[パラ駅伝 in Tokyo 2015 レポート] 健常者と障がい者ランナーがたすきをつなぐ

2015.11.30.MON 公開

11月29日、日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)は駒沢オリンピック公園で『パラ駅伝 in TOKYO 2015』を開催。第1回目の今大会は、関東広域の都道府県から19チームが参加し、171人のランナーが汗を流した。

「“i enjoy !”の精神にのっとり、楽しむことを誓います」

宝塚星組トップスターの北翔海莉さんによる君が代斉唱など華々しく行われた開会式で、ロンドンパラリンピック陸上競技日本代表の高桑早生選手らが声高らかに選手宣誓した。それぞれの立場でパラスポーツを楽しむことを意味する“i enjoy !”は、主催の日本財団パラリンピックサポートセンターが掲げるコンセプト。ランナーだけでなく、ボランティアなどの支える人、観戦する人も含めて、全員が主役だ。会場を訪れたすべての人がトップ選手から市民ランナーまで幅広い選手たちの走りを盛り上げた。

コースは同公園内の陸上競技場と園内ジョギングコースからなる1周約2.5kmで、1チーム8人で約20kmをタスキでつないだ。沿道では、晩秋の青空の下で力走する選手たちに向け、紅葉を楽しむ人やジョガーらから温かい声援や拍手が送られる風景も見られた。

14,200人の来場者が見守る中、パラ駅伝は始まった
さまざまなランナーによるタスキリレー
ロンドンパラリンピック日本代表の高桑早生らトップアスリートの姿も
宝塚星組のみなさんら「応援団」と一緒に写真に納まる優勝チーム

この駅伝の特徴は、さまざまな障がいのある人と、健常のランナーがタスキリレーをすることだ。

第1区(視覚障がい者)を務めた、北京パラリンピック・マラソン代表の加治佐博昭選手(にっこり栃木)は伴走の豊島聡さんと快走し、区間賞(8分54秒)も獲得。「駅伝なので、チームに貢献したいと全力でいきました。みんな、障がいは違うけれど、それぞれ使える機能をフルに使ってやっている。それを周囲の方に見てもらえたことは最高です」と話した。

第2区(健常者・男)の反中祐介選手(東京青いトマト)は「沿道の応援も多くて力をもらえた。駅伝にはよく出場するが、車いす選手にタスキを渡すのは初めて。何度も練習を重ねた甲斐があって、冷静につなぐことができた」。 第3区(車いす走者・女)の青木辰子選手(しなのパープルズ)はアルペンスキーでパラリンピックに出場したことがある。「チーム競技は、個人競技とはまた違う責任感のようなものがありますね」と話し、汗をぬぐった。 同じく第3区の鈴木百萌子選手(神奈川スターズ)は「11人抜きができて気持ちよかったです」とにっこり。 第5区(肢体不自由者・立位)の佐藤龍也選手(ぐんま空風RUN)は「初めての駅伝で不安もあったけれど、練習の成果を出し切ることができた」と満足そうに振り返った。 第6区(知的障がい者)の五味翔太選手(山梨meteor)は区間賞の走りを見せ、「自分らしいいい走りができた。バトンもうまく渡せた」と顔をほころばせた。 第7区(聴覚障がい者)の山田真樹選手(東京スマイル)は競技場のトラックを回る際に投げキッスをするパフォーマンスでスタンドを沸かせた。「わくわくしながら今日を迎えた。最高に楽しい!」と話した。

優勝した神奈川スターズの長田龍司選手(第8区=車いす・男子)は「優勝できたのは、みんなが仲良くなり、心もひとつにつながることができたから」とコメントし、喜びを表した。

会場には約14,200人が来場。パラスポーツを初めて観たという女性は「(板バネの)義足の選手の軽やかな走りや視覚障がいのランナーのスピードに衝撃を受けた」、「自分もスポーツをやらなきゃと思った」などと語った。

応援に駆けつけたSMAPが走り終えた選手のインタビューをしたり、車椅子バスケットボールなどの体験を通してパラスポーツ普及を呼びかける場面も。体験会でデモンストレーションを担当したブラインドサッカーの川村怜選手は「観客を一瞬にして引きつけるパワーのあるSMAPさんがパラスポーツを応援してくれてうれしい」と喜んだ。

最後はSMAPが「世界に一つだけの花」を含むメドレーを披露。障がいのある人も、健常者もみんなが一体となって余韻を楽しんだ。

『[パラ駅伝 in Tokyo 2015 レポート] 健常者と障がい者ランナーがたすきをつなぐ』