2017.03.08

【水泳】[パラ水泳春季記録会]東京を目指す若手選手らがワールドパラ世界水泳へ

パラ水泳春季記録会兼ワールドパラ世界水泳選手権大会代表選手選考会が3月5日、静岡県の富士水泳場で開催された。

リオパラリンピックで“トビウオパラジャパン”は、計8個のメダルを獲得。その日本代表をかけた最後の選考会だった昨年は、報道陣が大挙して詰めかけ、異様な雰囲気のなか記録会が進んだ。そして翌日、45歳だった成田真由美が見せた、会心のガッツポーズが新聞各紙を飾った。パラリンピック出場経験のあるベテラン勢の勝負強さが光った一方で、2020年東京開催を控える日本の新戦力不在が浮き彫りになったのも事実だ。その分、今大会は若手の奮起が期待された。

さらに、今大会は9月にメキシコシティで開催されるワールドパラ世界水泳選手権の代表選考を兼ねており、派遣標準記録を突破した選手にそのまま内定が与えられる。パラリンピックの代表選考ではないが、東京パラリンピックをにらみ、調整力や精神力も問われる厳しい一発選考方式を採用することで、競技性をより高めようという強化方針なのだろう。かくして、2020に向かうパラスイマーそれぞれの挑戦が始まった。

小池、宇津木ら新鋭台頭

女子は15歳の小池さくらが400m自由形(S7)の「派遣標準記録2」(1995年以降に生まれた若手選手の基準)を突破して初の代表入り。目標としていたリオパラリンピック出場を逃した悔しさを糧に、週2、3回、健常者とともに練習を重ね、持久力をつけてきた。「いろんな種目に挑戦してみたかった」と話し、今大会は4種目にエントリー。100m自由形では日本新記録を樹立するなど活躍した。念願の日本代表内定については、「初の代表で緊張しているが、力強い泳ぎをしたい」と意気込んだ。


平泳ぎで目標タイムをクリアした宇津木

小池同様に2017年の強化指定選手のなかでも、成長著しい存在が、宇津木美都だ。専門種目である100m平泳ぎ(SB9)で派遣標準記録を突破。コーチから口酸っぱく言われているという、水中での体重移動を意識して泳いだ結果、自身も驚くほどタイムが伸びたと振り返る。まだまだ伸び盛りの14歳。「平泳ぎ以外でも戦える選手になりたい」と言い、世界水泳に向けてスタミナ強化に励むことを誓った。



東海林、中島らも好調維持


一着でフィニッシュした東海林

知的障がいクラスは男子8人が代表に。近年国内トップに君臨しながらも、昨年の選考会で力を発揮できず、リオ日本代表を逃した東海林大は、200m 個人メドレー(SM14)、200m 自由形(S14)ともに一着で日本代表切符。レースを振り返り、「自分の力が出し切れるか不安だったが、最後まで投げやりにならないで泳げた。いい大会になった」と興奮気味に喜んだ。

リオで日本選手団最年少のメダリストとなった中島啓智は、2種目で派遣標準を突破した。200m 個人メドレーではライバルの東海林に破れたものの、100m バタフライ(S14)で59秒56の日本新記録樹立。「うれしいのもあるけれど、できるだけ早めにアジア新、世界新を出せるよう、もっとがんばりたい」と力強くコメントした。



また、100m背泳ぎ(S14)銅メダリストの津川拓也は、得意の同種目で日本代表に。フィニッシュ後、電光掲示板を見て、両手でガッツポーズをしてみせた。女子は木下萌実が代表入り。この他、知的障がいクラスでは今後、国際クラス分けを受け、クラスが確定すれば内定となる選手も3人おり、さらなる切磋琢磨を期待せずにはいられない。

リオパラメダリストの木村、エースの貫禄

注目の木村敬一(S11/視覚障がい)は、昨秋に一ヵ月半のオフを取った後、初めてのレース。自己ベストにはほど遠かったものの100mバタフライで派遣標準をクリア。さらに100m 自由形は日本記録を更新し、エースの貫禄を見せた。

リオでは2個の銀メダルを含む4個のメダルを獲得するも、金メダルには届かなかった。2020年の東京パラリンピックを目指すかどうかについて「考えた結果、もう少し考える」と明言を避けたものの、1、2月には標高2300mの場所で行われる世界水泳の高地対策として、準高地での合宿を行ったという。連覇を期待される世界水泳について「標高の高いところでどれだけできるか」と語るなど、気持ちはすでに世界を向いているようだった。

その他、鈴木孝幸(SB3/SM4)、成田真由美(S5)、中村智太郎(SB7)らベテランも健在。リオの50m自由形(S9)メダリストで、東京パラリンピックの金メダルを目指す山田拓朗は、新たにチャレンジしている200m個人メドレーで派遣標準をクリアした。

リオを経験した、19歳の一ノ瀬メイ(SM9)、18歳の池愛里(S10)は、「派遣標準1」を切って“真の代表”入り。代表チームを束ねる峰村史世監督も「パラリンピアンの自覚が出てきた」と評価した。昨年から体幹トレーニングに取り組む22歳の小野智華子(S11)も好記録を連発。若手女子の台頭が際立つ大会だった。

今大会で22人が日本代表に内定。メディカルチェックを経て、正式に代表となり、世界水泳を戦う。さらに20歳以下の若手選手は、12月にアジアユースパラ競技大会(ドバイ)を控える。2020に向けてスタートを切った選手たちは、どのような道のりを歩むのか。その成長の過程から目が離せない。


text by Asuka Senaga,photo by X-1
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