国枝、満を持してツアー復帰! DUNLOP KOBE OPEN 2017で優勝

2017.04.24.MON 公開

4月20日から23日、兵庫県三木市ブルボンビーンズドームで、車いすテニスの国際大会「DUNLOP KOBE OPEN 2017」が行われ、リオパラリンピック後、右肘のケガで長期休養をしていた元世界ランキング1位の国枝慎吾が復帰した。

国枝は復帰一戦目となった大会初日の坂本圭司戦で6-0、6-0、その翌日の水越晴也戦でも6-0、6-1と快勝。大会3日目、男子準決勝で国枝(世界ランキング11位)は、世界ランキング18位で国内4番手の鈴木康平に6-0、6-0で危なげなく勝利した。初日から落としたゲームはわずかにひとつという、まさに強さを見せつけた形となった。

準決勝ではサービスエースも見られ、鈴木のパワフルなストロークにも打ち負けることなく、バックハンドストロークで、相手がボールに触れることなくポイントが決まるウイナーも決めていった。右肘のケガの不安はなさそうに見えたが、本人はまだ、完全復活への確かな感触は得られていないようだった。

DUNLOP KOBE OPEN 2017でリスタートを切った国枝

本大会の出場を決めたのは、大会の1週間ほど前だった。ようやく練習量が通常どおりにこなせるようになったことで、5月中旬に行われるジャパンオープンを見据えて、少しでも実戦の感覚を取り戻したかったという。

「こうやって大会でプレーすると、(他の選手との)レベルの差はありますけど、やっぱり少し眠りが浅かったり、いろいろ(試合の感覚を)思い出す部分もあったのでよかったです。練習では得られないような緊張感もあるので、ジャパンオープンでどれだけパフォーマンスできるか分からないですけど、出ておく必要はあるかなと思いました」

この日の試合後、「出来はまだ30点」と振り返った国枝。肘の痛みが出ないように、細心の注意を払いながらプレーし、「一日一日無事に終われることを意識している」と話した。

フォーム改革で新たな次元を目指す

2016年、パラリンピックイヤーとして最大に注目されていた国枝だったが、5月に行われた国別対抗戦「世界車いすテニス」の直前の4月に、右肘の手術を受けた。5月2日に行われた「世界車いすテニス」の記者会見で手術を受けたことを明らかにし、会場は騒然となった。その後、開催された「ジャパンオープン」も欠場し、「世界車いすテニス」の出場も危ぶまれた。だが、5月23日から開催された「世界車いすテニス」では、日本のエースとして日本チームを牽引し続けた。決勝でフランスに敗れはしたものの、日本チームを準優勝に導いた。

リオパラリンピックではダブルスで銅メダルを獲得
photo by X-1

しかし、「世界車いすテニス」以降、肘の痛みが再発し、ツアーから遠ざかっていった。パラリンピックも直前のカナダの大会に出場するのみという、異例の調整不足の中でリオ入りした国枝。シングルスは準々決勝で敗れ、ダブルスでなんとか銅メダルを手にした。だが、その銅メダルの喜びもつかの間、リオパラリンピック後もツアーに復帰することはなかった。

テニスはもちろん、トレーニングもやらないという、完全休養を3ヵ月過ごし、今年2月頃からようやく練習を再開した。肘を再び痛めないために、フォームの改造に取り組むことにした。

「肘に負担のないようなフォームを追求してやっているところなんですけど、試合で試すとやっぱり以前のフォームになってしまうので、1ポイントずつ戒めながら新しいスウィングでやるんだぞと思ってプレーしています。まだ打球の行方を全体的に追ってしまっているので、まだまだ不安定というところです。フォームの改造で打球の質もだいぶ変わってきたので、(それを活かして)どうやって戦術を組み立てるとか、また変わってくると思います」

決勝で対戦した眞田卓(世界ランキング9位)に対しては、前日に「眞田選手、結構いいので、なかなか厳しいかもしれないですね。勝てればいいです。スコアは関係ないです」と語っていたものの、23日の決勝で国枝は眞田を6-1、6-3で撃破。見事に復帰戦を優勝で飾った。

アテネでも、北京でも、ロンドンでも、パラリンピックの金メダルを手にした直後に「変えようと思っていることがあって」と言い続けてきた国枝。肘のために取り組んでいるフォームの改良も、必ずモノにし、再び世界王者として君臨する姿を見られることだろう。

※世界ランキングは4月17日付け

text&photo by Tomoko Sakai

『国枝、満を持してツアー復帰! DUNLOP KOBE OPEN 2017で優勝』