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[全国車いす駅伝競走大会]ベテランと若手が融合した東京チーム、27回連続出場で悲願の初優勝!

[全国車いす駅伝競走大会]ベテランと若手が融合した東京チーム、27回連続出場で悲願の初優勝!
2016.03.17.THU 公開

第27回全国車いす駅伝競走大会が3月13日、京都市の国立京都国際会館前をスタートし、西京極陸上競技場にフィニッシュする5区間計21.3kmのコースで行われ、27年連続出場の東京が45分54秒で悲願の初優勝を果たした。2位は初の表彰台となった岡山で記録は49分16秒。3位は1秒差で京都Aがつづき、3年ぶりにメダル圏内に返り咲いた。

今年は22都府県から23チームが参加したが、5連覇を狙った福岡や昨年3位の強豪・大分らが海外遠征による主力不在で、例年とは異なる布陣のチームも少なくなかった。東京も主力2選手を欠いたが、層の厚さで昨年2位の雪辱を晴らし、2区以降はトップを譲らない圧勝だった。

“花の一区” 区間賞は、リオパラのマラソン代表を狙う大阪の西田

強者が揃う1区で初の区間賞に輝いた西田
強者が揃う1区で初の区間賞に輝いた西田

1区は下り基調だが、細かいアップダウンがある6.4kmの最長区間で、エース級が顔を揃える。東京は昨年につづき、21歳の鈴木朋樹を起用した。昨年の世界選手権代表で伸び盛りの鈴木はトップと17秒差の3位で、2区花岡伸和につないだ。レース後、「区間賞を狙っていたのに惨敗。個人的には悔しい」と唇をかんだ。

その区間賞は、リオパラリンピックのマラソン代表を狙う大阪の西田宗城がつかんだ。前日には「後ろにつけて、こっそり狙う」と話していたが、序盤の跨線橋のアップダウンでチャンスとみると、一気に加速して11分27秒でリレー。「強い人が多い中で、(区間賞を)獲れて嬉しい」と話した。

車いすの駅伝やリレーは一般的に、中継はタスキを使わず、区域内で次走者の身体、または車いすに触れて行う。しかも、この大会は、第1中継所では安全確保のため到着と出発のレーンが分けられ、両者の車いすの一部が区域内で重なったところで次走者がスタートする特別ルール。タイムロスせず、かつ区域内でリレーしなければならないなど、技術も必要で難しい。

続く2区は下りからほぼ平坦な高速区間の2.8km。ベテランの花岡伸和はロンドンパラリンピック後に現役引退し、「今年は特に練習不足」と言っていたものの地力を見せ、すぐに2人を抜いてトップを奪うと、安定した走りで2年連続の区間賞(6分43秒)も獲得した。「優勝は、みんなが『やらなければ』と思った結果」と安堵の表情。

皆が認めた「殊勲賞」。東京の17歳がニューヒーローに

3区は緩い上りが続く2.4km。東京は初出場で17歳の嶋崎康介の区間だったが、周囲の心配をよそに、「上りも思ったほどきつくなく、スムーズに走れた」と区間4位の大健闘。チームには嬉しい誤算となる快走で、トップのまま着実につないだヒーローは、「初めて走って、初優勝。嬉しい」とはにかんだ。

4区は急坂を含む上り基調の5.8kmで、距離も長く、もうひとつのエース区間。鈴木とともにエースの名を背負う吉田竜太は「嶋崎君が1位で来ると思っていなかったので、気合いが入った」と振り返った。厳しい上りも前傾姿勢で上体をうまく使い、区間新まであと2秒に迫る10分56秒の力強い走りで後続との差を広げてアンカーへ。大阪の西田と同じく、4月のロンドンマラソンでリオ代表を狙う吉田は、「自信を持って選考レースに向える」と話した。

ほぼ平坦の5区は、最後に競技場のトラックが待つ3.9km。託されたのは主将の渡邊敏貴だ。48歳のベテランは、「20年近く出場し、やっと優勝できた。レース前に、『渡邊さんを優勝させたい』とメンバーが言っていたと、人づてに聞いていたので、みんなの思いに応えられてよかった。普段はこんなに速く走れない。駅伝だから、皆が押してくれた。メンバー一人ひとりにありがとうと言いたい」と目を潤ませた。

作戦がぴたり! トラックで逆転した2位の岡山

初の表彰台! 2位の岡山
初の表彰台! 2位の岡山

絶対王者不在のなか、激しく順位が変わる熾烈な2位争いを制したのは、やはり第一回大会から出場している岡山だ。1区松永仁志は6位と出遅れたものの、「後半追い上げ型」というオーダー(走順)がぴたりとはまる。2区で3位に上がると、5区佐藤友祈が京都Aの澤村聡一をラストのトラック勝負でかわし、1秒差で競り勝った。1区を走り終え、送迎バス内のラジオで2位を知った松永は、「佐藤は混戦になったら強いと思ってはいたが、2位争いは予想以上」と目を細めた。

佐藤は昨年の世界選手権400mの金メダリスト。初のアンカーを任され、狙っていた区間賞も9分08秒で獲った。「トラック直前で京都Aの選手に抜かれて動揺したが、トラックは得意なので、持ち味の加速を生かして抜き返すことができた。世界選手権でいろいろな海外選手と競えた経験も力になった。次は優勝を狙いたい」と力強く話した。

なお、この大会は昭和63年に京都で開催された第24回全国身体障害者スポーツ大会で公開競技として実施された駅伝を前身に、翌平成元年から現在の名称で継続開催されている。年に一度、全国から車いす選手が集い、交流できる貴重な大会で、今年も上は82歳から下は13歳まで135人がエントリーしていた。駅伝の町、京都に根付く伝統の大会であることから、例年パラリンピック出場レベルのトップ選手の姿も多く見られる。

陸上は個人競技だが、駅伝はチーム戦だ。単純に個人の力の足し算でなく、掛け算になることもある。「チームのために」という思いが普段以上の力を出させ、思わぬ好結果を生むこともある。今大会で嶋崎(東京)や佐藤(岡山)がヒーローになったように、来年はまた、どんなドラマが見られるのか。楽しみは尽きない。

text & photos by Kyoko Hoshino

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