ロサンゼルスの新たな金メダル候補! “ニシカジ”と河合紫乃がパラバドミントン国際大会で初優勝

ロサンゼルスの新たな金メダル候補! “ニシカジ”と河合紫乃がパラバドミントン国際大会で初優勝
2025.11.14.FRI 公開

11月5日から9日、「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2025」が開催された。シングルスを制したのは、⼥⼦の⾥⾒紗李奈(WH1)、男⼦の梶原⼤暉(WH2)。そして、初出場の河合紫乃(SL3)。バドミントンのS/Jリーガーだった河合は、3年後にロサンゼルスで行われるパラリンピックのバドミントン日本勢3人目の金メダル候補に名乗りを上げた。

有言実行の日本初V

足を切断してまだ1年半。日本で開催された国際大会で初出場&初優勝を果たした河合は、こみ上げてくる涙をぐっとこらえながら、優勝インタビューに応じた。

「1年前の大会は観客席で見ている立場だった。ここに立てて本当によかった。(バドミントンに)戻ってきた姿をいろんな人に見てもらえて思い出に残る大会になりました」

股関節のケガとその手術の後遺症により、左足の股関節から下にまひが残る河合。合併症の進行により、2024年6月に大腿部を切断した

圧巻の優勝だった。全勝で決勝に駒を進めた河合は、決勝で右足にまひがあるマンディープ・コール・マンディープ・コール(インド)を21-2、21-0で退け、公言通りの「完全優勝」を成し遂げた。

日本最高峰のS/Jリーグでプレーしていた河合は、普段は実業団の選手と練習するために全国を転々としているといい、障がいのある選手と対戦する難しさもあるという。

「自分がやってきた健常の選手と(シャトルを打つ)タイミングが全く違うので、それがちょっとやりにくくてミスが出てしまう。あと、健常の選手なら次に何が来るか予想できるが、パラでは予想がつかなくて」

ケガをした後、パラフェンシングを経てパラバドミントンの日本代表に

国際大会は3大会目だが、パリ2024パラリンピック金メダリストであり、今大会は不出場の肖祖賢(中国)に2戦1勝している。今大会決勝でも相手の戦意を喪失させた「SL3クラス世界一の技術」をさらに磨き、次の対戦では1敗した悔しさを晴らしたいと考えている。

目指すのは、「世界で一番きれいなバドミントンをする選手」。障がいの程度が重く、車いすクラスでクラス分けを受けることも可能だったというが、バドミントン経験者らしく立位で戦う道を選んだ。

大会終盤は、義肢装具士の臼井二美男氏が用意した新しい義足で戦った

今大会は義足が壊れるアクシデントもあったが、攻撃的なスタイルを貫き、観る者を魅了した。河合は誓う。

「(クラスの中で)障がいが重くてもできるというのを証明したい。それがロサンゼルスで金メダルを獲ることにつながるのかなと思っています」

シングルスで優勝した里見

東京、パリの金メダリストで、ロサンゼルスでは三連覇がかかる女子のエース里見も、危なげなく試合を進めて優勝。「プレッシャーはあるが、(梶原)大暉と(河合)紫乃さんと3人で引っ張っていきたい」と改めて決意を語った。

ダブルスの“ニシカジ”は、ロサンゼルスの金メダルを目指して強化中

シングルスで優勝した梶原。ロサンゼルスでは、まだ手にしていないダブルスの金メダル獲得を目指している

男子のエース梶原は、シングルスに加え、今年結成した“ニシカジ”ペアで優勝。国際大会は5大会目で、自分たちの色をまだまだ模索中だ。現在は、フィジカル面とラリー力を課題に挙げて、強豪の韓国と中国ペアと渡り合えるように取り組んでいる。

男⼦ダブルスの新ペア、⻄村啓汰/梶原大暉

そんな中、決勝では強敵のマレーシアペアに勝利。チェアワークが持ち味の⻄村啓汰(WH1)は、「打つ場所が以前よりも洗練され、ポジショニングもしっかり考えられるようになってきた」と成長点を挙げ、中国・韓国勢不在の大会ながら優勝を素直に喜んだ。

パリパラリンピック出場を逃した西村は、危機感を持って練習に取り組んでいることが成果につながっている

ダブルスは、障がいの重い選手が狙われがちで、障がいの軽い梶原がどれだけカバーできるかがカギになってくる。
「相手がどこを狙っているか、見えた部分もあった。今後はカバーリングに終わらず、自分が触れたときにしっかり攻めに転じられるようにしていきたい」と、梶原も手ごたえを語った。

“ニシカジ“ペアはロサンゼルスに向けて成長中だ

今大会は、西村がシングルス3位に終わり、落ち込む場面もあったが、梶原が意識的に笑顔で接するなどペアとしてサポート。ダブルスの決勝では西村も高いパフォーマンスを発揮し、来年2月の世界選手権(バーレーン)、10月のアジアパラ(愛知・名古屋)に向けて明るい材料を示した。

静岡で初開催。今年は、草薙総合運動場体育館(このはなアリーナ)で行われ、シングルスとダブルスで日本選手4人が優勝を果たした

text by Asuka Senaga
photo by X-1

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『ロサンゼルスの新たな金メダル候補! “ニシカジ”と河合紫乃がパラバドミントン国際大会で初優勝』

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