も増えてきていることを感じさせた。

パラリンピアンの遠藤(右から2番目)らがトークショー
会場ではパラスポーツ体験もできた

メインステージでは、2000年シドニーパラリンピックの男子車いすバスケットボール日本代表キャプテンで日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)のあすチャレ!ディレクター根木慎志と、埼玉県出身の若手アスリートによるトークショーが開催された。

2010年バンクーバーパラリンピックのアイススレッジホッケー(パラアイスホッケー)日本代表チームキャプテンで銀メダル獲得に貢献した遠藤隆行さんも登壇し、若手選手からも質問を受け、「パラリンピックのあの空気感を知っているので、今からワクワクドキドキしている。お客さんがお金を払って観に来てくれる。その会場の中心に自分がいると思うと、自分の場合は士気が上がった」とコメントした。

根木は自身がパラリンピックに出場した当時について「自分は日本代表になるまでに16年かかった。だから日本代表になれた時は、最高!という気持ちだった。キャプテンというプレッシャーもあったがその舞台に行けたことが嬉しかった。また、皆が応援してくれるとこんなに頑張れるんだ、ということを実感した」と語った。

トークショーの後、彩の国パラ育成強化アスリートに認定された卓球の金野駿は「こうしたイベントへの参加は今回が初めてだったので緊張した」と話し、今回のイベント参加について「地元の方に応援してもらえることは嬉しい。モチベーションにつながる。埼玉県の代表から日本の代表にならないと!」と気持ちを引き締めていた。

イベントには、会場となったリハビリテーションセンターの利用者や地元の小中学校、特別支援学校生徒のほか、中学校のバスケットボール部員など様々な人たちが集った。スポーツ通じて皆が会場の一体感を作っていることが印象的だった。

パラアスリートと全盲のシンガーが登場した千葉

森田知事や熊谷千葉市長らが出席した式典

東京大会ではゴールボールやシッティングバレーの会場になる千葉では、海浜幕張駅前で「ALLCHIBAで盛り上がろう!~みんなのTOKYO 2020 3 Years to Go!~」が開催された。パラ駅伝inTOKYOやパラフェス2016に出演した全盲のシンガー木下航志がオープニングに登場。快晴に響き渡る歌声の美しさに道行く人々がその足を止めた。

その後、森田健作千葉県知事をはじめ、トライアスロンでリオパラリンピックに出場した千葉出身の秦由加子、陸上車いすクラスのホープ鈴木朋樹、2020年の東京大会で新競技となるバドミントンの人気選手・豊田まみ子らパラアスリートがオリンピアンと並びステージへ。東京パラリンピック開幕までの日数を示すカウントダウンカレンダーの除幕式が行われ、大きな拍手が沸き起こった。

イベントでは、東京大会で幕張メッセが競技会場となるテコンドーなどのデモンストレーションが行われ、元マラソン選手でオリンピアンの千葉真子さんが気合いのかけ声とともに見事な蹴りを披露する一幕も。

また会場には千葉で開催される競技に関して、体験イベントの紹介や展示も行われていた。

最後に、全国屈指の実力を持つ幕張総合高校合唱部が登場。木下航志も再び登壇し、ジャズ風にアレンジした木下のピアノに合わせて、高校生と一緒に『上を向いて歩こう』を大合唱。灼熱の暑さにも負けず、集まった多くの観衆を魅了した。

全盲のシンガー木下が観客を酔わせた
千葉県が誇る幕張総合高校合唱部の皆さん

text&photo by Parsapo

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