駅もない人口7700人の町に年間1万人! 茨城県五霞町「道の駅×スケボー&バスケパーク」が起こした逆転劇
最近の道の駅は、野菜やご当地グルメを買うだけの場所ではない。
鉄道の駅もなく、人口約7,700人。そんな茨城県の小さな町・五霞町にある「道の駅ごか」のすぐ裏手には、県内外から多くの若者たちがスケートボードや3×3バスケットボールを目的に集まる、活気あふれるパークがある。
なぜ、この小さな町がスポーツで人を呼ぶ場所へと生まれ変わることができたのか。
そこには、平時の際に使われていなかった土地を活かして、町を訪れるきっかけをつくりたいと願った、地域の人々の知られざるアイデアと挑戦のストーリーがあった。
“雨水を貯める場所”を、若者が集まるパークへ

東京都心から約50km、車で1時間ほどのところにある“道の駅ごか”。そのすぐ裏手、約5300平方メートルの敷地に広がるのが“Street sports park GOKA”だ。スケートボード、バスケットボール(3×3)、スラックライン、子どもの遊び場などのエリアに分かれ、県内はもちろん県外からも多くの人が訪れている。道の駅で買い物をしたついでの人もいれば、スポーツ目的の人も。スケートボードやバスケットボールを楽しむ若者を町に呼び込む、ひとつの入り口になっているのだ。
実は、五霞町には鉄道の駅がない。町を訪れる人の玄関口となるのが「道の駅ごか」。観光の途中に立ち寄る客にとっては憩いの場所、地元の人々にとっては野菜の直売所として人気の“道の駅ごか”付近にスポーツ施設が作られたのには、どういう経緯があったのだろうか。
「2020年に、圏央道の五霞インターチェンジ周辺地区土地画整理事業によって“ごかみらい産業団地”が整備されました。区域内に調整池が2つ設置されたのですが、二段構造になっており、平時は上段に水が上がらない状態でした。そこで上段部分を何かに活用できないかということで、町役場の都市計画の担当部署が出したアイデアから生まれたのが、スポーツパークを作ろうというものでした」
そう語るのは、“Street sports park GOKA”の管理を担う五霞町役場建設水道課の担当職員だ。
調整池とは、大雨の際に河川の急激な増水や氾濫を防ぐために、雨水を一時的にため込んでおく池のことで、一定規模以上の開発行為を行う際には、都市化による薄いの急激な流入増加や流出増加、洪水被害を防ぐために、設置が義務づけられている。その中で、平時の際の調整池の利活用が全国的にも進んできており、五霞町でも活用できないかという声が上がったこと。そして、整備された産業団地の公園などでスケートボードをする人たちが見かけられたことから、スポーツパークを作ろうという機運が盛り上がったのだという。
人口約7700人の町に、年間1万1000人が来訪

「オープンが2020年だったのですが、ちょうどその頃、東京オリンピック2020大会で初めて正式競技に採用されるということで注目されていたスケートボード、そしてゴールが1つで誰もが参加しやすいバスケットボール競技の3×3。まずはそういう競技ができるエリアを作ることから始まりました。スラックラインは、幅5センチほどのベルト状のラインの上で、歩いたり跳んだりしながらバランスを楽しむスポーツで、ここは一般社団法人日本スラックライン連盟から認定を受けた関東初のパークです」
2025年度は1万1000人ほどが訪れたという“Street sports park GOKA”。スケートボードを楽しむ若者や、3x3で汗を流す学生たちの姿も珍しくない。圏央道の五霞インターチェンジから車で1分、道の駅のすぐ裏手にあるという立地が、様々な人を呼ぶ理由になっているという。
「五霞町に道の駅ができたのが2005年度なのですが、道の駅が誕生したことで、町の新たなシンボルができたと感じる町民も多くいました。今度はそこに隣接して“Street sports park GOKA”ができたことによって、さらに県内外からも、特にスポーツに親しむ若い人たちが多く集まってきてくれていると、喜んでいる人が多いですね」
五霞町の人口は2026年4月現在、約7,700人。町の人口を大きく上回る人々が、この“Street sports park GOKA”に訪れている。鉄道の駅がなく、決して交通の便が良いとは言えない町に人が集まるために“スポーツ”が大きな役目を果たしているのは確かのようだ。
スポーツをきっかけに知らない町と出会う

“Street sports park GOKA”は、調整池の活用という課題をきっかけに生まれたが、その背景には五霞町という町を、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いがある。
「五霞町は非常に小さな町で、減少傾向にある人口を増やしたいという思いはもちろんありますが、それ以上に五霞町をもっと知ってもらいたい、多くの人に訪れていただいて交流人口を増やしたいという考えが、今は一番です。そのためにも道の駅に来た人に、ついででもいいので“Street sports park GOKA”にも寄ってもらって、五霞町っていいところだねと思っていただきたいのです」
道の駅と言えば、その地域の特産物だが、五霞町の場合よく名前が出てくるのが“八つ頭”だそう。お節料理や祝いの膳でおなじみの、里芋の一種。その他、茨城県の銘柄豚の“ローズポーク”やトマトなどが、道の駅では人気だという。2024年度には“シン・いばらきメシ2024”が開催され、一般料理部門において「シン・茨城あげそば」がグランプリを受賞し、スイーツ部門において「すい~とぽてッフル」がファイナリストに選出された。その商品が道の駅で味わえるようだ。また、今年度も第二回大会が開催されるため、新商品の開発を行っている最中とのこと。
「23年には、“Street sports park GOKA”から歩いて5分の場所に、ラジコンパークというものも作りました。こちらはラジコンを走らせることのできる場所で、スポーツとは関係ないのですが、もう少し高い年齢層の方も楽しんでいただけるのではないかと考えています。道の駅に来たついでに寄ってもらってもいいし、“Street sports park GOKA”やラジコンパークで遊んでから道の駅へというルートでもいい。とにかく来ていただいて、この辺りを回遊しながら五霞町を知っていただけるとうれしいですね。“Street sports park GOKA”が五霞町を知る入り口になってほしいと願っています」
調整池の有効活用から生まれた“Street sports park GOKA”は、スポーツをしたい人々を町に呼び込むきっかけになった。集まった若者たちは、気持ちよい汗を流したあと、地元の野菜を買ったり名物グルメを味わったり、それらを通じて五霞町を知る。“Street sports park GOKA”は町の入り口となったのだ。次の休日や夏休みに出かける候補地として、五霞町を考えてみてはいかがだろうか。
text by Reiko Sadaie(Parasapo Lab)
写真提供:五霞町役場建設水道課






