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Sports /競技を知る
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【Go for LA 2028】編集部イチ押し! パラスポーツ界の新星たち

2028年にロサンゼルスで行われるパラリンピック開幕まであと3年! 今回は、エンターテインメントの発信地で開催される華やかな舞台を目指し、トレーニングに励んでいる「パラスポーツ界の新星たち」を紹介する。
【水泳・前田恵麻】初の世界選手権を控える18歳
4月に静岡県富士市で行われたパラ水泳のワールドシリーズ。大学生になったばかりの前田恵麻(まえだ・えま)は、200m個人メドレー(SM9)で自己ベストを約3秒縮める「納得のタイム」で泳ぎ、日本パラ水泳連盟「育成指定選手」カテゴリーで唯一、世界選手権(9月/シンガポール)日本代表の座を掴んだ。
photo by X-1
「得意の背泳ぎでラップを縮めることができた。泳ぎこみで体力アップした成果。本当にうれしい」
4歳のときに事故で左前腕を切断。水泳はリハビリとして取り組んでいたが、小5から本格的にパラ水泳を始めた。ワールドシリーズでは、念願だった世界選手権の日本代表を手中に収め、涙を見せるシーンもあった。
「大きな目標はロサンゼルス。その出場にあたって第一段階である世界選手権の(21歳以下の派遣基準B)タイムを突破できた」と安どの表情を見せた前田。初めての世界選手権については「自分に足りないところなど、新たな発見があると思う」と冷静に見据えた。
メイン種目は100m背泳ぎ。伸び盛りの18歳は、世界で活躍するスイマーたちに食らいつけるか。
photo by X-1
【車いすラグビー・西村柚菜】陸上競技と金メダル競技の二刀流
この7月、愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の会場で行われた「2025ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」。日本代表が優勝したこの大会のエキシビションゲームに、もうひとつの日本代表が出場した。海外チームとの試合経験を積むために結成された「エキシビションチーム」だ。22歳の新人、西村柚菜(にしむら・ゆうな)は、障がいの持ち点3.5クラスの女性プレーヤーとして縦横無尽にコートを走った。
「海外の選手と初めてプレーをしてみて、(身体の)大きさや力強さにびっくりし、(当たりの強さによる)重さを実感しました」
photo by X-1
パリ2024パラリンピックで日本代表が金メダルを獲得した車いすラグビーは、激しいタックルが魅力のスポーツだ。西村は「正直、初めて見たときは怖さがあったけれど、実際にやってみて怖さより楽しさが勝った」と明かし、今年初めから陸上競技との二刀流を決意した。
大学の講義中に事故で頚髄を損傷し、車いす生活になった。陸上競技に取り組み、車いすT52クラスで100m、400mの日本記録を保持する。
「陸上もやっているのでランには自信がある。もっと自分のランを強みにできるようなプレーがしたい。国内で頑張って国際大会に出られるようになりたいです」
陸上競技のT52クラスは現在、パラリンピックで実施されていないが、車いすラグビーでは日の丸を背負うチャンスがある。
パラリンピック出場を見据えた西村の挑戦が始まった。
photo by X-1
【パワーリフティング・日野雄貴】大幅に記録を更新し、世界戦デビューへ
photo by Atsushi Mihara
パワーリフティングで記録を大幅に更新中のホープ・日野雄貴(ひの・ゆうき)は、6月のチャレンジカップ京都で目標としていた記録の178㎏(世界選手権の標準記録)を挙上。しかし、審判の失敗判定により記録にならず、唇を噛んだ。
それでも、選手選考委員会推薦により、2028年のパラリンピックに向けて重要な位置づけとなる世界選手権の日本代表(80Kg級)に。
「僕は新人なので……世界選手権の標準記録を意識しないでチャレンジカップ京都に出場する選択肢もあったけれど、より難しい方向にチャレンジして自分のレベルを磨いていくことは大切だと思った。178㎏が見えたので、世界選手権では180㎏を目指したい」
photo by Atsushi Mihara
世界戦デビューとなる世界選手権(10月/エジプト)は、自身にとって初めての海外だ。
「飛行機に乗るのも人生2回目。きっと試合で緊張している暇はないんじゃないですかね……」
ウォーミングアップを念入りに行う日野。海外でスケジュール変更があった場合に備えてメニューを工夫するなど対策をして臨む。さまざまな経験を経て、日野は強いパワーリフターになっていく。
text by TEAM A
key visual by Atsushi Mihara