【独占取材】日曜劇場『GIFT』のリアリティはいかにして生まれたか。キャストが語るモデル選手への敬意と、車いすラグビー日本代表へ贈るエール

【独占取材】日曜劇場『GIFT』のリアリティはいかにして生まれたか。キャストが語るモデル選手への敬意と、車いすラグビー日本代表へ贈るエール
2026.05.15.FRI 公開

ドラマ日曜劇場『GIFT』の劇中、車いすラグビーに魂を注ぐ「ブレイズブルズ」のメンバーたち。そのリアルな演技の裏側には、徹底した役作りがあった。

5月3日の「2026ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」トークショーでは、キャスト陣が乗松隆由選手の自宅を訪ね、酒を酌み交わして交流を深めた秘話を披露。選手の日常や本音に触れることで、役柄に深みが増したことをうかがわせた。

トークショーに参加した(左から)乗松隆由選手、細田善彦さん、八村倫太郎さん、ノボせもんなべさん
photo by X-1

パラサポWEBは、ブレイズブルズのローポインターでキャプテン<立川夏彦>を演じる細田善彦さん、オレンジの髪色がトレードマークのミドルポインター<中山好太郎>役の八村倫太郎さん、同じくミドルポインターで“マジ派”の一人、<久保田一信>役のノボせもんなべさんを直撃取材! 撮影中の苦労話から、日本代表選手たちへの熱烈なエールまで、役柄や競技に対する、彼らなりの考えを改めて聞いた。

選手本人も驚愕。細田善彦が作り上げたリアルな所作

細田善彦さんが演じるブレイズブルズのキャプテン<立川夏彦> ©TBS

モデル本人や知人が驚愕するほど、シャルコー・マリー・トゥース病特有の所作を忠実に表現していたという細田さん。まずは、<立川夏彦>のモデルとなった乗松隆由選手(愛称:タカ)から届いたコメントを紹介したい。

細田善彦様へ
「モデルのことをお伝えしていない友人・知人からも『あのキャプテン、タカがモデルでしょ!』と言われるほど、私の動きを完璧に表現してくれました。指を曲げるために手に力を込め、手首は脱力して見せる。そんな状態で動いたり台詞を言ったりするのは大変だったと思います。細田さん以外に、この完璧な立川は演じられなかったと私は思います。本当にありがとうございました」

この言葉を受け、細田さんは「タカさんと相談しながら立川という役を作り上げてきたので、ご友人たちにそう言っていただけることは、タカさんと一緒にガッツポーズをしたいほどうれしいです」と語った。

また、タカさんと飲みに行ったエピソードについても言及。「車いすの方と2人きりで外出するのは、自分にとって初めての経験でした。タカさんの後をついて歩く中で、それまで意識していなかった道路の構造や段差に気づくようになりました。それは自分自身の大きな変化だったと思います」と振り返る。

そうした交流で得た気づきが、細かな演技に反映されている。

とくに、2人が対話を重ねて作り上げた、第3話の自宅シーン。有村架純さん演じる雑誌記者・霧山人香にお茶を差し出す際の細かな動作などは、ぜひ改めて注目してほしい。

八村倫太郎がダンサーの体幹を封印して挑んだ演技

八村倫太郎さんが演じるオレンジの髪色がトレードマークの<中山好太郎> ©TBS

ハイポインターでもローポインターでもなく、その中間の「ミドルポインター」を演じた八村さん。体幹を使わずに動く演技は難しいと聞きつつも、「やりがいを感じていた」と語る。今回、日常の所作やプレーを監修した日本車いすラグビー連盟の三阪梢さんからコメントが届いた。

八村倫太郎様へ
「2.0クラス特有の『手のひらを使って漕ぐこと』や『丸まった背中』を見事に習得。八村さんの努力の結晶が劇中に表れていますよね。選手たちが円になって話しているときの『けいせい抜き(体が硬直しないように伸ばすこと)』のシーンがあまりにも自然で、タイミングよく入れてくださっていて素晴らしいなと感動しました」

この称賛を受け、八村さんは明かす。
「普段はダンスをしていて、常に体幹を使って動くようにしているので、体幹が効かない役を演じきれるか不安でした。車いすの稽古に入るのもスケジュールの都合で遅くなってしまったのですが、日本代表の中町俊耶選手のプレー動画を見たり、現場で梢さんに教えていただいたことを大切に演じていたので、このコメントはすごくうれしいですね」

また、八村さんは「ラグ車(競技用車いす)に乗っているときはグローブをしているので安心感があるのですが、いざグローブを外して日常生活を演じるときは、すごく緊張しました」とも振り返る。第4話の食事シーンなど、細部にまで宿る八村さんの「努力の結晶」を、ぜひ隅々まで注目してほしい。

ムードメーカー・ノボせもんなべの“体幹を使わない”遠投

ノボせもんなべさんが演じる“マジ派”の一人<久保田一信> ©TBS

演技だけでなく、現場を笑いで和ませるムードメーカーとして存在感を発揮していたというなべさん。八村さんと同じく「ミドルポインター」の指導役である三阪梢さんから温かいメッセージが寄せられた。

ノボせもんなべ様へ
「『体幹を使わない演技をしながら遠投をする』という難しい演技がめきめきとうまくなっていて、ものすごく感動しました。ドラマの2.5クラスの動きの中でも、『久保田(役名)の体幹を使わずボールを投げている動き』が私のイチオシです。 観客エキストラさんを盛り上げて士気を高めてくださったり、撮影前のストレッチでも毎回和ませてくれたり、たくさんの笑いをありがとうございました!」

大学までハンドボール選手だったというなべさんは、「どうしても全身を使って体をひねって投げる癖が抜けず、現場では苦労しました。モデルとなった荒武優仁選手の所作を観察し、日常用車いすからラグ車への乗り移りやドリンクの飲み方などをずっと研究していました」と明かす。「あるとき、梢さんが駆け寄ってきたので『怒られる!』と身構えたら、『今の所作、選手っぽかった!』とすごく褒めてくださって。パスのシーンが成功したときなどは、まるでお母さんに褒められたようで本当に嬉しかったですね」

画面には映らない「バナナを剥くシーン」ひとつ取っても、自分なりにこだわり抜いたというなべさん。その高いモチベーションが、作品のリアリティを支えている。

3人からパラリンピックで連覇を目指す日本代表へエール!

最後に、作品を通して車いすラグビーの深さに触れた3人に、日本代表への想いを語ってもらった。

細田善彦さんより
「まずは、ご自身のトレーニングや練習がある中、我々キャストやドラマチームに対して、多くの選手が代わる代わる教えに来てくださったことに心から感謝しています。撮影が始まってからも、日本代表合宿の合間を縫って試合シーンの撮影に駆けつけてくださったり、対戦相手として出演してくださったりと、ドラマ『GIFT』を全面的にバックアップしてくださったことが本当にありがたいです。

ドラマが始まってから、お会いする選手の皆さんが『楽しかった』『面白いね』と声をかけてくれたことがなによりもうれしいです。私はこれまでスポーツに打ち込む経験が少なかったのですが、この作品で車いすラグビーに出会い、『ブレイズブルズ』というチームで部活のような感覚を味わえたのも、貴重な経験でした。

今日(ジャパンパラで)改めて試合を生で観戦して感じたのは、『時間の使い方』の面白さです。残り数秒でどうトライを決めるかといった時間管理や、タイムアウトの取り方など、生で見るからこそ分かる戦術の一つひとつに圧倒されました。
ドラマの放送が始まった4月を境に、日本中での車いすラグビーへの注目度は間違いなく上がっています。微力ながら、これからも応援します!」

八村倫太郎さんより
「恥ずかしながら、このドラマを通して車いすラグビーと出会うまで、パラリンピックで金メダルを獲得されたことさえ、本当は存じ上げませんでした。ですが、今日国際親善試合の決勝を観戦して、自分自身の高揚感にとても驚きました。このスポーツの面白さと凄まじさに、いつの間にかのめり込み、今ではその魅力に完全に取りつかれています。

こうした感動があるのは、間違いなく最前線で車いすラグビーやパラスポーツを盛り上げようと尽力されている、選手たちのおかげです。今後もドラマ『GIFT』という作品を通して、競技の盛り上がりに少しでも貢献できればと考えています。今も目標に向かって全力を尽くされている選手の皆さんを、これからも心から応援しています。自分自身も『GIFT』がその一端を担えるよう、これからも精一杯がんばります!」

ノボせもんなべさんより
「車いすラグビーは、パラスポーツの中でも一番激しく、体力も使う、とんでもないスポーツだと思います。アルミやチタンといった金属同士がぶつかる『バコーン!』という、肉弾戦以上の凄まじい音が響きます。普通に転倒したりするほどの、あの強烈なインパクトには本当に心を揺さぶられます。だからこそ観ているこちらも熱くなりますし、細かい戦術も知れば知るほど奥が深く、面白いスポーツだと感じています。

私自身、当初は『パリパラリンピックで優勝した』という程度の知識しかありませんでしたが、ドラマ『GIFT』を通じてその楽しさを教えていただきました。皆さんの強さは誰もが知るところですが、その強さのまま突き進んでいただきたいです!

より多くの人がこの競技を知れば、一度知った人は必ずその面白さにハマるはずです。私たちもドラマやイベントを通じて、一人でも多くの方に車いすラグビーの素晴らしさを知っていただけるよう努めていきます」

text by Asuka Senaga
key visual by X-1

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