[SRCアスリート・スポーツ交流会] 障がい者も、健常者も一緒に。パラリンピアンらの指導に子どもたちの笑顔咲く

[SRCアスリート・スポーツ交流会] 障がい者も、健常者も一緒に。パラリンピアンらの指導に子どもたちの笑顔咲く
2016.04.07.THU 公開

満開の桜並木に囲まれた千葉市・青葉の森スポーツプラザの陸上競技場で4月3日、スポーツを通して交流を深めることを目的とした、「アスリート・スポーツ交流会 in千葉」が開催され、未就学児から中学生まで約70人の子どもたちが、パラリンピックやオリンピックなど国際舞台を経験したトップ選手の指導による陸上競技を体験した。

誰もが参加できるクラブが千葉に誕生

この交流会の大きな特徴は、障がいのある子どもとない子どもが交じり合っていたこと。体験できる種目は短距離走、走り高跳び、マラソン、ハードル走の4つだったが、参加者はどれを選んでもよく、また1回20分のセッションが4回繰り返されるので、1回ずつ移動して全種目を体験するもよし、気に入った種目を繰り返すもよし、各自のペースで楽しめるよう工夫されていた。

主催したのは、NPO法人シオヤ・レクリエーション・クラブ(SRC)。千葉県内で、障がいの有無に関係になく誰もが参加できる陸上教室やレクリエーション活動を行っている。前身のランニングクラブから名称変更し、4月1日にNPO法人化された。交流会はその記念イベントだった。

誰もが参加できるクラブを設立した塩家氏
誰もが参加できるクラブを設立した塩家氏

代表の塩家吹雪氏は、パラリンピックや世界選手権で視覚障がい選手の伴走をした経験を持つ。さらに、AC・KITA(東京)という障がい者と健常者が一緒になった陸上クラブの代表も務めており、「ぜひ千葉にもつくってほしい」という声に応えて3年ほど前、シオヤ・ランニング・クラブを立ち上げた。そして、「子どもたちにはランニングだけでなく、もっと幅広い活動が大切」とこの春、体制を変更。5月には田植え、8月には潮干狩りなど月ごとに多様な行事を計画している。

塩家氏は開会式で「参加者の皆さんのなかにはパラリンピックやオリンピックを目指したいと思う人もいるでしょう。常に前進する気持ちがあれば、必ず夢に近づける。この交流会をスタートラインに、共に歩んでいきましょう」と熱く語りかけた。

参加者はもちろん、講師を務めた選手たちにも大好評!

短距離走のお手本を見せる木村と多川(右)
短距離走のお手本を見せる木村と多川(右)

交流会で短距離走の講師を担当したのは、ロンドンパラリンピック100m(T47)5位入賞の多川知希(AC・KITA)と、2009年ベルリン世界陸上代表の木村慎太郎(日本陸連)のふたり。「足元にある空き缶を踏みつけるようなイメージで」と多川がアドバイスすれば、木村は「地面から力をもらう感じ、分かったかな?」と問いかけるなど、パラアスリートと健常のアスリートが協力して“速く走るコツ”を伝授した。

終了後、多川は、「障がい者と健常者が一緒にやる機会はなかなかない。僕ら(パラ選手)のことを知ってもらういい機会だし、パラリンピックを目指したいと思ってもらえたら嬉しい。こういう場に(講師として)また呼んでもらえるよう、僕自身もいい結果を出し続けたい」と話した。

陸上イベントなどで講師を務める木村は、「障がいのある子がいる体験会は初めてで、僕は最初、少し構えていた。でも、いつもと変わらなかったし、むしろ今日のほうが元気があったように思う。多川選手とは初対面だったが、ハンディなど感じさせず、走りも速かった。僕ももっと頑張らなければ」と気合が入った様子。

走り高跳び担当は、パラリンピック4大会連続入賞の鈴木徹(SMBC日興証券)。本格的な競技用具を使い、マットに跳びのることから始め、「どんな跳び方でもいいから、バーを越えてみよう」と指導。徐々に上がっていくバーに順々に挑む子どもたちに、「いいね!」「OK」などとかけ声を絶やさない。

「目標を設定し、クリアできたら、また次の目標を設定してチャレンジするのが高跳び。跳べないと悔しいし、跳べたら嬉しい。子どもたちにはそんな達成感を体験してほしいし、そんな体験を日々の生活にも生かしてもらいたいですね」

ハードルを指導した八幡を囲む子どもたち
ハードルを指導した八幡を囲む子どもたち
世界の舞台で戦うハイジャンパーの鈴木が直接指導
世界の舞台で戦うハイジャンパーの鈴木が直接指導

マラソンは、オリンピアンの土佐礼子(三井住友海上)が担当。参加者と一緒に歩きながらのランニングのフォームづくりやジョギングをした。2児の子育て中の土佐は、「楽しそうな子どもたちの様子に私のほうが刺激をもらった」と笑顔で振り返った。

ハードルは、110mハードル日本歴代6位タイの記録を持ち、2007年大阪世界陸上代表の八幡賢司(モンテローザ)が担当。「みんな、ハードルの高さって、知ってる? 答えは1m6cm7mm。僕も調子が悪いときは、怖いなと思うくらい高いんです」と、ハードル豆知識からスタート。続いて、プラスチック製のミニハードルに挑戦する子どもたちと対決。高いハードルを軽々と飛び越える八幡のハードリングに子どもたちから歓声が上がっていた。

八幡は、「僕は視覚障がい選手の伴走などの経験はあるが、(今日のように)子どものときから障がいのある人と交わる機会があれば、接し方も違ってくると思う。また、『障がいのある選手もこんなに能力があるんだ』と健常の選手に知ってもらえるよう、健常者の大会にパラの選手が出場する機会がもっと増えたらいい」と話した。

陸上競技用車いすや義足の体験も

千葉県のキャラクター、チーバくんと記念撮影する参加者
千葉県のキャラクター、チーバくんと記念撮影する参加者

また、義肢装具士の臼井二美男さんらによる、義足や車いすの体験コーナーも設けられた。T37(脳性まひなど)クラスで短距離3種目の日本記録保持者、吉川琴美(AC・KITA)もサポート。「私も体験用義足を履いてみて義足の人の大変さが分かり、実際に体験することは大事だと思った。子どもたちにも同じような体験をしてもらえて嬉しかったです」

トップアスリートのパフォーマンスを間近に見て、走り方や体の動かし方などを学び、花盛りの桜に負けないほどの笑顔の花を咲かせた子どもたち。障がいのある子どもたちも、障がいのない子どもたちも、一緒に楽しんでいた。SRCの発展とともに、同様の取り組みの広がりにも期待したい。

text by Kyoko Hoshino
photo by X-1

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