ミラノ・コルティナからフランス・アルプスへ。必要なのは世代間「切磋琢磨」と世界基準の「環境整備」
ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会が15日に閉幕。日本のメダル数は4個(銀3、銅1)だった。金メダルなしは、2002年のソルトレーク大会以来。日本代表選手団の大日方邦子団長は「日本の選手も準備してきたが、海外の選手が一枚上手だった」と総括した。
国内にも難コースの練習環境を
パラアルペンスキーは、前回大会で金3を含む4個のメダルを獲得している女子座位の村岡桃佳が大ケガをした後の復帰戦ながら銀2個と奮闘。6大会連続メダルを目指した森井大輝はメダルなしに終わったものの、最終日に鈴木猛史が3大会ぶりにメダルを獲得し、男子座位のメダルの歴史をつないだ。

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今大会は国内では経験できない起伏の激しい難コースに苦戦を強いられる展開になった。次回2030年のパラリンピックもヨーロッパ開催になる。石井沙織ハイパフォーマンスディレクターは「室内スキー場を日本に作り、1年を通して練習できる環境が必要」と強調した。
「ONE TEAM」で挑んだパラスノーボードチームは、キャプテンの小栗大地が日本勢として2大会ぶりにメダルを獲得した。その原動力となったのは、元プロの元木勇希コーチによる指導だ。選手一人ひとりの障がいの状態に寄り添い、技術レベルに応じた緻密なサポートが実を結んだ。日本代表選手団の旗手を務めた小須田潤太はケガを押して出場し、スノーボードクロス4位、バンクドスラローム5位と健闘した。4年後に期待がかかるが、パラアルペンスキー同様、国内に不足しているというスノーボードクロスやバンクドスラロームの練習環境をいかに整備するかが、今後の競技力向上に向けた重要な鍵となる。

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海外で戦える選手の発掘と育成
一方、ノルディックスキー勢はメダルなしという厳しい結果だった。パラクロスカントリースキーの長濱一年ヘッドコーチは「我々の力不足だったと思う。スピードをつくっていくところで海外選手が上手だった」と語った。象徴的だったのが、北京大会の金メダリストである川除大輝(立位)が、本命種目の10kmクラシカルで4位にとどまったレース。地球温暖化の影響で気温の高い日が続き、ザクザクになった雪で時に足首まで埋まってしまった川除は、最大の武器である上り坂で優位性を生み出せず、下りのスピードをつくることができなかった。

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4選手が出場したパラバイアスロンも前回7位入賞の佐藤圭一(立位)をはじめ一ケタ順位が一人もいないなど全体的に苦しんだ。国内で射撃練習がほとんどできないため射撃の精度で海外勢に差をつけられた。
初出場がノルディック勢全体で3人いたことは明るい材料だが、ベテランの新田佳浩や川除に続いていける選手の発掘や育成は急務。限られた予算の中で効率的な強化体制を構築することが必要だ。
ベテランから若手への継承
車いすカーリングの新種目ミックスダブルスに挑んだ日本代表は、通算3勝4敗で惜しくも準決勝進出を逃した。しかし、日本勢として16年ぶりとなるパラリンピック出場という悲願の復帰は、国内の競技者たちを大いに沸かせた。次大会への連続出場を通じて競技の普及と強化の波を絶やさないことが重要だ。

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2大会ぶりに出場したパラアイスホッケー日本代表は、7-8位決定戦でスロバキアに0-1で惜敗し、最下位の8位で大会を終えた。平均年齢41.9歳と高齢化が課題だった2大会前の平昌大会から一転、今大会の先発平均年齢は36.6歳まで若返り、日本代表18人中12人が初出場というフレッシュな布陣で臨んだ。ベテランの経験と若手の勢いが融合した「ハイブリッド体制」はチームに活気をもたらしており、この大舞台で得た経験は次回への貴重な糧となるはずだ。

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限られた競技人口の中で、ベテランがいまなお第一線で輝きを放つ日本代表。その現状を「熟練の継承」という強みへと転換したハイブリッドな形こそが、日本が世界と渡り合うための強さを構築する鍵を握っている。
金メダルゼロという現実を受け止め、2030年への再出発を図る日本代表。その真価が問われるのは、これからの4年間だ。
text by TEAM A
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