愛知・名古屋で開催! アジア最大級のパラスポーツ大会「1年前イベント」を水泳・西田杏がレポート

2025.10.22.WED 公開

愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会(以下、アジアパラ)の開幕まで1年となった10月18日、名古屋駅前で記念イベントが開かれた。

2026年9月19日~10月4日に行われる愛知・名古屋2026アジア競技大会後、10月18日~24日に行われるアジアパラは、愛知県内の会場(自転車競技は静岡)で18競技が実施される。

杭州2022アジアパラ競技大会の水泳金メダリスト・西田杏

大会を盛り上げるマスコットやピクトグラム、そして注目選手は?
前回大会の水泳金メダリストで、パリ2024パラリンピック日本代表選手団の旗手を務めた、西田杏がイベントに潜入! 大会を知ることができるポイントがギュッと詰まった1日をレポートする。

名古屋駅前のJRゲートタワーイベントスペースに到着。「多くの人でにぎわっています」

ボランティアのネーミングとピクトグラムのお披露目も

イベントは、1年前セレモニーからスタート。大会組織委員会会長の大村秀章愛知県知事、愛知県出身のタレント・大久保佳代子さん、10月1日にスポーツ庁長官に就任した、パラリンピックの金メダリスト・河合純一さんらが登壇し、大会成功に向けた協力を呼びかけた。

愛知・名古屋アジア大会も含めた、ボランティアのネーミングを発表したボランティア代表(左)と大久保さん

続いて、大会を支えるボランティアのネーミングが発表された。3つの案から実際にボランティアとして活動する人たちによる投票の結果、「ONE ASIA CREW(ワンエイジアクルー)」に決まった。

西田の母は、東京2020パラリンピックでボランティアとして活動したといい、ネーミングにも関心が高い様子だ

続いて、愛知県出身で柔道のパラリンピックメダリストである廣瀬誠さんが名古屋市立笹島小学校の子どもたちとともに、視覚的に競技を表す「ピクトグラム」をお披露目した。

セレモニーを見て、大会に向けて気持ちを高めた

「昨年のパリパラリンピックのピクトグラムもかわいかったけれど、アジアパラはかっこいいですね。水泳は波があってわかりやすいです。なにより、躍動感がある!」と西田も気に入った様子だった。

凹凸があるピクトグラムを触ってみたが……「(目をつぶってみると)どんなデザインなのかわかりませんでした(笑)」

1年前イベントを満喫

セレモニーの後は、アジアパラのマスコット「ウズミン」と記念撮影。ニュースを通じてマスコットを知っていたという西田は、着ぐるみを初めて目にして愛着が湧いたと話す。「来年、大会に出場してマスコットのグッズをたくさん買って帰りたい」と思いをめぐらせた。

「水の精霊」をイメージした「ウズミン」と。チャームポイントは大きな目とシャチホコのような頭だそう

その後、フォトスポットで写真を撮ったり、愛知・名古屋2026 公式ライセンスグッズショップを見て回ったりしていると、人混みの中で西田に向かって手を振る元アスリートが! 東京2020パラリンピックのバドミントン・女子ダブルスで銅メダルに輝いた伊藤則子さんだ。スイマーの西田と伊藤さんは競技こそ異なるものの、ナショナルトレーニングセンターの更衣室で遭遇することも多かった“アスリート仲間”。伊藤さんはパリパラリンピックの後、第一線から退いており、ふたりは久しぶりに再会した。パリの前は「一緒にパリに行けるといいね」と互いに声をかけ合い、それが実現。わずかな時間ながら、思い出話に花を咲かせた。

大会組織委員会でアスリート委員会の委員を務めている伊藤さん(右)

この日は、缶バッジ作成ブースも、行列を作っていた。選べるデザインのうち、西田はウズミンをチョイス。大会エンブレムのイラストと「swimming」の文字をあしらってオリジナル缶バッジの完成! さっそくリュックにつけていた。

ボランティアさんと交流しながら、缶バッジを作った
ウズミンのオリジナル缶バッジが完成!

なお、ピントレーディング(ピンバッジ交換)が大好きという西田は、「パラリンピックでは、自分でピンバッジを買って持ち歩き、多くの選手や関係者とピンバッジを交換したという。「アジアパラでも、ピンバッジ交換などを通して、海外選手と積極的にコミュニケーションを取れたらいいな」と笑顔で話した。

ボッチャ体験ブースも。パラ水泳の合宿で体験して以降、ボッチャにはまっているという西田。ボッチャセットを購入して家族とプレーしているのだとか!

注目のあの選手も!

午後の目玉は、プロ車いすテニスプレーヤー小田凱人によるトークショーとデモンストレーション。アジアパラで金メダルの期待がかかる小田は、日本代表選手団の中で最も注目される存在になるだろう。愛知県出身で今年、生涯ゴールデンスラムを達成した小田を一目見ようと、会場にはあふれんばかりの人が押し寄せた。

ホームのアジアパラに臨む小田。海外選手におすすめの名古屋グルメは「味噌かひつまぶし。せっかく名古屋に来たら食べてほしい」

パリパラリンピックでは、小田ら日本選手が大活躍した車いすテニスの放送を、選手村の食堂で見て応援していたという西田。実績のある小田が、普段の練習では基礎練習をみっちり行い、試合形式ではシチュエーションに特化した練習を繰り返し行うという話を聞き、「世界1位の小田選手は、努力を惜しまない。他の競技の選手が普段どういうことをやっているか気になるので、いい話が聞けました」。

「こんなにも多く人たちが地元出身の小田選手を応援していると知り、あたたかい気持ちになりました」

各ブースを回り「いろんな人たちが集まり、来年の大会に向けて盛り上げてくださっていると実感した。選手としても、改めてこの大会に出たいなという気持ちにさせてもらった」と話した西田。参加型の応援メッセージボードに「頑張るぞー」と書き込み、最後は引き締まったアスリートの表情で会場を後にした。

西田 杏(にしだ・あん)|水泳
18歳のときに韓国で開催されたインチョン2014アジアパラ競技大会に初出場。2023年に中国で開催された杭州2022アジアパラ競技大会では、50mバタフライ(S7)で悲願の金メダルを獲得。「初めて自分の力で『君が代』を流すことができて特別な大会だった。中国の加油(ジャーヨウ)という応援がすごかったが、まるで自分のことを応援してくれていると捉えることができ、楽しく泳げた。ただ、タイムは納得がいかなかったので、愛知・名古屋では自己ベストを出して金メダルを獲得することが目標です」


text by Asuka Senaga
photo by Michi Murakami

『愛知・名古屋で開催! アジア最大級のパラスポーツ大会「1年前イベント」を水泳・西田杏がレポート』