「自国開催は奇跡的な舞台」愛知・名古屋2026アジアパラ日本代表選手団が結団式

「自国開催は奇跡的な舞台」愛知・名古屋2026アジアパラ日本代表選手団が結団式
2026.09.30.WED 公開

愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の開会式まであと19日とせまった9月29日、選手と競技パートナー、そしてスタッフを含め総勢455人(29日現在)から成る日本代表選手団の結団式が東京都内で開催された。大会への期待感を表したかのような華やかな会場を舞台に、団旗授与とともに、激励の言葉が贈られた。

日本代表選手団の結団式が都内で行われた

「奇跡」のような自国開催の大会で力を発揮するために

第5回目にして初の自国開催となったアジアパラ競技大会。あいさつに登壇したパラ水泳のレジェンドでスポーツ庁の河合純一長官は、自身の競技経験を踏まえて、今大会は「奇跡的な舞台」だと選手団に語りかけた。

河合長官が激励

「私は20年間現役を続けて、6回のパラリンピックに出場したが、一度も本国で開催されたことはない。5年前、団長として迎えた東京2020パラリンピックは感染症対策で無観客だった。しかし今回は、多くの観客の前で競技できる。大変すばらしいこと。この奇跡的な舞台を存分に味わっていただきたい」

また、世界で活躍してきたレジェンドだからこそのアドバイスとして、大舞台で自分の力を最大限に発揮する方法を次のように伝授した。

「最高のパフォーマンスを発揮する条件は、その会場を味方につけられたかどうか。味方につけるためには、応援したい、サポートしたいと思われる選手であること。自らの限界に挑戦し、仲間を信じ、支えてくれた皆さまの思いを含めて、すべての力を出し切る。そんな姿に人々は心を動かされ、応援したいと思うようになるはず。その先に最高のパフォーマンスがある」

柔道・山下さんからも激励のメッセージ

結団式では、日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会の森和之会長から選手団団長の三阪洋行(元車いすラグビー日本代表)、そして今大会の旗手を務める中川もえ(パラ陸上競技)と橋本勝也(車いすラグビー)へ、団旗の授与が行われた。

三阪団長から旗手に団旗が手渡された

また、サプライズとして、2023年の事故による頚髄損傷の後遺症で四肢にまひがある柔道家・山下泰裕さんからビデオメッセージが贈られた。

山下さんからサプライズメッセージが届いた

「競技に真摯に向き合う姿、戦う姿は多くの障がい者の方、そして国民を勇気づけ、それは我々が目指す共生社会の実現に向けた大きな力になると思っている。緊張する選手もいるかもしれないが、自分がやってきたことや仲間を信じて挑戦して」

上映が終わると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

選手、競技パートナーら計94人が対面で、24人がオンラインで参加した

顔を合わせずとも支え合う方法を模索

結団式の最後に、三阪団長は日本代表として戦うことの喜びとともに、責任についても触れた。

「日本代表として戦うことには確かに責任があるが、責任に押しつぶされる必要はない。皆さんはここに来るまでに、本当に多くの時間を積み重ねてきた。結果が出なかったり、けがをしたり、自分にはもう無理なんじゃないかと思ったり。それでも競技を続けてもう一度挑戦して、今日ここにいる。私はそのこと自体に大きな価値があると思う。だからこそ皆さんには思い切って挑戦してほしい」

また、自国開催の今大会を「特別な大会」と位置付ける。

「家族がいる、仲間がいる、応援してくださる方々がいる。そして、これまでバラスポーツを知らなかった人たちも皆さんの姿を見ることになる。パラスポーツには、人の心を動かし、社会を動かす力がある。だから皆さんには結果だけではなく、皆さん自身の挑戦をこの愛知・名古屋の地で見せてほしい。ただ、日本代表として出場する以上、勝つことにもこだわりたい」

三阪団長があいさつ

そのためにも、日本選手団が一つになることが重要と訴える。しかし、今大会は選手村が設けられておらず、競技会場も分散しているため、開会式と閉会式以外で選手同士が顔を合わせる機会はごく限られるはずだ。そこで、選手団としての意識を高めようと、9月25日にオンラインでチームビルディングを行なったと記者会見で明かした。

「必ずしも顔と向き合ってなくても互いに支え合うことはできるという、心のつながりについてお話をさせていただいた。また、みんなでスローガンをつくろうということで、選手の皆さんに心の中にある言葉を送っていただいた」

その中で一番多かった言葉が「挑戦」だったという。「挑戦」というのは未来につながっている。この「つなぐ」と「挑戦」という言葉から、今大会のスローガン「ともに挑み、ともにひらく。」が生まれた。

JPCオフィシャルパートナーから応援フラッグ贈呈

また、広域開催だったミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会では、選手団がLINEのグループを作り、互いに励まし合えてよかったという声も多く聞かれた。それに倣って、今大会でもLINEのグループを作る予定という。

「スポーツの国際総合大会で、選手村が作られて、一つの場所に集まって、みんなで一つになって挑むという形式が継続されていくかわからない状況ではあると思う。今後を見据えた上で、いろいろなことを試しながら『つながる』という形を見つけたい」

選手団の一体感は、競技成績につながる重要な要素の一つ。いい結果を出せれば、今後のパラリンピックに向けてよいステップとなるはずだ。

なお、東京2020パラリンピックに日本代表として出場した橋本は、記者会見で次のように意気込みを語った。

「東京では味わうことのできなかった有観客での開催ということに僕自身、すごくうれしさを感じている。開会式から盛り上げていき、日本チームにいい流れを持っていきたい」

記者会見で登壇した、写真左から谷本歩実副団長、中川、三阪、橋本、滝澤幸孝副団長

また、10歳で陸上競技をはじめ、中学時代にパラの世界を知ったという中川も大会への期待をふくらませている。

「パラ陸上競技を始め、競技をしている皆さんが認め合い支え合う姿を見て、障がいを隠さず個性として捉えられるようになった。本番でメダル獲得を目指して今までで一番の走りをし、それが誰かの背中を押したり、互いの個性を認め合い理解し合うきっかけになれたら」

アジアパラ競技大会の一部競技は16日からスタートし、開会式は18日に行われる。

text by TEAM A
photo by Atsushi Mihara

『「自国開催は奇跡的な舞台」愛知・名古屋2026アジアパラ日本代表選手団が結団式』

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