【ミラノ・コルティナ2026】誰よりも輝いた瞬間、メダル圏外のアナザーストーリー
3月6日から15日まで行われたミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会。日本代表選手団は、海外開催の冬季パラリンピックでは過去最多となる44人が出場し、銀3、銅1の計4個のメダルを獲得した。ここでは、表彰台には届かずとも限界に挑んだ選手たちの姿、現地で話題になった出来事を振り返る。
手ぶらでは帰らせない! 次世代を担うパラスキーヤーが見せた成長

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パラクロスカントリースキーの若手・岩本美歌は、女子10kmクラシカル(立位)で粘り強い滑りを披露。自己最高の7位となり、フィニッシュエリアで「驚いた」とうれし涙を流した。2大会目のパラリンピックとなる今大会で自信をつけた岩本は、4×2.5kmミックスリレーではアンカーとして、第3走の阿部友里香が用意した日の丸をつけて滑走。気温が上がり、緩んだ雪原で果敢にスキーを走らせた。そのモチベーションになったのは、個人種目で入賞のなかった第1走の源貴晴(座位)、第2走の岩本啓吾(立位)の存在。2人に「入賞を持って帰ってもらいたい」という気持ちがあったという。
ミックスリレーは8位。フィニッシュ後、倒れこんだ。2種目入賞の岩本は「いろんなところで嬉しさがある大会だった」と振り返った。

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イタリア人も応援した「日本の虎」のラストラン
現地イタリアで最も話題になった日本代表選手は、パラアルペンスキーの小池岳太だろう。
小池のヘルメットに描かれた「虎」のイラスト。実はこれ、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックで2冠に輝いたイタリアのアルペンスキー界の女王、フェデリカ・ブリニョネのトレードマークでもある。大会中、小池が「尊敬する彼女から力をもらいたい」とコメントしたところ、「あなたにエネルギーを送るわ!」とビデオメッセージが届いた。この交流は現地メディアでも大きく報じられ、イタリア国民から愛される「もう一人の虎」となった。

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小池は、6回目のパラリンピックだった今大会を最後のパラリンピックと位置づけており、出場した5種目中男子アルペン複合(立位)の10位が最高成績。入賞には届かなかったものの、虎のイラストを通じた交流は、国境を越えた温かいラストランを演出した。
唯一の女性プレーヤーが見据える次の舞台
混合競技であるパラアイスホッケー、日本代表初の女子選手として氷上でプレーした福西朱莉。パラリンピック史上4人目、アジアでは2人目となる女子選手として、新しい歴史を作った。

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2021年にパラアイスホッケーの競技歴は2年目ながら、小学校時代から大学2年までプレーしていた「ホッケーIQ」が武器。屈強な男子選手と対等に渡り合い、「世界最高峰のスピード、スキルレベルの中で戦うにはどうしたらいいか考えながらプレーすることが楽しい」とコメントする。
しかし、2大会ぶりに出場した日本代表は8位に。福西は、ベンチからチームの苦闘を見守る時間の長さに「苦しかった」と涙を浮かべ、自身の力不足を痛感したという。
「(男女に関係なく、実力で)主力となり、この舞台に戻ってきたい」と次回を見据えた福西。
最後に、涙をこらえて「でも、幸せでした」と言葉を振り絞った。
冬季競技の女子アスリートとして道を切り拓いた福西の挑戦は、2030年のフランス・アルプス大会に続く。
text by TEAM A
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