生まれた時から右肘から下がない先天性右前腕欠損で、物心ついた頃から「障がい者」とカテゴライズされてきた彼女だが、両親(父がイギリス人、母が日本人)が彼女に常に言い続けてきたことは「違いを大事にしなさい」と言う教えだ。
当時「腕が無い」ということが分かった際、相当ショックを受けた母に対して、父が伝えたのは「腕が無くったって、歩いてどこにでも行ける」という言葉だった。その多面的な発想は、その後の母の考え方をガラリと変えた。学校に馴染めず嫌いになった時も「メイちゃんはそのままでいい。もしも馴染めないなら、学校を替えればいい」とアドバイスしたという。
そんな両親に育てられた彼女は今、その個性を存分に輝かせて生きている。
カテゴリーはただの記号のようなものだ。しかしそれがもたらすものは何だろうか。「安心」かもしれないし、「隔たり」かもしれない。試しに、今度初めて会う人には肩書きを尋ねるのをやめてみよう。代わりに、その人の好きなことについて聞いてみよう。そんな風にカテゴリーではなく、皆が人それぞれの個性にもっとフォーカスするようになったら、お互いを尊重し、理解し合える社会に変わっていくのかもしれない。