2018.01.12

【ゴールボール】[2018 Goalball Japan Men’s Open]東京パラリンピックに向けて世界との差を埋める! 男子ゴールボール日本代表が4ヵ国を招いて強化試合

ゴールボール男子日本代表の強化を目的に、オーストラリア、ベルギー、韓国、タイが招かれ、「2018 Goalball Japan Men’s Open」が1月7日から8日にかけて千葉県の佐倉市民体育館で開催された。ベルギー(世界ランキング10位)が決勝戦でタイ(同21位)を10-1と圧倒し、優勝した。ベルギーは予選リーグから決勝トーナメントまで4試合全勝での栄冠だった。

2チームが出場し、世界のレベルを経験

昨年8月のアジア・パシフィック選手権大会で3位に入り、今年6月にスウェーデンで開催される世界選手権出場を控える日本(同14位)は強化指定選手から2チームが参戦した。それぞれ予選リーグを1勝1敗で決勝トーナメントに進出したが、準決勝でチームAがタイに4-8で、チームBがベルギーに6-7で敗れ、ともに3位決定戦に回った。チームAがBを6-4で下し、3位に入った。韓国(同20 位)が5位、オーストラリア(同25 位)が6位だった。

男子の試合はパワフルで、スピード感にあふれ、どの試合も見応えたっぷりだったが、なかでもベルギーと日本Bによる準決勝は圧巻だった。一進一退の攻防が続き、今大会で唯一の延長戦にまでもつれる熱戦の末、ベルギーに軍配が上がった。


高校生の成長株・金子

試合開始3分に、金子和也がすばやい切り返しから、相手センターの手を弾いて先制。さらにベルギーのファウルから伊藤雅敏がペナルティスロー(PT)を相手左サイドに突き刺し、2-0とリードを広げる。だが、ベルギーも反撃し、立て続けの失点で追いつかれる。緊迫した攻防がつづき、残り1分で金子が加点するも、ベルギーもすぐに追いつき、前半は3-3で終了する。



後半も両者一歩も引かない試合を展開となった。開始2分、ベルギーに反則があり、伊藤に代わって入っていた小林裕史がPTを右コーナーから対角線にコントロールよく投げ込みリードするも、その2分後には強烈なボールが堅守の川嶋悠太の手を弾き、追いつかれる。ベルギーが加点し離されかけるが、残り4分で小林の得点で追いつき、交代して入った伊藤が高速グラウンダーをストレートに投げ込み、リードを奪い返す。ぎりぎりのせめぎ合いが続いたが、残り1分でベルギーが追いつく。6-6で、今大会唯一の延長戦に突入した。

延長戦は3分ハーフのゴールデンゴール方式(一方が得点した時点で試合終了)で行われる。延長前半、両者とも一歩も引かない攻防を見せたが、終了間際の残り14秒でオフィシャルタイムアウトによる中断があった直後、ベルギーのレフトがほぼストレートに投げたボールが日本の右ポスト際に突き刺さり、日本は敗れた。

守備の要で、司令塔も担うセンターの川嶋は試合中、よく声を出しゲームメークしていたが、「5点以内で抑えれば勝てると思っていた。いい雰囲気でゲームが進んでいたが、悔しい。最後までしっかり締められるようセンターとして頑張りたい」と前を向いた。

金子は、「ベルギーのボールには試合の終盤になって、『絶対決めてやるぞ』という気合いが感じられるようになった。それは、日本にはまだ足りない部分だと思う。日本(チーム)では受けられないボールなので楽しかった」。高校3年生の成長株にとって、またとない経験となったようだ。


日本Bの伊藤が得点王に輝いた

4試合で25点を奪い、得点王に輝いた日本Bの伊藤雅敏は、「自分一人の力でなく、フェイクなどもあり、チーム皆で取ったもの。あと2、3点でも多く取れれば、勝利できたと思うと満足はできない。ベルギー戦は必死に食らついたつもりだが、あと一歩足りなかった」と悔しさをにじませた。

一方、ベルギーのJ・デリックヘッドコーチは、「相手の弱点を突いていくのがゴールボール。日本の守備が堅かったので、選手にはとにかく狙い所に正確に投げるよう指示した。試合中盤、集中力を欠いたが、延長戦では落ち着きを取り戻し、やるべきことをやれたことが決勝点につながった」と話し、エースのK・マプリニは、「動きの速い日本に対して、よく守ったと思う。チャンスは両チームにあったが、自分たちを信じて強い気持ちで戦えたことがよかった」と勝因を挙げた。



また、日本チームの主将で、チームAで出場した信澤用秀はベルギーと互角に渡り合ったチームBについて、「強豪相手に攻め、守れたことは手応えがあったはず」と評価し、そのBに競り勝ったチームAは、「若い選手の自信になった」と収穫を口にした。一方で、ショットの精度や守備の姿勢などの課題も浮き彫りになったと話し、「選手各自が今大会を振り返り、世界選手権に向けて高めるための、いい材料を手にできた」と前向きに話した。

チームAのライトとして4試合ほぼ出ずっぱりだった山口凌河は得点力を期待される若手の一人。「身体的には疲れたが、仲間のおかげで頑張れた。後半に失点が増えるので、持久力をつけて守備力も高めたい。チームの『元気印』として声を出し、盛り上げることはできた」と笑顔を見せた。

開催国として迎える2020年に向けて

ゴールボールは視覚障がい選手を対象にした対戦型の球技だが、とくに男子の魅力はスピード感とパワフルさだ。鈴入りのボールはバスケットボール大ながら重さは約2倍の1.25kg。ずっしりとしたボールを軽々と操り、高速で投げ込む。男子は「格闘技」とも言われ、信澤は「殴り合い」と表現する。実際、ボールが選手に当たったときのズンという鈍い衝撃音は相当なダメージであることを想像させる。試合展開もめまぐるしい。女子は1点の攻防という接戦になることが多いが、男子は点取り合戦になることも多く、得点力も重要だ。

日本は、2012年のロンドンパラリンピックで女子が金メダルを獲得したが、男子は世界の壁もより高く、パラリンピック出場経験はまだない。今大会は開催国として迎える東京パラリンピックに向けて、男子強化指定選手の強化を目的に、大会前2日間の合同合宿も含めた強化プログラムとして、昨年から実施されている。日本ゴールボール協会によれば、来年以降も継続の意向という。


池田ヘッドのもと実戦で力をつけた

池田貴日本男子代表ヘッドコーチは陸続きの欧州に比べ、国際試合の機会が少ない日本にとって、国内での国際大会開催は海外遠征と同等の予算でより多くの選手が参加できると話す。通常、ベンチ入りは最大6人だが、今大会は2チーム10人が参加でき、高校生も2人が名を連ね、実際に貴重な経験を積むことができた。

また、試合結果については、「(ベルギー戦など)勝ち切れなかったのは残念。最後まで競った試合ができたのはよかったが、あと一歩、相手を押し切るボールのスピードや力、精度、メンタル面などでさらなる強化が必要」とし、最大目標に掲げる2020年大会でのメダルまで、「距離は見えている。しっかり強化したい」と意気込んだ。



体格差もあり、ボールのスピードや威力ではまだ海外勢に分があるが、守備の堅さや動きの俊敏性、チームワークでは互角以上の可能性も示した日本代表。今回つかんだ手応えと課題を糧に、さらに進化してほしい。

※世界ランキングは2017年12月31日現在


text by Kyoko Hoshino
photo by X-1
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