「OEN-応援」する人~ボランティアスタッフ編/車いすバスケットボール~

「OEN-応援」する人~ボランティアスタッフ編/車いすバスケットボール~
2018.09.06.THU 公開

来たる2020年、東京パラリンピックで世界最高のパフォーマンスを楽しめるのは22競技540種目。もちろん、各競技のアスリートは気になるところですが、選手や競技、大会を支える人たちがいることもパラリンピック、パラスポーツならではのおもしろさ。さまざまな立場で競技を愛し、選手や大会を支える人にフォーカスする「OEN-応援する人」シリーズ。2020年に向けて、パラリンピックムーブメントをきっかけとした共生社会が実現するように、パラリンピック、パラスポーツの関わり方を紹介していきます。

気負わず、楽しみながらサポートをするボランティアスタッフ

試合会場をスムーズに運営するために欠かせないのがボランティアスタッフの力。リーダーとして彼らを取りまとめるおふたりに、その思いを聞いてみた。

天皇杯 第46回日本車いすバスケットボール選手権大会
ボランティアスタッフリーダー・小坂 仁奈さん(左)/粟飯原 裕来さん(右)

Q.ボランティアに参加したきっかけは?
A.車いすバスケットボールに魅了されたからです

粟飯原:僕は小学校から大学までバスケットボールをやっていました。たまたま母校で車いすバスケットボールの大会を観る機会があり、そこで当時の日本選手権のボランティアスタッフを募集していて、おもしろそうだなと思って。それから5年経ちました。
小坂:学生時代に、障がい者スポーツ指導員資格を取る際、実技として車いすバスケットボールに出合いました。実際にプレーさせてもらって興味を持ち、ボランティアとして関わるようになって7年ですね。

Q.リーダーはどんなことをするの?
A.ボランティアの楽しさを伝えることです

粟飯原:業務的には、日本車いすバスケットボール連盟とボランティアスタッフの仲介役ですね。試合当日は特に担当を持たず、会場を見まわってスタッフが困っていないか、不備はないかなどに注力しています。リーダーではありますが、ボランティアに上下関係があるわけでもないので、いっしょに楽しみ、成長していきたいです。
小坂:ボランティアのリピーターを増やすことも役目のひとつかなと思っています。私たちも始めたばかりの頃は、まわりの先輩たちに助けられ、楽しさを教えてもらえたので、後進に伝えていきたいですね。リーダーとしての意識はあまりなく、自分自身が楽しみながら活動することで、まわりにも波及していけばいいなと思っています。

Q.ボランティアは試合も観てもいいの?
A.積極的に観てOKです!

小坂:休憩中であれば、どんどん観ていいんです! 間近で見られるのはボランティアスタッフの特権ですよ。

Q.仕事をしながらのボランティア活動は大変?
A.大変なこともありますが、やりがいがあります

粟飯原:仕事帰りにミーティングがあったり、負担がないわけではありません(笑)。でも、やっぱりスタッフや来場者に「ありがとう」と言ってもらえることが続けられているモチベーションですよね。
小坂:スタッフに「楽しかった」といわれ、また次の機会にも参加してもらえるとうれしいですね。

Q.ボランティアになるには、どうすれば?
A.SNSをチェックするのがおすすめです

粟飯原:基本的には、大きな大会の前に連盟のホームページで募集告知があります。それ以外にも僕たちがSNSでボランティア活動のことを発信しているので、そこから興味を持って参加してくれるケースも多いです。

Q.ボランティア活動の醍醐味とは?
A.横のつながりができ、世界が広がることです

粟飯原:ボランティアが、新しい居場所になるといいですね。ボランティアはお休みしても、観客として来る人も多いです。SNSでつながって他の車いすバスケットボールを観に行ったりすることも。ボランティアを通じて、さまざまな関わり方ができ、世界が広がっていくと思います。
小坂:ボランティアは、大会の成功、選手がプレーしやすい環境をつくるという役割がありますが、私たちも大会の主役だと思って活動しています。やっていることは裏方ですが、サポートをしながら自分たちも大会をつくる主役であり、プレーヤーのひとりだと思えることでしょうか。

Q.車いすバスケットボールをまだ観たことがない人たちへメッセージを
A.臨場感や空気感は会場でしか得られません!

粟飯原:バスケットボール経験者ですし、車いすバスケットボールをテーマにした漫画『リアル』を読んでいたのでわかっているつもりでしたが、音だったり、においだったり、こんなにも激しいものであることは会場で観て初めて知りました。ぜひ、一度、観に来てください。ルールや選手を知っている人がいっしょだと、より楽しめますよ。
小坂:単純に迫力があって、すごいんです! 観客も盛り上がっているなか、自分もそこにいることで、まわりとの一体感やつながりも感じられると思います。これは、テレビ観戦では伝わらず、その場にいないとわからない感覚です。

※取材日:2018年5月20日/天皇杯 第46回日本車いすバスケットボール選手大会

text by Miho Sasaki(都恋堂)
photo by Parasapo

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