-
-
Sports /競技を知る
-
-
苦手なコースでも優勝! パラリンピックの「リハーサル」で川除大輝が成長を実感

2月7日と8日の2日間、「CO・OP第28回全日本障害者クロスカントリー競技大会」が1998年の長野オリンピック・パラリンピック冬季競技大会のクロスカントリースキー会場「スノーハープ」で開催された。
「ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会」前最後のレースということで、約40人のメディアが集まったほか、パラリンピック金メダリストの新田佳浩、川除大輝、国内女子トップ選手の阿部友里香が所属する日立ソリューションズの「応援団」らも会場入り。フィニッシュエリアは花道のように活気づいた。
1ヵ月後に表彰台を目指す川除&新田
今大会は2日間続けて競技が行われ、3月10日、3月11日のパラリンピック本番と同じ種目で同じ順番。日本代表選手はそれぞれリハーサルとして本番をイメージしてレースに臨んだ。
初日はスプリント(クラシカル)。1.25㎞と短い距離のほとんどは、スタートとフィニッシュ地点がある平たんなメイン会場を滑走する。「少し自分の苦手なコース」と話したのはエースの川除。意識するポイントを押さえながら走ることができた」と収穫を口にした。本番も平たんな路が多いことが予想される。ノーストックで走る川除は、レース中に休めるポイントがない。今大会は、予選は8割で走り、徐々に上げていくペース配分で走り、決勝ではガッツポースでフィニッシュした。
4年前の北京大会は、20kmクラシカル(立位)で金メダルを獲得した。2大会連続金メダルという目標を口にしながらも、「自分の滑りを第一にし、パラリンピック自体を楽しみたい」とおだやかな口ぶりで決意を述べた川除。今大会でも自信の成長を感じることができたといい、ロシアや中国の勢力が増す中、3回目のパラリンピックに臨む若きエースに焦りはない。
スプリントで予選1位ながら決勝は2位だったレジェンドの新田は、優勝した川除に「空気読んで」と冗談を飛ばしつつも「(予選、準決勝、決勝の)3本を滑りきることができたことは非常によかった」と表情は明るい。天候が変化する中で、ワックスの調整やスキー板の選択なども本番をイメージして行い、レース勘を取り戻した。
クラシカルが得意な阿部はスプリントで勝負
この日のレースは、立位、座位、視覚障がいに加え、男女も一緒に滑るオールコンバインド形式で行われ、予選で23人(組)が走り、準決勝2組に各6人が進出。決勝には、新田、川除、阿部、佐藤(以上、立位)、視覚障がいの有安諒平(藤田佑平ガイド)、座位の源貴晴が勝ち上がった。女子立位の阿部が川除、新田とともに表彰台に上がった。
スプリントは、複数種目に出場する阿部の本命種目だ。距離が短いとはいえ、決勝に進出するためには、複数のレースを勝ち抜かなければならない。一日を通して走行距離が長くなるため、阿部は後半バテてしまい、身体が動かなくなることがあるという。
そこで、本番を見据えてウォーミングアップやレース間の過ごし方を変えてみたところ、いい変化が見られたようだ。
「アップやダウンの時間を短くし、室内で休むなどした。緩やかなコースだったことも影響しているかもしれないが、普段の大会よりは決勝でパワーを出せた」
最後まで力を残すことができなかったというものの「(この方法が)合っているかも」と阿部。
2023歳4月に長女を出産。妊娠中からミラノ・コルティナ大会出場を目標に掲げ、計画的にトレーニングに励んできた。本番は、3月10日。「自分のパフォーマンスを発揮し、皆さんにいいパフォーマンスを見せたい。結果は自ずとついてくると思います」
表彰台に上がった3人は同じ所属。「日立ソリューションズの牙城を崩せなかったのは非常に悔しい」と話したのは、トライアスロンとの二刀流で冬季大会5回目のパラリンピック日本代表の座を掴んだ佐藤圭一。今シーズンは、虫垂炎で出遅れたものの、調子は戻ってきたといい、本番では重きを置くバイアスロンに加え、クロスカントリースキーにもエントリーする予定だ。
2日目は川除が「(本番でも、強豪に)勝ち目がある」と語る男子10kmクラシカルが行われた。
2日続けて表彰台の中央に上がった川除は、「落ち着いて入り、徐々に上げていく展開をイメージして臨んだ。後半もいいイメージで走れた」と手ごたえを語った。
現在、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのクロスカントリースキーが行われているテーゼロ・クロスカントリースキー・スタジアム。パラリンピックでは、表彰台に上がる日本選手の姿を見ることができるか。
「パラリンピックの醍醐味を感じながら、表彰台を目指してやっているので、その目標は変えないように頑張っていきたい」とは、前回大会で表彰台を逃し、悔し涙を流した新田。高いレベルの中で再び頂点を目指す、選手たちの大一番が刻々と近づいている。
text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda