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【一流をめざすメンタル術:後編】夢や目標を猛スピードで実現させるには?

【一流をめざすメンタル術:後編】夢や目標を猛スピードで実現させるには?
2019.04.10.WED 公開
スポーツメンタルコーチとして、不調に悩んでいた多くのアスリートたちを大勝利へと導いてきた鈴木颯人さんに学ぶ【一流をめざすメンタル術】。前編では、良い結果が出せない背景に「思い込み」の存在があるというお話を伺いました。後編では、実際に達成したい夢や目標をスピーディに実現化する『スズキ式メソッド』を教えてもらいます。

“ワクワクする” 目標が、実現への近道

———鈴木さんの著書『一流をめざすメンタル術』の中で、「スズキ式メンタル術」の最初のステップとして、「ワクワクすることを目標にすること」が重要とあったのですが、ワクワクとはこの場合どういう意味でしょうか?
 
周りの人が聞いたらちょっと驚くような、ぶっ飛んだ目標でもいいということです。いくら目標を立てても、現状の延長線上になるような目標だとやる気が出なかったり続かなかったりして、動機づけとしてはやや乏しい。それなら、達成した時だけでなく目標へ向かって進んでいる時にもドーパミン(快楽ホルモンとも呼ばれる神経伝達物質)が分泌されるような理想を目標にしたほうがいいんですよ。ただ、脳は飽きっぽいので、ワクワクしなくなったと感じたら、次の新しい目標を設定してください。

 
——— すぐに叶いそうな現実的な目標では、ダメということですか?

例えば、山登りで考えてみましょうか。高尾山(標高599m)だったら難しく考えずに、週末にでもフラッと行って登れそうですよね。でも、富士山(標高3776m)なら、もうちょっと考えて準備して行かないといけない。世界最高峰のエベレストなら?  基本情報はもちろん、経験者の話を聞いたり、入念なリサーチをしたりとあらゆる状況を想定して、万全の準備を整えますよね。

これが何を意味するかというと、手が届く目標では、行動や思考が無意識に現実的な範囲におさまってしまうということ。初めからチャレンジする自分自身がワクワクするような高い目標が設定されていると、やる気や行動力のレベルが俄然違ってきます。
ただ、高い目標を設定した時は、達成したらどう環境が変わるか、どんな自分になれるのか?など、必ず結果後の具体的なイメージを同時に持つようにしてください。そうすることで、その目標と自分が近づき、行動しやすくなります。このイメージをしっかりと持たないと、「あまりにも自分とかけ離れている」と感じて、行動に繋がらなくなるので目標設定は諸刃の剣になります。

目標達成に「ふさわしい人」を役者気分で演じてみる

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——— ワクワクする目標を決めたら、次に何をしたらいいでしょうか。

目標設定のあとは、「モデリング」という行動をとってみましょう。モデリングとは、心理学の言葉で、「誰かをお手本に動作や行動を真似すること」を言うのですが、すでに自分が希望とする目標を達成している人や、目標を達成した後の自分をイメージして、その人やその自分ならどうするか? と考えながら、行動するのです。最初は気持ちがついていかなくてもかまいません。とにかく遊びでいいので、目標達成にふさわしい人を“演じて”みてください。 これがあらゆる目標達成にとても有効なんです。

——— “演じる”ことが、どう目標達成に繋がるのでしょうか??

例を出すと、以前、私がコーチングしていたアスリートの男子大学生がいたのですが、「自分に自信がないし、彼女もできない。自己ベストもここ何年間も出していない」と悩んでいたので、彼の憧れの本田圭佑くんを演じてもらうことになったんです。言動や喋るトーンを真似したり、あの人だったらこの場面でどうするかと考えたり、遊びの延長として憧れの人の感覚を取り入れてもらったんですけど、1ヶ月後に会った瞬間、彼の雰囲気がまるで違うんですよ。喋り方も言っていることも、まさにモデリングのアスリートそのもので(笑)。彼は、演じているうちに行動や気持ちが変化して、目標達成にふさわしいマインドを自ら手に入れたんでしょうね。彼は本当に変わって結果が出るようになりましたし、数ヶ月後に彼女もできました。
 
——— 前編でも、「なりたいレベルの世界に触れる」という話が出ましたが、なりたい人を演じることで、今の自分では考えられないような感覚が備わっていく、と言うことですよね。
 
はい。演じることで目指しているレベルの具体的なイメージができるようになります。実は人間って、現実なのか想像なのかは、「理性」で判断しているだけで、脳自体は現実と想像の区別が実際にはつかないんです。梅干しを食べるイメージをするだけで実際に唾液が出るとか、夢に出てきた人をいきなり好きになってしまうなどは、まさにそれです。どういうことかと言うと、モデリングによって具体的なイメージができるようになるだけで、自然とマインドや行動が変わる、ということ。だから、大きく、高くイメージしたもの勝ちなんですよ。

ポジティブシンキングは危険!? 「ポジティブアスキング」で成功体質に

——— 著書の中で、ポジティブシンキングは失敗しやすいと書いていらっしゃいましたが、それはなぜですか?
 
特にアスリートの場合ですが、「私は、できる」と言っていても心のどこかで「できないかも」と思っていたら、それはもうポジティブシンキングではなく、自分に嘘をついて強気に振る舞っている、ということになるんです。勝負は、残念ながら気合いや精神論だけでは成功しません。もちろん、ポジティブな思考も自信を持つことも悪いことじゃないけれど、ギャンブル的思考で自分自身にプレッシャーをかけすぎると勝負ドコロで力を発揮しにくい。だから、私はポジティブシンキングを勧めていないんです。
 
——— では、どんなモチベーションで勝負に挑むべきでしょうか。
 
もし、本当に「できる」と思いたいのであれば、ポジティブシンキングではなく【ポジティブアスキング】を実践してください。ポイントは、「どうしたら◯◯◯できるのか?」と確実かつ具体的な成功法を自分自身に問いかけること。このときポジティブな言葉のみを使うのがポイントです。その言葉に体や思考は引っ張られるので、間違っても「“緊張しないで”プレゼンを成功させられるか?」「この舞台でゴールを“決められなかったら”どうしよう…」といったネガティブな言葉使いや問いかけはしないでください。
正しくは、「どうしたら“リラックスしながら”プレゼンを成功させられるか?」、「この舞台でどうしたら俺はゴールを“決められる”か?」というポジティブな問いかけが効果的です。

 
——— 自分ではそんなつもりがないのに、ネガティブなことを言ってしまうことってありますよね。
 
そうなんです。実際にコーチングをしていても、自分がどんな言葉を使っているか全く意識していない人が多くて、選手に後で録音したものを聞かせると「こんなネガティブな言葉を使っていたのか」と驚くことが多いですね。特に『負けない』という言葉には注意が必要。ポジティブなように聞こえるけど、実は、無意識のうちの負けることを連想させたり(圧倒的に勝てる方法ではなく)最低限の負けない方法を探ったりしてしまうネガティブワードなんです。勝ちたいときは、素直に『勝つ』という言葉をどんどん使ってください!


プロ野球選手になりたいという子どもの頃からの夢を叶え、世界のレジェンドと呼ばれるまでになったイチロー選手が、先日の引退会見の中で「成功すると思うからやってみたい、成功できないと思うからやらない、という判断基準では後悔を生む。やりたいならやってみればいい」と述べました。

私たちは様々な理由で、夢を見失ったり、夢自体を持たず手の届きそうな目標しか持てなかったりしますが、まずは、その「どうせ」「できない」といった思い込みの蓋を外すところからはじめましょう。そして、目標設定から達成に至るまで、その都度リミッターを思い切って外し、常に成功をイメージし続けること。それが、夢や目標を猛スピードで実現させる近道になるはずです
今回お話を伺ったのは・・・

鈴木颯人
1983年イギリス生まれ、東京育ち。高校時代にスポーツで挫折を味わった経験をもとに、脳と心の仕組みやスポーツ科学など学び、メンタルコーチングのメソッドを構築。現在は、担当競技数37以上、年間コーチング400回以上、プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートやトップパフォーマーだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面や指導者への指導方法もサポート。日本チャンピオン8名、世界チャンピオン5名輩出実績あり。コーチングを行いながら、書籍やツイッターで目標を達成するための思考法なども発信している。近著は「弱いメンタルに劇的に効く アスリートの言葉――スポーツメンタルコーチが教える“逆境”の乗り越え方」(三五館シンシャ)。
Text by Uiko Kurihara(Parasapo Lab)
Photo by Masayuki Ichinose
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