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Sports /競技を知る
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耳を使って撃つ⁉ パラバイアスロン・視覚障がいカテゴリーのここを見て!

クロスカントリースキーのフリー走法と射撃(伏射)を組み合わせた競技、パラバイアスロン。「登り坂や下り坂、カーブなどのあるコースを滑走し、射場で射撃する」ことを繰り返し、ゴールするまでのタイムを競います。射撃の技術と走力はもちろんのこと、持久力と集中力が求められる過酷な競技です。
パラリンピックでは、立位、座位に加え、視覚障がいカテゴリーも実施されています。
ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会で実施されるのは、男女スプリント(7.5km)、インディビジュアル(12.5km)、スプリントパシュートです。コースを1周した後に射場に行き、5つの標的を撃ちます。ミスショット1発ごとにペナルティループを走るか、1分のペナルティタイムが加算されます。
最近のパラリンピックには日本から平昌大会で全盲の高村和人選手が出場しており、ミラノ・コルティナ大会では有安諒平選手が出場します。
どうやって標的を狙うの?
弱視、あるいは全く見えない全盲選手たちは、射撃でどうやって的を射抜くのでしょうか。視覚障がいの選手は実弾を使わず、光を照射する光線銃「ビームライフル」を使用します。
誘導係に従って射場に入ると、ビームライフルとヘッドセットが並べられており、ヘッドセットを装着してから射撃を始めます。
ターゲットは、10m先にある直径21mmの的です。銃口の向きが的の中心に近づくと1700Hz程度の高い電子音がヘッドセットから流れる仕組みになっていて、選手は、高い音を探し、その音がピークになったときにトリガー(引き金)を引きます。選手は耳を使って的を狙っているのです。
有安選手の競技パートナーである藤田佑平ガイドによると、ビームライフルによって音の大きさや明瞭さはまちまち。レースの前のテスト射撃の時間に、3~4回撃って、その音を覚えておくそうです。
射撃中、ガイドスキーヤーは選手の後方5~10mの場所で脈拍や射撃タイムを計りながら、選手を見守ります。脈拍を計るのは、心臓の拍動が射撃の精度に影響するためです。他の選手の動向を伝えることもあります。
有安選手の場合、滑走中、射場に入る前から脈拍をコントロールし、理想の数値になるようペースダウンするなどして調整します。スキー用のポールはガイドに預け、目で見て射座に入ります。コースによっては、ポールを手綱代わりに藤田ガイドに誘導してもらうとも。2人は、試行錯誤したうえ、コースによって使い分けることにしたそうです。
射撃の成功や失敗も、音でわかるようになっています。
全神経を耳に集中!
パラバイアスロンの視覚障がいカテゴリーで一番の見どころは、射場での「静寂と集中力」です。スキーで息が上がっている中、選手は周囲の音を遮断し、ヘッドセットから流れる「音の高さ」だけに全神経を注ぎます。数ミリにおける銃口のブレをわずかな音の高さの違いで聞き分け、完璧なタイミングで引き金を引く姿は、まさに職人技。選手とガイドスキーヤーの信頼関係、そして「音で見分ける」という驚異の能力にきっと引き込まれるはずです。
パラリンピックでは有安選手のバイアスロンにぜひご注目を!
教えてくれた人
text by TEAM A
photo by X-1