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Sports /競技を知る
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金メダリストと競演! 応援アンバサダーのゴスペラーズが語るゴールボールの魅力

6月末、ゴスペラーズがゴールボール日本代表「オリオンJAPAN」の応援アンバサダーに就任したことが発表された。ゴスペラーズのメンバーがゴールボールを体験するイベントで語ったゴールボールの魅力とは?

3月下旬、ナショナルトレーニングセンター・イースト棟。日本におけるアカペラグループの代表格・ゴスペラーズがユニフォームで登場した。メジャーデビュー30周年のゴスペラーズは、2024年の11月に日本ゴールボール協会の設立30周年式典にサプライズ登場し、代表曲『星屑の街』を披露。
リーダーの村上てつやさんは、男子日本代表が金メダルを獲得したパリ2024パラリンピックはほぼリアルタイムで中継を見ていたと言い、「音」という共通項を通じてつながったゴールボールとゴスペラーズのメンバーが体験会で競演した。

共通点はコミュニケーション力!?
視覚障がいのある選手がプレーするゴールボールは、アイシェードと呼ばれる目隠しを装着し、鈴の入ったバスケットボール大のボールを互いに投げ合って得点を競う対戦型の球技。お互いの声やボールの音はもちろん、わずかな音や気配を感じてプレーする。さらには、選手同士のコミュニケーション力も重要なカギを握る奥深い競技である。

音楽との共通点は「聴く力」「呼吸」「信頼すること」。ゴスペラーズのメンバーは体験会のあと、ゴールボールの魅力をこう語った。

「(審判が)『クワイエット・プリーズ』(と発したとき)の空気。音がない状態で始まることはテレビを観ていた人は知っているかもしれないけど、そのときの選手が研ぎ澄まされていく感覚に客席がシンクロしていく空気(は醍醐味)ですよ」(村上さん)
「相手がどこにいるのか、ボールがどの方角からどの方向に流れてくるのか、それが見えてきた瞬間……いや、聞こえてきた瞬間なんでしょうけど、その瞬間が本当に嬉しくて。次はどんな球が来るんだろうとワクワクした」(安岡優さん)

「長きにわたって同じメンバーで活動してきて、みんなメンバーの癖を把握している。ゴールボールの選手の皆さんは、言葉ではなく感覚で通じ合う高度なチームワークがあり、(私たちグループと)似たような関係があると思った。連携や信頼の深さを感じました」(北山陽一さん)

「見えない中で当てずっぽうで動いたら、メンバーを感じ取れないと衝突することがわかった。これがチームスポーツですね」(酒井雄二さん)
「ゴールボールを観るのとやるのは大違い。全然できなかった悔しさもあるけど、楽しかった。面白さをみんなに伝えたいと思います」(黒沢薫さん)

パラリンピック特有の競技とはいえ、ルールがシンプルなことも、ゴスペラーズの心を掴んだようだ。
ゴールボールでは、相手を音で惑わせるためにあえて高い声を出したり、投球しない選手が足音をたてたりするが、体験中にゴスペラーズのメンバーが猫の鳴き声をしてみせるシーンもあり、体験会に参加した強化指定選手たちを驚かせた。
広がった応援の輪
今回、アンバサダーになったゴスペラーズだが、メンバーは東京パラリンピックの頃からゴールボールに注目していた。
酒井さんが2021年の東京パラリンピックで銅メダルを獲得した女子日本代表についてSNSで「女子すごいね」と投稿。

パリパラリンピックで金メダルを獲得した男子日本代表のセンター、萩原直輝が高校生の頃からゴスペラーズの大ファン。ライブDVDの特典である靴ひもをパリに持って行くとSNSに投稿した内容がゴスペラーズファンの中で広がって本人たちにも届き、冒頭のサプライズ登場につながった。
「夢のような時間でした」と萩原。

同じく金メダリストの宮食行次は「ゴスペラーズの皆さんが、失点してすごく悔しそうにしていた姿を見て、改めてゴールボールの楽しさ、初心者の頃を思い出した」と笑顔で語った。

キャプテンの金子和也は、「パリでも(SNSなどで)たくさん応援いただいて本当に嬉しかった。次に結果を出すことで、またいろんな人に知ってもらえると思うので、次も結果を出すことにこだわって強化をしていきたい」と最後は気を引き締めた。
text by TEAM A
photo by Hiroaki Yoda