立ち見も入場制限も出た! 大入りの東京2025デフリンピックで日本勢が“手話を交えて伝えた言葉”まとめ

立ち見も入場制限も出た! 大入りの東京2025デフリンピックで日本勢が“手話を交えて伝えた言葉”まとめ
2025.12.04.THU 公開

創設100周年の節目で初の日本開催だった東京2025デフリンピック。各会場は沸き、約28万人が観戦したという。史上最多51個のメダルを獲得した日本代表選手団の活躍を“印象に残った言葉”で振り返る。

「400mは自分との闘い、200mは皆さんへの感謝、リレーは日本を一つにする」

(陸上・山田 真樹)

写真は、11月19日に駒沢オリンピック公園総合運動場 陸上競技場で行われた400m決勝
photo by X-1

目標としていた全種目メダル獲得を達成した山田。大会前からデフリンピックの顔としても活動。アンカーを務めた4×400mリレーでは、多くの観客が詰めかけた会場で金メダルに輝き、「東京世界陸上(100mエキシビションレース)で走ったときと同じような地鳴りを、今日感じることができた」と満足そうに語った。「ろう者として誇りを持つことができた大会。努力をすれば夢はつかめることを表せた」と手話で話し、胸を張った。

「きこえなくても圧を感じてくれる」

(サッカー・松元 卓巳)

写真は、11月25日にJヴィレッジで行われた決勝
photo by X-1

日本代表選手団の旗手という大役を務めた、デフサッカー男子日本代表のキャプテンでゴールキーパーの松元は、熱い男だ。「落ち着いて」「楽しもう」とゴールマウスで常に声を張り上げる。「熱い気持ちを出すのが僕のプレースタイル。僕の圧を感じて振り向いてくれる。選手たちにはきこえていないが、チームのための声かけを意識している」。チームは史上最高の銀メダルを獲得。「最低でも世界一、最高でも世界一」を目標に掲げていただけに、決勝の試合終了後はピッチに倒れこんで悔しがった。

「顔が怖い、スマイル」

(バレーボール・川北 美雪 監督)

写真は、11月25日に駒沢オリンピック公園総合運動場 体育館で行われた決勝
photo by Atsushi Mihara

連日、立ち見が出たり、入場制限が行われたりするなど大入りだったバレーボール会場。女子日本チームの強さが多くの人を魅了した。しかし、初戦では優勝候補のプレッシャーからか、緊張で動きが硬く、ミスもあって1セット目を奪われた。川北監督は、手話通訳のスタッフを通じて選手たちに「顔が怖い」と伝えてスマイルを求めた。その試合で勝利した後、チームは順調に勝ち進み、決勝はストレート勝ちで金メダルを獲得。その立役者となった川北監督は選手たちに胴上げされた。

「生まれ変わっても空手をやるだろうな」

(空手・小倉 涼)

写真は、11月23日に東京武道館で行われた型
photo by X-1

2大会連続金を目指して組手の女子61㎏級に登場。決勝で先取されるも、残り30秒弱で「さそり蹴り」を決めて逆転優勝。教師を務める坂戸ろう学園(埼玉県)の生徒たちが現地で応援するなか、最後まであきらめない姿を見せた。前日の型(写真)では3位。「私は本当に空手が好きなんだな」と思い、奮い立った。

「今までで一番楽しい大会、一番悔しい大会」

(陸上・北谷 宏人)

写真は、11月23日に駒沢オリンピック公園総合運動場 陸上競技場で行われた男子棒高跳び決勝
photo by X-1

2連覇を期待されながらも、銅メダルに終わった棒高跳びの北谷。大会1ヵ月前に左足首の靭帯を断裂し、痛み止めを飲みながらの跳躍だった。大勢のファンからの応援は「気持ちよかった」と手話で話したものの、調整不足を悔やんだ。

「ありがとう」(紋可)、「ありがとう」(真衣)

(バドミントン・矢ケ部 紋可・真衣)

写真は11月21日に京王アリーナTOKYO(武蔵野の森総合スポーツプラザ)で行われた女子ダブルス決勝
photo by X-1

日本のバドミントン女子ダブルスに20年ぶりの金メダルをもたらした矢ケ部姉妹ペア。一度はペアを解消するも、再結成して臨んだ末の快挙だった。金メダルを目指して強い気持ちでつながった2人は、「とにかく取る」と手話で話し、あうんの呼吸で拾い合った。試合後のインタビューで互いに感謝を述べた。

「絶対に勝てるだろうというプレッシャー」

(陸上・湯上 剛輝)

写真は、11月24日に駒沢オリンピック公園総合運動場 陸上競技場で行われた男子円盤投げ決勝後
photo by X-1

9月に国立競技場で行われた東京世界陸上にも出場した男子円盤投げの湯上は、一般の日本記録(64m48)を持つスター選手だ。今大会は、自身が持つデフ世界記録に届かなかったものの、貫禄のパフォーマンスで大会新(58m93)をマーク。デフリンピックで自身初となる金メダルを獲得した。東京世界陸上と異なる点として、デフ世界記録保持者だから勝てるだろうという重圧があったという湯上。プレッシャーから解放された湯上は、例年よりも長いシーズンを終え、3歳の息子を高く持ち上げた。

text by TEAM A
key visual by X-1

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立ち見も入場制限も出た! 大入りの東京2025デフリンピックで日本勢が“手話を交えて伝えた言葉”まとめ