野口佳子が2年連続アルカンシェル獲得! 2018パラサイクリングロード世界選手権

2018.08.08.WED 公開

8月2日からの4日間、イタリア・マニアーゴで「UCI2018パラサイクリングロード世界選手権」が開催された。
エントリーリストに名を連ねる参加者は45ヵ国343名(※1)。タンデム(※2)、二輪、三輪、ハンドバイクに乗る選手たちが、市街と周辺をめぐる比較的平坦な周回コース(1周約13km)を駆け抜けた。
※1 タンデムのパイロットを除く
※2 二人乗りの二輪自転車。パラサイクリングでは視覚障がいのある選手が後方に乗る

日本チームは、高次脳機能障がいの野口佳子(障がいクラスは女子C2)、右大腿切断の藤井美穂(女子C2)、左大腿切断の川本翔大(男子C2)、視覚障がいの木村和平(男子B/パイロットは倉林巧和)の4選手が出場した。なお、2015年のパラサイクリングロード世界選手権でロードレース(男子C3)を制し、今回も活躍が期待されていた藤田征樹は、現地での大会前の練習中に落車し腕を骨折。無念の参加とリやめとなった。

左から、川本、野口、藤井、木村、パイロットの倉林 ©JPCF

野口が2年連続の偉業達成!

女子C3の野口は、まず8月3日のタイムトライアルで銀メダルを獲得。続く5日のロードレースで優勝し、2018年の世界チャンピオンの座に輝いた。

ロードレースで世界チャンピオンに輝いた野口(写真中央)©JPCF

野口は2017年の同大会(南アフリカ)タイムトライアル(女子C3)で優勝し、世界チャンピオンとなっていたが、今年3月のパラサイクリングトラック世界選手権(ブラジル)の大会中に、より障がいの程度が重い女子C2クラスへの変更を通告された。そのため、今回は藤井美穂とともに女子C2の日本代表としてレースに出場。新しいクラスで再びアルカンシェル(虹色のチャンピオンジャージ)獲得に挑戦した。

今回の女子C2ロードレースは54.4km(4周)で行われた。
「何度もアタックをかけたんですが、一旦差が開いてもその都度追いつかれて……その繰り返しでもうダメだと思ったんですが、最後の50mのスプリントにかけました。コーチの作戦通りです」と野口は語った。

もともと健常者のレースで走っており、レース中の負傷で障がいを負った野口。他国の選手たちと協調してチャンスを見つけ、アタックを仕かけるという、自転車選手の感覚が身についているのは大きな強みだ。
「実業団フェミニン(※)とパラサイクリング世界選手権は走る人数も距離も展開も似ているところが多く、国内でも良い経験をさせてもらえることに感謝しています。私が日本の健常者レースに出ることで、一緒に走る健常者選手たちにもパラサイクリングを身近に感じてもらえたら嬉しく思います」
※全日本実業団自転車競技連盟が主催する日本の国内レースの女子カテゴリー、Jフェミニンのこと

クラス変更についてだが、パラサイクリングの主要国際大会で、新人やクラス判定継続中とされている選手が、競技日程に先立って行われるクラシファイヤー(クラス分け委員)による選手ごとの個別面接と、競技中のオブザベーション(観察)により、大会中にクラス変更を言い渡されるのは通常のことだ。野口も「とくに変更の理由は説明されていない」という。
野口が優勝したロードレースでは女子のC2とC3が同時刻にスタートしたため、「元のクラスの選手たちと一緒に走れたのも、よく知った顔ぶれで良かった」と振り返った。

自国開催のパラリンピック出場へ一歩前進

さて、大会を終えて気になるのは、パラサイクリング(ロード、トラック)の東京2020パラリンピック出場枠。2018から2020年にかけて行われる指定された大会での国別獲得ポイントの合算を元にし、各国への配分(男子150人、女子80人)が決定される。

そのうち、まずは2018年12月31日時点で、ランキング上位国から各国に1枠ずつ(男子45人、女子25人)割り当てられ、その中でアジアでは男子6、女子3が配分される(残りの枠は、男女各5の招待枠を除き、2020年6月7日までのロードとトラックを合わせた国別ランキングを元に世界各国に配分される予定だ)。

獲得ポイントが大きい世界選手権での入賞は東京への重要な上積みとなり、今大会での川本の成績(ロードレース4位、タイムトライアル10位)や藤井の成績(タイムトライアル6位、ロードレース7位)は日本チームにとって大きな財産だ。

ロードレースで4位だった川本(前から2人目)

3月の野口のクラス変更だが、コミュニケ(※)には「RFD2019」(2019年に見直し)と付記されている。近年、パラサイクリング日本チームではポイント獲得戦略上、同じクラスに複数名のナショナルチーム選抜は見られなかったが、来年の野口のクラス分けの状況によっては、2020年時点で日本の女子が獲得できる合計ポイントは、今後変わってくる可能性がある。野口の活躍はもちろんのこと、東京パラリンピックに向けて女子2名出場実現のカギとなりそうな23歳・藤井の地道な頑張りにも注目したい。
※競技結果、時間変更の連絡、審判団からの通告など、大会期間を通してチームや報道などに随時配布される文書

タイムトライアル6位の藤井

text & photo by Yuko Sato

『野口佳子が2年連続アルカンシェル獲得! 2018パラサイクリングロード世界選手権』