パラスポーツの競技用具に詳しくなろう! 【パラサポ新聞】10号×【パラサポWEB】

パラサポ新聞10号のパラスポーツの競技用具
2025.12.30.TUE 公開

いろいろなパラスポーツで選手が使う競技用具を並べてみたよ!パラスポーツ専用の用具もあるし、普段みんなが使っているラケットやボールもあるみたいだね。

視覚に障がいのある選手がプレーするブラインドフットボール(ブラインドサッカー)のボールとアイマスク

ボールが見えない状態でボールの位置や転がりを知るための工夫が、転がるとシャカシャカと音が鳴るボール。フットサルで使用するボールと同じ大きさで、ボールの中に鉛の粒が入った金属のプレートが貼り付けられている。

4人のフィールドプレーヤーは、光を感じるくらいから、全く感じない全盲まで視覚障がいの程度に差があるため、全員が公平な条件になるよう、アイマスクを着用。さらにアイマスクの下にアイパッチを貼り、視覚を完全に遮断しプレーする。

もっとくわしく▶ブラインドフットボール(ブラインドサッカー)とは?


視覚に障がいのある選手がプレーするゴールボールのボールとアイマスク

ゴールボールのボールの中には鈴が入っていて、音が鳴る。この鈴の音を頼りに、選手はボールがどこにあるのかを把握している。 ボールの直径は約24cm、周囲は約75.5cm。バスケットボールの7号球とほぼ同じ大きさだが、重さは約1.25kgとバスケットボールの約2倍。

選手全員が使用するのがアイシェード(目隠し)。選手により、全盲や弱視など障がいの程度には差があるが、これを付けることで、全員が同じく、全く見えない状態でプレーする。 アイシェードの下にはアイパッチを貼り、アイシェードがずれても見ることができないようにしている。

もっとくわしく▶ゴールボールとは?


冬季から夏季まで~スノーボードや陸上競技などの義足

スノーボードで下肢を切断している選手が使用する義足は、義足と脚をつなぐソケット、膝継手部分、足部からなる。スノーボードでは膝の曲げ伸ばしがポイントとなり、膝継手部分には2つのシリンダーがあって、曲げるときには空圧、伸すときには油圧の抵抗の力で屈伸運動を再現するなど最先端の技術が使われている。スキー競技でもこの義足が使われている。

陸上競技のトラック種目で選手が付ける義足は、義足と脚をつなぐソケット、膝関節の役割を果たす膝継手、足部からなるのはスノボードの義足と同じ。特徴は地面を蹴る足部。板バネとも言われる、丈夫で軽く弾力性もあるカーボン素材が使われている。

もっとくわしく▶スノーボードとは?

もっとくわしく▶陸上競技とは?


車いすラグビーの競技用車いすとボール

車いすラグビーの競技用車いすは「ラグ車」とも呼ばれる。タイヤはハの字で回転性や機敏性があり、タイヤにはスポークカバーが付いていて頑丈な作りになっている。車いすは攻撃型と守備型の2種類があり、攻撃型の車いすは全体的にコンパクトで、細かいターンや動きができるようになっている。守備型の車いすは前に突き出したバンパーが特徴で、相手選手の動きを止めるのに適している。

ボールは一般のラグビーのような楕円形ではなく、バレーボールの5号球をもとにした車いすラグビー専用の丸いボールを使っている。

もっとくわしく▶車いすラグビーとは?


車いすバスケットボールの競技用車いすとボール

車いすバスケットボールで使用する競技用車いすは、タイヤが「ハの字」になっている。このタイヤの傾きの角度をキャンバー角といい、この傾きがあることで回転性が高まりクイックなターンなどが可能に。足元には車いす同士の接触時に脚を守るバンパーが、後方には後ろに倒れないためのキャスターが付いている。

選手は、決められたルールの範囲で自分に合うようカスタマイズした競技用車いすを使用。ボールは一般のバスケットボールと同じ、ボールやコートのサイズ、リングの高さも同じ。

もっとくわしく▶車いすバスケットボールとは?


車いすテニス、卓球、バドミントンのラケットとボール、シャトル

車いすテニス、卓球、バドミントンで使用するラケット、ボールやシャトルはパラスポーツ専用ではなく一般の用具を使用している。

それぞれの競技は障がいの種類や程度に合わせて競技用車いすなども使用。各競技の「もっとくわしく」をチェックしてみよう。

もっとくわしく▶車いすテニスとは?

もっとくわしく▶卓球とは?

もっとくわしく▶バドミントンとは?


選手が最大限の力を発揮できるようチューンアップされたアルペンスキーのチェアスキー

下肢に障がいのある選手は、1本または2本のスキー板にシート一体型のフレームが取り付けられたチェアスキーを使用する。選手の体にフィットするように作られたシートに、人間の膝のように衝撃を吸収するはたらきを持つサスペンションなど、すぐれた技術を集め、選手が最大限の力を発揮できるようチューンアップされている。

また、下肢に障がいのある選手はストックの代わりに端がスキーのようになっているアウトリガーという用具を使用する。

もっとくわしく▶アルペンスキーとは?


白い目標球(ジャックボール)に赤と青のボールをどれだけ近づけられるかを競うボッチャのボール

ボッチャで使用するボールは、周りの長さが262~278mm、重さは263~287g。硬さや材質にはさまざまな種類があり、自分の障がいやプレースタイルに合ったボールを選んで使用する。

自力で投球することができない選手のBC3クラスでは、選手はランプというすべり台のような競技用具を使う。長さを継ぎ足すことができ、ボールのスピードを速くして遠くを狙ったり、コートにあるボールを弾くこともできる。

もっとくわしく▶ボッチャとは?


トラックの短距離からマラソンまで使用する競技用車いす「レーサー」

下肢などに障がいのある選手がトラックの短距離からマラソンまで使用する「レーサー」と言われる競技用車いすは、全長が約1.8m、車輪は3つあり、大きな後輪が特徴。フレームはより軽くて丈夫な素材でできている。マラソン種目での下り坂では、なんと時速50km以上出ることも。

もっとくわしく▶陸上競技とは?


水泳で視覚に障がいのある選手が使用するブラックゴーグルとタッピングバー

パラスポーツには義足や競技用車いすなどの用具を使いこなすことでパフォーマンスに影響する競技もあるが、水泳はそうした用具は使用せず、選手の身体の機能だけで速さを競う。

その中で視覚に障がいのある選手が使用する用具が、ブラックゴーグル。クラス11の選手は、視覚を完全に遮断し公平に競うために、黒塗りのゴーグルを使用する。またターンやゴールのタイミングに合わせ、プールサイドにいるタッパーが、タッピングバーで選手の頭や背中にタッチし壁の位置を知らせる。

もっとくわしく▶水泳とは?


馬と選手が一緒に演技を行う馬術の鞭

パラスポーツの馬術(パラ馬術)は、馬と選手が一緒に演技を行い、正確さや美しさを競う馬場馬術(ドレッサージュ)。パラリンピックでは上下肢障がい、視覚障がいのある選手が出場する。障がいの種類や程度によっては、特殊な用具の使用が認められている。

たとえば両手で手綱が握れない場合は片手で扱えるバー状に改良したり、指が欠損している選手は片指に引っかけて使用できるループ状の手綱を使ったりする。鞭を手にゴムで固定する選手も。

もっとくわしく▶馬術とは?


数十m先の小さな標的をライフルもしくはピストルで撃ち得点を競う射撃の的

数十m先の小さな標的をライフルもしくはピストルで撃ち、得点を競う競技。撃った場所が標的の真ん中に近いほど得点が高い(1発の得点は0点~10.9点)。集中力が試される競技で、「究極のメンタルスポーツ」と言われることも。

例えば10mのエアライフルの「立射」の種目では、競技時間1時間15分の中で60発を撃つ。10点になるのは的の中心の直径0.5mm程度。

もっとくわしく▶射撃とは?


「氷上の格闘技」とも呼ばれているアイスホッケーのスレッジ(そり)とスティック

氷のリンクでプレーするために、2枚の専用の刃と選手が座るバケットシートがあるスレッジという競技用のそりを使用。選手の体に合わせて作られていて、長さもさまざま。

一般のアイスホッケーでは長いスティックを1本持つが、パラアイスホッケーでは短いスティックを両手に1本ずつ、合計2本持つ。パラアイスホッケーのスティックは、パックを打つブレード部分と、その反対側は端にギザギザしたピック(刃)がついていて氷をかいて前に進むことができる。

もっとくわしく▶アイスホッケーとは?


先端がストーンのハンドル部分にはめ込むようになっているデリバリースティックとストーン。

ストーンは一般のカーリングと同じものを使用する。重さ約20kg、直径約30cmで、花崗岩系の岩石でできている。選手は氷上で車いすに乗ってプレー。

投球するときに使用するのが、手の代わりにストーンを押し出すデリバリースティック。先端はストーンのハンドル部分にはめ込むようになっている。一般のカーリングとの違いが、投球した後に氷をこする「スウィーピング」が禁止されていること。氷の状態を読み、デリバリースティックを通じて正確なショットを繰り出せるかが勝敗を左右する。

もっとくわしく▶車いすカーリングとは?


自転車競技やトライアスロンで下半身に障がいのある選手が使うハンドバイク

身体をあお向けに寝かせた姿勢、もしくは身体を起こした状態で、手で漕ぐことができる自転車。ハンドサイクルと呼ばれることもある。


自転車競技やトライアスロンで視覚障がいのある選手が使用するタンデム

視覚障がいのある選手が使用するのが、2人乗りの「タンデム」。選手が乗るのは後ろで、前には晴眼者の「パイロット」が乗り、「ストーカー」と呼ばれる選手の目となってリードする。1台のタンデムを漕ぐ、パイロットとストーカーのコンビネーションが見どころだ。

もっとくわしく▶自転車競技とは?

もっとくわしく▶トライアスロンとは?


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