ブラインドサッカー、悲願のパラリンピックデビュー! 全員出場で歴史的快勝!

ブラインドサッカー、悲願のパラリンピックデビュー! 全員出場で歴史的快勝!
2021.08.30.MON 公開

「みんなで戦って勝つことができたのは本当に嬉しかった」。パラリンピック初出場の5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表(※)は29日、青海アーバンスポーツパークで行われた予選リーグに出場。ヨーロッパの強豪フランスを4-0で破り、最高の形でパラリンピックデビューを飾った。

※東京2020パラリンピック・5人制サッカー日本代表選手名鑑はこちら

“現役レジェンド”黒田が決めたファーストゴール

過去4大会すべてで金メダルを獲得している絶対王者ブラジル、アジア屈指の強豪国である中国と同組の“死のグループ”に属す日本。初戦のフランス戦は、決勝トーナメントに駒を進めるためには、絶対に負けられない戦いだ。

試合は、前半4分に動いた。キャプテンの川村怜が左右に振るドリブルで相手のディフェンスを突破し、前線へボールを運ぶ。その後、フランス代表のキャプテンであるフレデリク・ビレルのドリブルを、日本代表歴19年目を迎えるエースストライカー黒田智成が奪い、左足から勢いのあるシュートはゴールネットを揺らして先制。黒田はこぶしを上げて喜びを表した。

「いい形でボールを持つことができた。自分のいちばん得意な形でゴールを決め、手応えがあった」と自信をのぞかせた。

今年5月末から6月にかけて行われたブラインドサッカー ワールドグランプリでフランスと対戦した日本は、体がぶつかり合う場面では体格の勝るフランスに倒されるシーンや、手足の長さでリーチされボールを奪われてしまうことも多く見られた。

しかし、今日は違った。ボディコンタクトで対等に戦うなど、フィジカルトレーニングや、暑熱対策をはじめとするコンディションコントロールが効果的に働いていたようだ。そして30度を超える暑さのなか、日本は序盤から豊富な運動量でフランスを凌いだ。

そして前半9分、フランス陣内からの日本のコーナーキックで、フランスのアハメド ティディアネ・ディアキテがボールを持つも、パスミスから黒田がボールを拾い、自ら今度は右足で左隅にボールを押し込み、2点目を決めた。

左右両方の足でシュートを決めた黒田だが、この技術を身に着けたのは、2011年に右ひざの十字靭帯を損傷したのがきっかけだった。もともと利き足は右足だったが、このケガで左足でもシュートを打てるように練習を重ねた。

キャプテンの川村も果敢にシュートを放ち、前半残り1分でゴールキーパーの足の間をすり抜けるシュートで得点した。

「パラリンピックの初戦で勝利するためにこれまで準備してきた。黒田選手とともにゴールを決め、日本の勝利に貢献することができて本当に嬉しい」と川村は笑顔で語った。

全員が出場し、次戦につないだ

日本は前半で3点リードを折り返すと、後半に入っても運動量を落とすことなく果敢にボールに向かう。開始7分にはPKを獲得。川村が落ち着いてゴールを決め加点した。

大事な初戦となったが、ゴールキーパーを含めたサブメンバー全員がピッチに立ったのも大きい。高田敏志監督は「全員が本番で出られる準備をした。サブのメンバーは固定メンバーが試合に出場するなかで、強化合宿ですごく頑張った。助け合いながらゲームを進めるんだと伝えて、ピッチに送り込んだ。責任感をもってプレーしてくれた」とコメントした。

幸先の良いスタートを切った日本の次の相手は王者ブラジルと因縁の相手であり強豪の中国。次戦2試合は厳しい戦いになるが、「まずはいい守備をすること」と高田監督。

「この勝利は、日本のブラインドサッカーとしては大きな一歩。でも、まだ何事も成し遂げてはいない。明日・明後日ひとつずつ大切に切り替えて戦っていきたい」とは守備の要・田中章仁

日本のブラインドサッカーの新しい歴史が幕を開けた。

text by TEAM A
photo by AFLO SPORT

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