アジアパラ目前! パラバドミントン日本トップ選手たちが国際大会で見せた現在地

2026.09.18.FRI 公開

愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会を翌月に控え、2年ぶりに東京で開催された「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2026」。その舞台で日本のトップ選手たちが世界のライバルと熾烈な火花を散らした。ロサンゼルス2028パラリンピックを見据え、加速する選手たちの現在地は――。

宿敵撃破の西村、ダブルスの相乗効果で世界の頂へ

今大会で輝きを放ったのは、男子WH1シングルスとWH1-WH2ダブルスに出場した西村啓汰。世界トップレベルのラリーを繰り広げ、シングルスでこれまで7戦全敗と一度も勝利を挙げることができていなかったムハンマド・イフワーン・ラムリ(マレーシア)に対し、今大会で見事に初勝利を収めた。

試合後、「今回は相手のアウトにも助けられ、ラッキーな点もあったが、勝てたことは自信になる」と振り返り、強豪が揃うアジアパラを見据えて「もっと練習していきたい」と語った。また、この大会でのシングルスは今回が初制覇。「今回、獲れてすごく嬉しい」と喜びを見せた。

チェアワークとスピードが西村の武器

この進化を後押ししているのが、パラリンピック2連覇中の梶原大暉とのダブルスだ。梶原の隣でプレーすることで、正確無比なショットを間近で吸収。高い負荷のラリーを日常の練習でこなすことで体力とスピードが磨かれ、「シングルスで得た力はダブルスに、ダブルスで磨いた判断力はシングルスに活きる」と自身が語る通り理想的な相乗効果を生んでいる。パリパラリンピック出場を逃した悔しさを胸に進化を遂げた西村は、世界の頂点を見据え、着実なステップアップを続けている。

世界ランキング1位の“ニシカジ”ペア

王者撃破を狙う今井はフィジカル強化中

男子SU5クラスの今井大湧は、初対戦の2016年から過去20連敗を喫している宿敵チア・リク・ハウ(マレーシア)と決勝で激突。絶対王者の壁に跳ね返されてストレートで敗れると、「最近で一番ボコボコにされてしまった」と悔しさをにじませた。

「調子や動きのスピード自体は悪くなかった。ただ、低い展開の勝負に持っていってしまい、相手に押し込まれる悪い流れにしてしまった。もっと大きく展開していれば……」と、敗戦を振り返る。

今井は世界選手権を9度制した強豪に立ち向かったが……

しかし、今井に立ち止まっている暇はない。来月には、出身地の愛知で開催されるアジアパラ競技大会が控えているからだ。今井はこの大会を「自分の中では東京2020パラリンピックと同じくらい大きな大会」と位置づけ、「すべてを出し切って金メダルを獲る」と強い覚悟を口にする。

その今井が最も重点を置いて取り組んでいるのが「徹底的なフィジカルと体力の底上げ」だ。パリ大会以降、トレーナーの指導のもとスクワットなどで筋力アップを敢行。体重もベストに絞り込み、爆発的なダッシュ力とスタミナを高いレベルで両立させている。

鍛え上げた肉体で長時間のラリー戦に持ち込み、王者を崩す。自らの描く青写真のもと、虎視眈々とそのときを狙っている。

今井はアジアパラが行われる愛知出身の注目選手だ

女王の背中を追う20歳の友寄

女子WH1クラスにおいて、絶対女王・里見紗李奈の背中を猛追するのが20歳の友寄星名だ。里見には未だ直接対決で勝利を挙げられていないものの、友寄は世界ランキング2位という目覚ましい躍進を遂げている。

決勝の日本人対決に注目が集まった

友寄の真骨頂は、最後までシャトルを追い続ける粘り強いプレーだ。昨年から社会人アスリートとなって以降、1日練習をベースとした豊富なトレーニング量を確保。さらに企業所属として数多くの海外遠征を経験したことで多様なプレーヤーと対戦し、毎回見つかる課題を持ち帰っては克服するサイクルを地道に回してきた。

世界ランキング2位の友寄は、アジアパラで金メダルを目指す

また、ギアの見直しも功を奏した。約1年前に車いすのタイヤサイズを一回り大きく変更。ひと漕ぎで進む推進力を伸ばしたことで、これまで届かなかったシャトルまで拾い上げることが可能となった。サイズ変更に伴い、腕や背中といった上半身の筋力トレーニングも徹底強化。「まだ里見さんに一度も勝ったことがないので、しっかり勝てるように気合を入れて頑張りたい」。今大会は決勝で敗れたが、一歩一歩積み上げた自信と女王へ挑む気持ちの強さが、友寄をさらなる高みへと押し上げている。

日本代表の注目選手たち

大会を彩った日本のトッププレーヤーたちは、それぞれの課題と手応えを語り、アジアパラを見据える。

日本のエース梶原は、アジアパラでも大きな注目が集まる

今大会を制し、2021年の東京パラリンピックから続く連勝記録を「196」に伸ばした男子WH2の梶原は、「シングルスでは分析されて厳しい戦いになると思うし、ダブルスに関してもまだ勝てていない相手もいる」とアジアパラに向けて気を引き締めた。

アジアパラに向けて気持ちを高める藤原

また、男子SL3の藤原大輔は「アジアパラは日本のファンの前で決勝の舞台に立ち、アグレッシブに戦いたい」と意気込みを語る。

5度目の優勝を決めた里見は、高め合える国内のライバルの登場を「怖い」「ありがたい」と話した

女子選手たちも着実な手応えと新たな課題を口にする。女子SL3で世界ランキング1位の河合紫乃は「ミスを減らすという目標は達成できた。良くなってきている」と自身の成長を実感し、女子WH1で優勝を果たした世界女王・里見紗李奈は「追われるプレッシャーはあるが、スピードコントロールを定着させて自分のプレーを突き詰める」と決意を語った。

圧倒的な強さを見せた河合
優勝後にポーズを決める河合。アジアパラでは初出場初優勝を目指す

text by Asuka Senaga
photo by X-1

『アジアパラ目前! パラバドミントン日本トップ選手たちが国際大会で見せた現在地』