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Sports /競技を知る
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初開催の「東京国際フェンシング大会」にパラフェンサーが集結!

フェンシングのジュニア世代とベテラン、パラフェンサーが同じ空間で競技を行う「第1回東京国際フェンシング大会」が8月25日から27日の3日間、京王アリーナTOKYO(武蔵野の森総合スポーツプラザ)で開催された。

調布市フェンシング協会と調布市にあるフェンシングクラブを運営するMNHスポーツ主催による新設大会。ボーダレスな共創社会の実現を目指す取り組みのひとつとして、今年から始まった。
フェンシング個人戦(フルーレ/エペ/サーブル)は、男女別の年齢カテゴリー(U8、U10、U12、50+、60+、70+)に分けられ、白熱した試合が展開された。
男女混合で行われたパラフェンシング個人戦(フルーレ/エペ)は、3ヵ国から14人がエントリー(出場は2ヵ国)。フルーレで加納慎太郎、エペで安直樹がそれぞれ初代チャンピオンに輝いた。

競技以外にもフェンシングの楽しさを伝える関連事業が行われており、夏休みフェンシング体験教室やパリ2024オリンピックのメダリストによるトークイベントを実施。男子フルーレ団体の金メダリスト飯村一輝、日本女子フルーレ団体の銅メダリスト宮脇花綸はエキシビションも行い、大会に華を添えた。

今大会を糧に世界で勝てる選手に
パラフェンシングは男女混合、障がいカテゴリー分けなしでプール戦と決勝トーナメントが行われた。
9月の世界選手権(韓国)に出場する女子の阿部知里はカテゴリーBのパラフェンサー。男子の障がいの軽い選手とも対戦し、「距離感、スピード、技が女子とは違う。世界にはパワーのある選手がいるので、男子選手と試合ができたことは強化になった」と話し、汗をぬぐった。

フルーレ(カテゴリーB)の全日本チャンピオン笹島貴明は、直後の世界選手権に向けてイメージを膨らませながら試合に挑んだ。
「今回の東京国際フェンシング大会は観客席もあり、会場が広い。これまで出場したアジアパラ競技大会やワールドカップより広い施設で試合ができてありがたい。とくに決勝は注目されるので、大きな大会に臨むにあたってメンタル的な準備にもなる。ぜひ来年も続けて開催してもらいたい」
パラフェンシングの小林善洋ハイパフォーマンスディレクターは「今大会は、強化合宿の中で強化指定選手が積極的に出場できるようにスケジュール調整をして挑んだ。次回は、ランキングポイントが付与されるようにするなど、より大会の価値を高められるように主催者と相談したい」と話した。

若手も国際大会デビュー

今大会では、その笹島や加納が目をかける中学1年生の川村凜久が国際大会デビュー。フルーレは出場13人中13位、エペは出場12人中11位の成績だった。
川村は試合後、「始まる前から不安で緊張していたが、試合が始まったら冷静になることができ、思い切りできた」と笑顔を見せた。

小学4年生から本格的にパラフェンシングを始めた川村の目標は、強化指定選手になることだ。カテゴリーBでパラリンピック2大会に出場した藤田道宣のように、正確な突きでポイントを取れる選手になりたいという。
国内トップフェンサーたちは「とくに攻撃面が見る度にうまくなっている」と川村の成長に目を細めていた。

今大会のフルーレで優勝した加納は、2024年のアジアチャンピオンシップ(サーブル1位、フルーレ2位)に続き、今年2月にブラジル・サンパウロで開催された「2025パラフェンシングワールドカップ・ブラジル大会」で悲願の優勝を手にし、波に乗っている。
世界ランキングのポイントの比重が高い世界選手権では、世界ランキングを現在より1つずつ上げて「フルーレ7位、サーブル5位」を目指している。団体戦でもメダル獲得を目標に掲げている加納。愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会でも注目選手のひとりになりそうだ。

text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda