エースの活躍と待たれる新戦力の台頭。強豪に食らいついた、車いすバスケ女子日本代表の世界選手権

エースの活躍と待たれる新戦力の台頭。強豪に食らいついた、車いすバスケ女子日本代表の世界選手権
2026.10.08.THU 公開

2026年9月、カナダ・オタワで「IWBF車いすバスケットボール世界選手権」が開催された。世界から集った強豪たちに挑んだ女子日本代表。光ったのは、エースの活躍と新戦力の可能性だった。

上がりつつある世界のレベル

パリ2024パラリンピックでは7位だった女子日本代表。これまでの世界選手権最高順位となるベスト4を目指した大会だった。予選グループリーグの初戦はドイツ相手に3点差の敗戦。オランダ、アメリカといった強豪に大差をつけられ敗れるも、フランス、アルジェリア相手に白星を手にし、グループBを2勝3敗の4位で通過した。

世界選手権で奮闘した柳本

迎えた準々決勝ではグループA1位のカナダと対戦。柳本あまね(2.5)が大会中最多の14得点を記録するなど、ラインナップを入れ替えながら得点を重ねて食らいついた。しかし、今大会MVPのカディ・ダンデノーとアリン・ヤングの2人のハイポインターを止めきれず、88-68で敗戦。ベスト4への進出は叶わなかった。

食らいついたカナダ戦

高さのある各国の選手をどう止めるか。スペイン戦との順位決定戦でもそれを意識して試合に入った。しかし、ハイポインターだけでなく、ローポインターでも得点を重ねてくる相手に、ディフェンスを切り替えて対応しようとしたが上回られた。

財満いずみ(1.0)はこう語る。

「ローポインターが2枚出てくるところに明確に点を取らせにいき、ハイポインターのインサイドをとにかく防ぐ戦略で試合に挑んだが、やられたくないところで点を取られてしまった。相手のローポインターも上手い選手が多かった」

「勝って終わりたい」と意気込んで臨んだドイツとの7位決定戦も、全員出場で挑んだが、及ばなかった。

大会を振り返り、添田智恵ヘッドコーチは8位という順位を「世界のレベルが上がってきているのを感じた。ベスト4というよりも、下のシードの相手も、どんどん成長している。そんな中で8位に入ることができたとも言える」と振り返る。

添田ヘッドコーチ

輝いたエースの活躍と新たな可能性

苦しい状況に陥ることも多かったチームを牽引したのは、北田千尋(4.5)だった。スコアラーとして1試合平均20.8得点。3ポイントシュートは12本と、大会1位タイの成功数を記録した。

予選のフランス戦では、第4クォーター残り1分から自身の連続得点で同点とし、ブザービーターの2ポイントで土壇場での逆転勝利を手繰り寄せるなど、印象的な活躍もあった。「あれだけ点を取れる、ということが世界に証明できた」と添田ヘッドコーチが語ったように、日本のエースとしての北田の存在は誰もが認めるところだろう。

高い得点力でチームを引っ張った北田

北田はこう振り返る。

「自分が積極的に点を取りに行って起点になることで、相手もボールを持っていなくても自分のところについてきてくれることもあった。とにかく自分が点を取り続けること、そしてそこで起点になって周りにパスを供給し、もっと味方にフリーの状況を作っていくことが今後の課題」

北田自身が課題として口にしたように、北田を起点として得点を重ねるパターンを確立することができれば、上位の国と渡り合う上で武器となる。

そうした中で期待されるのは、若手の成長だ。今大会では上野晴香(2.0)、藤原芽花(3.0)、郡司渚名(4.0)の3選手が世界選手権デビューを果たし、出場時間が短いながらも各選手の持ち味を発揮した。「未来へつながる」と北田が話したように、3選手をはじめとする新戦力が成長していけば、チームにさらに深みを出せるだろう。

初の世界選手権を経験した郡司(左)と藤原

コート、ベンチを問わず声を出し、チーム一丸となった戦いが持ち味の女子日本代表。「全員バスケ」をさらに高めていく道の半ばだ。

「ロサンゼルスにもなんとしてでも出たい」

今回の世界選手権は、男子と同様、女子も意外な結末を迎えた。パラリンピック2連覇中のオランダが、準決勝で開催国カナダにまさかの敗戦。決勝ではカナダとアメリカが接戦を繰り広げ、アメリカが優勝を掴んだ。

今大会の結果を受け、女子ではアメリカゾーンに2枠、ヨーロッパゾーンに2枠、ロサンゼルス2028パラリンピック出場枠が割り当てられた。日本が属するアジア・オセアニアゾーンには出場枠の割り当てがなかったため、女子日本代表は、2028年に開催される予定の世界最終予選への出場、そしてそこでのパラリンピック出場権獲得を目指すことになる。

2年後に向けて、さらなる進化が期待される

ロサンゼルス2028パラリンピックの出場枠は8つ。今大会8位だった日本は危機感をもって取り組まなければならないと北田は語る。

「日本の女子は、世界選手権・パラリンピックに出れない期間が長く続いていたが、東京パラリンピックでは自国開催枠ではあったが出られて、パリパラリンピックでは自力で出場権を掴むことができた。この世界への道を閉ざすわけにはいかない。未来につなげるためにも、ロスにもなんとしてでも出たい」

未来への責任感をにじませる北田

2年後の大舞台を目指し、矜持をもって前に進み続ける。

text by Parasapo
photo by JWBF/X-1

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『エースの活躍と待たれる新戦力の台頭。強豪に食らいついた、車いすバスケ女子日本代表の世界選手権』

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