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Sports /競技を知る
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16年前とは何かが違う、初戦こぼすも前を向く車いすカーリングのベテランペア
試合開始1時間前。車いすカーリング日本代表の中島洋治と小川亜希がコルティナ・カーリング・オリンピックスタジアムに姿を現した。隣には飯野明子コーチと荻原詠理コーチ。リンクにすぐ近い客席には、裏方のスタッフ、オルタネイトとして控えていた車いすカーリング仲間、そして日本から応援に駆けつけた人たちがいる。“チーム中島”の挑戦は、笑顔とともに始まった。
簡単には勝たせてくれない強豪中国
ミックスダブルスはミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会で初めて実施される種目だが、日本代表の中島と小川は、4人制で2010年のバンクーバー大会に出場している。当時、国際大会初出場を果たし、6日間の予選を終えた小川が「私のカーリング人生はこれから」とまっすぐなまなざしで宣言したあの日以来、16年ぶりに選手としてパラリンピックに帰ってきた。

「いい緊張感」はありつつ、「2人ともすごく緊張している感じはなかった」と小川。
予選リーグの初戦は強豪・中国。1年前の世界選手権は勝っている相手だ。4人制でパラリンピック3連覇を目指す中国勢がスタンドから仲間を鼓舞し、威圧感に包まれるなか、第1エンドは小川がラストストーンをしっかり決め、第2エンドでスチールに成功。しかし、第3エンドを相手のビッグエンドにしてしまい、第5エンド、第6エンドも複数得点を与えた。
3対10でコンシード負けしたが、「いい舞台で大好きなカーリングができてうれしい」(小川)「こういった大舞台で、プレーできる自分はいいな」(中島)とパラリンピックでプレーしている喜びを噛み締めた。

16年前は観客の熱狂に呑まれ、冷静さを失う場面もあったが、世界選手権を制したベテラン2人は揺るがなかった。重い氷でショットが決まらず、苦しい場面も、下を向くことはない。最後は翌日以降の糧にしようと気持ちを切り替える姿に、再挑戦にかけるペアの覚悟がにじんでいた。
ライバルを称えるカーリング愛
試合の後半、アイスの変化を読み切れず、ウエイトの加減やラインの幅の調整に苦しんだ日本に対して、中国のペアは圧巻のパフォーマンスで応酬。
とくに、中島より37歳年下、24歳のYANG Jinqiaoはテイクアウトの精度が際立っていた。
「同じMD(ミックスダブルス)やってる仲間。いい選手たちなんで」と相手を称えた中島。

試合後の握手には、ライバルへの敬意が込められていた。
小川も「強い相手に、前半いい試合ができた」と前向きに捉え、次戦に向けたナイトプラクティスを行うため報道エリアを後にした。
ミックスダブルスは現地9日まで予選が続き、10日に準決勝、11日に初代金メダリストが決まる。

text by Asuka Senaga
photo by X-1






