日本財団パラリンピックサポートセンター

現役大学生らが、都立高でパラリンピックの授業を実施 パラリンピック教材を活用した授業とは?

現役大学生らが、都立高でパラリンピックの授業を実施 パラリンピック教材を活用した授業とは?
2018.06.01.FRI 公開

2018年3月、都立高島高校に通う高校1年生(約300名)を対象として「パラリンピックの授業」が行われた。この授業の講師を務めたのは、現役の大学生。今回の取り組みは、いよいよ約2年後に迫った東京2020に向けて「オリンピック」だけでなく「パラリンピック」にも関心を持ってもらうこと、そしてパラリンピックの選手が活躍している姿を通して「“不可能”を“可能”に変える」ためには何をすればいいのか、生徒1人1人に考えてもらうことをねらいとして実施された。

平昌パラリンピック・リオパラリンピックの映像を鑑賞

あるクラスでは、パラリンピック自体を「しっかり見たことがない」という生徒が大多数を占めていた。そこでまずは平昌2018冬季パラリンピックで大活躍した、アルペンスキー村岡桃佳選手の話題からスタート。チェアスキーで軽快に斜面を滑る村岡選手の映像を見た生徒から歓声が上がった。またイギリスのテレビ局「Channel4」が制作した2016年のリオパラリンピックPR動画『We’re The Superhumans』の映像にも、多くの生徒が関心を寄せていた。

パラリンピック教材『I’mPOSSIBLE』を使ったクイズも

導入でパラリンピックの映像を見てもらい、大会のイメージが湧いたところで、国際パラリンピック委員会(IPC)公認教材『I’mPOSSIBLE』(※)を活用した授業が行われた。これは学校教育を通して子どもたちにパラリンピックの魅力を伝えようとIPCと日本パラリンピック委員会、日本財団パラリンピックサポートセンターによって共同開発された教材で、教室で行う座学とパラリンピック競技を体験する実技の2種類から構成されている。座学ではクイズ形式でパラリンピックの歴史や競技について学ぶことができる。

通常は学校の教員がこの教材を使って授業を行うが、今回は特別に、教育に関心のある大学生が出前授業形式で挑戦した。大学生らは『パラリンピックの「パラ」とはどんな意味?』『東京パラリンピックでは、どんな競技が行われるか』などのクイズを通して、パラリンピックについて高校生にもわかりやすく解説した。

※『I’mPOSSIBLEの教材キット(印刷物・DVD)』小学生版の第1弾は、2017年春に全国の小学校と特別支援学校に1セットずつ配布され学校教育の現場で活用されている。また、2018年度には小学生版の第2弾と、中学高校生版の第一弾が全国の小中高等学校および特別支援学校に配布予定。
詳しくはこちら(外部サイト:東京2020教育プログラム特設サイト)

パラリンピックに関するクイズを出題する大学生

わたしの「行動宣言」

大学生らはこのパラリンピックの授業を通して、「不可能だと思えたことも、見方や考え方を変えたり、工夫したりすれば、なんでもできるようになる。 “不可能”を“可能”に変えることができる」ということを生徒に伝えてきた。

このメッセージを「自分事」として考えてもらうため、最後は全員で「行動宣言」を行った。 生徒はこれまで自分がやってみたいと思っていたが“不可能”だと認識していたことをワークシートに書き出し、そこからひとつ選んで「それはなぜ達成できていないのか」「それを達成するために必要なことは何か」「いつまでに何をすればよいか」等について考え、グループ内で発表した。

「行動宣言」について考える生徒

生徒がこれまで“不可能”だと感じていたことは、「将来の夢を見つける」「旅をする」などの抽象的なものから、「週5でランニングをする」「英検に合格する」などの具体的なものまで多種多様だ。それぞれが目標の実現に向けて具体的なプランを考え、「行動宣言」として発表することで、生徒は「“不可能”を“可能”に変える」ための第一歩を踏み出した。

生徒の感想

授業後のアンケ―トでは、

「今まで、パラリンピックに対してあまり関心がなく、テレビではゴールボールをちょっと見たことがあるだけでした。今日授業を受けて、障がいがある方でも、自分のやりたいことを見つけて、それに夢中で頑張っていることを知りました。東京パラリンピックでは精一杯応援しようと思います」

「自分に不自由なことがあっても、何かを本気でやり通したり、それができる環境があれば、何かを成し遂げられることがわかった」

「苦手なことを得意なことで補うという考え方はパラリンピックだけにおける話ではなくて、勉強だったり部活だったり日常生活でも使えると思う」

「意外と自分のやりたいことがいっぱいあってびっくりした。できないのを生まれつきの身体のせいにしてはいけないと思った。いろいろなものに挑戦しようと思った」

「やりたいことがあるなら絶対にやった方がいい!ということがわかりました。夢を持って毎日過ごすことがやっぱり大切なんだと改めて思いました」

などのコメントが寄せられた。

また「本日の授業を受けて、東京2020に向けてパラリンピックへの関心が高まりましたか?」という質問には93%(高校1年生307人中287人)の生徒が「高まった」と回答した。

東京2020に向け、パラリンピック教育を広げるために

ここ数年、東京2020に向けてパラアスリートを講師として授業に招く学校が増えてきたものの、その数はごく一部に留まっている。I’mPOSSIBLEなどのパラリンピック教材を活用することで、パラアスリートを講師とし招くことができなくても、学校の教員がパラリンピックの授業を行うことができ、多くの学校に普及できるのではないか。 ついに2年後に迫った、東京2020。今後「新しい共生社会の実現」や、「キャリア教育」の一環としても、学校現場でのパラリンピック教育に期待が高まっている。

text by Kaori Furuno
photo by Wataru Takeda

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