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Sports /競技を知る
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アジアパラでも注目大! パラ卓球トップ選手たちが全日本で見せた進化への試行錯誤
「第18回全日本パラ卓球選手権(肢体の部)」が9月7日~9日に東京のひがしんアリーナで開催された。車いすの部(クラス1〜5)および立位の部(クラス6〜10)の男女シングルスに加え、男子・女子・混合の各種ダブルスが実施され、それぞれの日本一が決定した。
今大会を通じて見えてきたのは、10月のアジアパラ競技大会(愛知・名古屋)や11月の世界選手権(タイ・パタヤ)、そしてその先を見据え、自らの卓球をどうにか進化させようとするトップ選手たちのあくなき試行錯誤である。レベルを上げる海外のライバルたちに対し、日本のトップ選手たちは道具を選び直したり、技術や戦術を細かく磨き上げたりしながら対抗しようとしている。
ラバー&ラケットの一新で勝機を見出す
とくに際立つのは、用具の変化を武器に戦術の幅を広げるアプローチだ。立位・クラス7の八木克勝は、7月頃に従来の飛ばないアンチラバーから「さらに飛ばないアンチラバー」へ変更した。あえて攻撃せず緩いボールを送ることで、相手の足を止め、厳しい展開へ持ち込むためだ。さらに海外勢の「健常者に近い早いピッチ」に対抗するため、振っても球が飛んでいかないラバーの特性を活かし、相手のリズムや感覚を狂わせる高度な心理・技術戦を仕掛けている。

また、車いす・クラス5のベテランである別所キミヱも、ラバーは昨年、ラケットは4ヵ月前に一新。速い球で打ち合うのではなく、相手が嫌がる「極力遅い球」やナックルボールを駆使するプレーを展開する。

車いす・クラス4で七野一輝の3連覇を阻み優勝した齊藤元希も、バックのラバーを変更したことが奏功。自ら攻撃を仕掛けられるスタイルへと進化させ、見事勝利を引き寄せた。

進化を止めることのないエースたち
一方、プレーの完成度を高めようと挑んでいる者も多い。車いす・クラス4の七野もその一人だ。多球練習を重ねることで、視野の広さや反射スピード、ボールを見極める力を重点的に鍛えている。その成果として、相手の球に反応できず見送ってしまう「ノータッチ」の場面が減ってきたと手応えを感じているという。

立位・クラス10の舟山真弘は従来のパワーで押し切る卓球から、緩急や守備的なコンビネーションを磨いている。得意な攻撃だけに頼らず、苦手分野や守備力の底上げを図ることで、勝負どころでの得点率を高めている。
パリ2024パラリンピック後に一時期世界ランキング1位に上がるなど、日本のエースへと成長した舟山。一見順調にも見えるが、この大会については「『負けられない』というプレッシャーが一番大きい中で、どれだけ安定したプレーができるかが重要」と位置付けていた。
見事5連覇を果たし、決勝については「相手の逆を突くプレーができ、自分で決めに行って得点する形というより、もう少しゆとりのあるプレースタイルで勝つことができた。そこは自分自身の成長を感じる試合だった」と振り返った。

同じく立位・クラス10の女子シングルスで2連覇を果たした高校3年生の三浦稟々も、世界を見据えて進化を重ねる若手の一人だ。海外遠征と学業を両立させるため、昨年通信制高校へ転校して練習環境を確保。得意とする強力なサーブと、そこからの鋭い3球目攻撃を武器に大会を制した。「アジアパラでの優勝、そして世界選手権でのメダル獲得」を目標に掲げ、強豪ひしめく世界の舞台へ挑む。
立位・クラス7を制した75歳の角田セツは、相手の徹底した研究に対し、ドライブを中心にミスを無くす忍耐のプレーに切り替えて見事逆転勝ち。「(優勝したことで)来年度の国際大会の代表にもなれるんで、とても嬉しい」と語った。


さらに、立位・クラス9の岩渕幸洋は基本動作に立ち返り、サーブ後の戻りやレシーブ後の予測スピードを高めることを意識。車いす・クラス3の池山優花はバックハンドの強みを活かす一方で、プレッシャー下でのメンタルコントロールとサーブやナックルボールへの対応を課題としており、車いす・クラス1の四海吏登は苦手意識のあるゆるいボールに対する繊細な力加減での返球を磨いている。

さらに注目を集めたのが、全日本初参戦となった小松亜子だ。インターハイやマスターズなどで実績を重ねてきた健常者の強豪選手だった小松は、2025年4月に劇症型溶連菌感染症を発症。一時は命の危険に瀕しながらも左足膝上の切断を経て卓球を再開した。クラス8の準決勝でパラリンピック2大会出場の友野有理に敗れはしたものの、「パラ独特の緩い球や泥臭い戦い方の重要性を学んだ。また目標ができた」と前を向く。
なお、この小松と舟山は6月の予選会(肢体の部)を勝ち抜き、健常者の最高峰である「全日本卓球選手権大会(一般の部)」への出場権を手にしている。

開幕迫るアジアパラへ
10月のアジアパラには、日本代表として78歳の別所を含む22選手(知的障がい・クラス11を含む)が出場する。直近の2025年10月アジア選手権(北京)では、舟山の優勝をはじめ肢体の部だけでも計7個のメダルを獲得した日本勢。地元開催となる今大会で、それを上回る結果を残せるか期待が集まる。
text by Asuka Senaga
photo by X-1






