渾身の背負い投げ、柔道 藤本聰が込めた思い|GO Journal 3号撮影レポート

渾身の背負い投げ、柔道 藤本聰が込めた思い|GO Journal 3号撮影レポート
2019.03.20.WED 公開

GO Journal ISSUE 03 メイキング・レポート
~藤本聰×蜷川実花~

パラスポーツと未来を突き動かすグラフィックマガジン「GO Journal」3号が、3月13日に発刊された。

“ブラインド”をテーマとした第3号制作の先陣を切って、表紙を飾る柔道・藤本聰選手(66kg級 / B2クラス)の撮影が行われた。 競技歴25年、パラリンピックでは3大会連続金メダルを含む5つのメダルに輝いたレジェンドだ。

GO Journalクリエイティヴ・ディレクターの蜷川実花さんが、柔道界のレジェンドのために用意したのは、公式戦でも使用される柔道の畳と天井から吊るされた障子。 深海のような青いライトに照らされたセットが、自らのイメージを「サムライ」と表すその男を待ち受ける。

白い柔道着を着た藤本選手が現れると、蜷川さんは「かっこいい!」と目を輝かせた。 軽く挨拶を交わし、蜷川さん自ら照明の色やセットの配置などを説明して、撮影がスタート。

拳を握って畳の上に凛と立ち、カメラをまっすぐ見つめる藤本選手。 キリッと睨みつける鋭い目、激しい稽古を物語る耳、風格が漂う肩。

「フラッシュ眩しくないですか?」とシャッター音の合間に聞こえる蜷川さんの声。 これまで歩んできた柔道人生を1日1日辿っていくかのように、1枚1枚、写真に収めていく。

バシーン、ドスン。
青の柔道着に着替えた藤本選手が、撮影スタジオらしからぬ音を立て、真剣勝負さながらの「背負い投げ」を披露する。

しゃがみこんでカメラを構えると、投げ飛ばされた巨体の風圧で前髪がバサッと揺れ、「ワーッ!」とその場を立ち去る蜷川さん。 凄まじい音と気迫に怯えながらも、納得のいくアングルを探すため、そろりそろりと畳の上を歩き回る。

徐々にふたりの呼吸が合っていく。恐怖心は、もうない。

「撮れた!」
蜷川さんの声で、撮影は終わった。

写真をチェックする間にも、「かっこいい!ねぇ、みんな見て見て!」と充実した笑顔をのぞかせた。

「最初はどんな感じになるのか想像もつかなかったのでワクワクしました。撮影中、『色気がある』とか言われて、今になって恥ずかしくなってきた…」

撮影後、レジェンドは照れ臭そうに、率直な気持ちを明かした。 そして、「視覚障がいのある人は、外に出たがらない人も少なくない。視覚障害者柔道ってこんなにかっこいいんだぜというところをまず見てもらいたい。僕もやってみたいとか、こんな子がいるから紹介したいとか、選手が集まるきっかけになって輪が広がると嬉しい」と、GO Journalに込めた思いを語った。

「だって彼らは本当かっこいいから」

創刊に寄せた、蜷川さんのこの言葉が聞こえてくるような、GO Journal 3号。 試合では見せることのない、パラアスリートの表情に注目したい。


本誌最新号は「GO Journal公式サイト」でご覧いただけます。

蜷川実花さんが撮り下ろした藤本選手の写真とインタビューはコチラから(GO Journal公式サイト)


*「GO Journal 3号」メイキング・レポート第2弾~辻井伸行×蜷川実花~はコチラ

text by Rihe Chang
photo by Hiro Nagoya

渾身の背負い投げ、柔道 藤本聰が込めた思い|GO Journal 3号撮影レポート

『渾身の背負い投げ、柔道 藤本聰が込めた思い|GO Journal 3号撮影レポート』