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Sports /競技を知る
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「アジアパラ、観に行ってみたい!」愛知県豊橋市でゴールボールに触れた子どもたち「地元開催の大会を、共生について考えるきっかけに」|パラスポーツと教育

もうすぐ開幕する愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会。愛知県の豊橋市では、視覚障がいのある選手がプレーする競技・ゴールボールが行われます。
大会が間近に迫る10月の初め、豊橋市立玉川小学校で、共生社会への気づきや学びの機会を提供するパラスポーツ体験型出前授業「あすチャレ!スクール」が開催されました。訪問したのは、ゴールボール日本代表経験のある高田朋枝さんです。
3年生の総合的な学習の時間で、障がいについて学ぶカリキュラムとなっている玉川小学校。今年はアジアパラ競技大会が豊橋市で開催されることもあり、今回の授業実施につながりました。授業を楽しみ、障がいについても学んだ児童たちから、終了後には「ゴールボールを観に行ってみたい!」という声が上がりました。
ゴールボールを通して、視覚障がいについて考える
今回授業を受けたのは、玉川小学校の3年生と4年生の児童66名。視覚に障がいのある高田さんは、児童にこう呼びかけます。
「みんなが声を出してくれると、どんなリアクションを取ってくれているかわかります。今日は遠慮なく言葉に出して、感じたことを隣の人とも話してもらって構いません。一緒に楽しんでいきましょう」
ゴールボールは、1チーム3人でお互いのゴールにボールを投げ合い、得点を競う対戦型のチームスポーツ。競技のことを知らなかったという子どもたちも多い中、まずは競技の紹介、それを通じて視覚障がいについて学んでいきます。
ゴールボールでは、選手全員が同じ条件でプレーできるように、黒いアイシェードをつけてプレーします。
「視覚障がいといっても、いろんな見え方の人がいます。たとえば、手で筒をつくって目に当てて見てみましょう。こうすると周りが見えないですよね。手でグーをつくって目に当てて見ると、横は見えても真ん中が見えない。こんな見え方の人もいるんです。だから、みんな同じ見え方にするために、全員黒いアイシェードをつけます」
ゴールボールには、他にも工夫があります。ボールに鈴が入っていて、選手がボールの場所がわかるように、音が鳴るようになっています。コートをつくるテープにはひもが入っていて、触ったり足で踏んだりすると、場所がわかります。
競技で使う用具や工夫から、視覚障がいのある人のことを知り、考える機会になりました。児童も興味津々です。
競技の面白さを味わう!
競技と視覚障がいについて知った後は、いよいよゴールボールのプレーに挑戦です。
3人1チームで9mのゴールを守るゴールボール。まずはディフェンス練習。1人で3mを守るために、ボールを止めるべく左右に身体を動かします。高田さんのお手本を見ながら、みんなでやってみます。
今度はオフェンス。高田さんから教わった4つの投げ方を思い思いに試しながら、ボールを投げ合います。体育館にはボールから聞こえる鈴の音が響きます。
続いて代表児童により、ゴールボールのミニゲームが行われました。アイシェードをつけて、視覚を遮断した状態でプレーする初めての経験です。
ボールから聞こえる鈴の音を頼りに、投げて、守って!果敢にトライします。
ゴールボールでは、選手は音を頼りにプレーするため、試合中に観客は声を出してはいけないルールになっています。でも、得点が決まってホイッスルが鳴った後は声を出してOK!ゴールが決まると、見ている児童から大きな歓声が上がりました。試合に出た児童も、観戦した児童も、ゴールボールの面白さを味わえたのではないでしょうか。
子どもたちに届けたメッセージ
ゴールボールをプレーして、応援して楽しんだ後は、高田さんからのお話の時間です。
子どものころ、病気による視覚障がいがあることがわかった高田さん。高校生のときにゴールボールと出会います。最初はパラリンピックを目指そうとは思っていませんでしたが、その気持ちは大学生のときに変わりました。
「大学生のときの私は、自分に自信がなく、自分のことがあまり好きではありませんでした。嫌なことからも逃げたりしていました。でも、もしここで頑張ったら、頑張った自分を好きになれるんじゃないか、自信が持てるんじゃないか。そんな風に考えて、大好きだったゴールボールを一生懸命、全力で頑張ろうと思ったんです」
その後、高田さんは2008年にパラリンピック出場を果たします。そこで気づいたのは、応援し支えてくれる周りの人の存在でした。そうして自分も誰かの役に立ちたい、誰かを支え、励ませる人になりたいと思うようになりました。
「人を励ますとか、助けるって、どんなことができるんだろうと分からなくなってしまうこともあります。でも、例えばみんなが笑顔で元気に挨拶するだけでも、挨拶された人はとっても嬉しいですし、喜んでくれる。そういう簡単にできることからでも、みんなの力を発揮してほしいなと思います」
「アジアパラ、観に行ってみたい」
豊橋市立玉川小学校では、アジアパラ競技大会では学校単位でまとまっての観戦は行われませんが、ラーケーション制度を利用したりして個人で観戦しにいく児童がいるそうです。
今回の授業を受けた児童は、地元で行われるゴールボールに大いに興味を惹かれた様子でした。
「ゴールボールは今まで知らなかったです。投げるところがうまくいって楽しかった。(高田さんは)目に障がいがあっても、自分なりに楽しんでいるのがすごいと思いました」
「ゴールボールは別のイベントに行って体験したことがあったけど、(今日やってみて)アジアパラを観に行ってみたいと思いました」
実は授業の前に個人的にアジアパラ競技大会のゴールボールのチケットを買っていたという、担当の山本先生。大会を「共生」や「インクルーシブ」について考えるきっかけにしたいという意図があったと語ります。
「玉川小学校には身体に障がいのある児童はいないので、今回の授業がいいきっかけになるのではないかと思いました。体験した後、高田さんの言葉を惹き込まれながら聞いている子どもたちの様子を見て、私も本当に驚きました。
視覚に障がいのある人は、見えない世界の中で生きているけれど、それぞれの思いをもって、いきいきと活動されている。それが子どもたちの心にすごく響いたのではないかと思います」
高田さんもこう振り返ります。
「私が見えないから声を出してね、というとすぐやってくれて、想像力がある子どもたちだと思いました。観に行きたい、と言ってくれたのは嬉しいですね。大会で競技を観戦に行って、全力で頑張る選手の姿を間近に見ると、障がいに関係なく、1人のひととしてリスペクトできる、そんな気持ちになれるのではないかと思います」
パラスポーツを通じて得られるさまざまな気づき。自国開催の国際大会は、大きな学びの場となる可能性が秘められているのではないでしょうか。
text by Parasapo
photo by Haruo Wanibe