東京パラリンピックの新競技・テコンドー、注目選手を一挙紹介!

東京パラリンピックの新競技・テコンドー、注目選手を一挙紹介!
2018.09.21.FRI 公開

東京2020パラリンピックからの新競技テコンドー。東京での採用が決まった当時は、競技人口がゼロに等しく、普及をするところからのスタートだった。しかし、現在では着実に競技人口を増やしており、他競技から転向した選手や東京大会以降もパラリンピックを狙える新鋭など世界での活躍が期待される選手が多くいる。今回は東京に向けて注目すべき選手を紹介したい。


伊藤力(いとう・ちから)

伊藤力

男子 -61 kg 級/K44/右上腕切断
2015年の4月に右腕を切断。その後、プレーしていたアンプティサッカーの関係者に誘われてパラテコンドーを始めた。競技歴2年のパイオニア。2017年世界パラテコンドー選手権ベスト8

「パラテコンドーを始めたときから、どうせやるなら東京パラリンピックで金メダルという目標を掲げていて、それは今も変わりません。あと2年、ブレずにやっていきたいです。とはいえ、競技を始めてまだ2年なので、もっともっとテコンドー自体を習得し、大会の雰囲気を肌で感じて試合に慣れ、パラリンピックのときには平常心でできるようにするのが一番大事かなと思います。

2年前は、海外の強豪選手相手に、自分の蹴りでポイントを取ることもできなかったのですが、今年は同じ相手にも自らポイントを取りに行くことができ、その辺は自分自身大きく成長できている。あとは、相手の蹴りを交わしたり、弱いところを突いていったりできるようになれば勝機はあると思います」

※関連記事:インタビュー「伊藤力が歩む道」

●星野佑介(ほしの・ゆうすけ)

星野佑介

男子 -61 kg 級 /K44/先天性骨不形成障害
9月の「平成30年度下期のパラテコンドー強化指定・育成指定選手選考会」-61kg級では日本パラテコンドー界のパイオニア、伊藤力に敗れ準優勝だったが、8月にはその伊藤に勝利するなどメキメキと力をつけている17歳。2018年パンアメリカンパラテコンドー選手権3位

「僕は前足で行って、前足でポイントを取るスタイル。(9月の選考会の決勝で、)それをやろうとしたら伊藤さんは右足の蹴りを出してきて、右手のガードができなかったり、捻挫している左足で蹴らなければならない状況になり、そこに対応できず、負けてしまいました。次はこちらが対策を仕返す番だと思っています。

蹴るのを躊躇してしまうことがあるので、それを克服したいです。それから、ステップをしていても体力がなかったら途中で止まって相手にやられてしまうので……蹴る体力をつけたいです。

日本国内でいつでも一番になれる強さと自信みたいなものを手に入れて、もし東京パラリンピックに出られたらメダルを目指したいです」

●阿渡健太(あわたり・けんた)

阿渡健太

男子 -61 kg 級/K43/先天性右上腕欠損・左前腕欠損
もともと健常者に混ざってサッカーをやっていたが、2017年の冬、パラスポーツの体験会でパラテコンドーに出会った。2017年世界パラテコンドー選手権ベスト8

「テコンドーを始めて1年経っていないので、自分には伸びしろがたくさんある。まずは基礎を練習していきたいです。自分は手がない分(相手の攻撃が)入りやすいので、相手に触らせないようにステップを使って動く練習が必要かなと感じています。

パラリンピックは絶対に出たいと思っています。でも、自分はまだまだだと自覚しているので、しっかり一日一日練習して上を目指します。やはり、ステップで蹴らせないようにする動きがまだ不十分なので、そこを勉強していきたいです。もっともっと足を使って相手の上半身を揺さぶって(相手との距離を)空けさせるようなステップで蹴らないと入らないなと感じています。そのためには、足の筋力や瞬発力も必要だと思っています」

★パラテコンドーの魅力とは?
「パラスポーツの中でも、フルコンタクトでバチバチやる競技ってあまりない。迫力がある点がひとつだと思います。あと、障がいの程度が人によって違うので、闘い方も人それぞれで面白味があるところですね」

●工藤俊介(くどう・しゅんすけ)

工藤俊介

男子 -75 kg 級/K44/左上腕切断
仕事中の事故で左腕を切断。テニスを経験した後、1年前からパラテコンドーを始めた。9月2日に行われたパラテコンドー初の単独大会「平成30年度下期のパラテコンドー強化指定・育成指定選手選考会」+61kg級で優勝した。2018年パンアメリカンパラテコンドー選手権3位

「現在強化しているのは、カウンター技。180度回ってやる技を練習しているのですが、まだ自信がなくて、なかなか試合で出せないのは練習が足りないのかなと思います。それができるとポイントも大きいですし、戦略にもつながってくる。前足で詰めて詰めて、相手が突っ込んできたところをカウンターで出せると相手も嫌だと思うので、自分の中でももっと盛り上がって行けるのかなと思っています。

一番大きな目標は東京パラリンピックでの金メダルですが、近い目標は来年頭にある世界選手権での優勝です。世界選手権で自分のレベルを知り、そこから上を目指していきたいと思います。海外の体格のいい選手にも勝てるように、(前に出ながら蹴らないと力が入らないので)力強く蹴れるパワーをつけていきたいです」

★パラテコンドーの魅力とは?
「始めたきっかけは、知人からの紹介です。道場で体験させてもらって、これは面白いと思って始めました。手がなくても、それ以上の競技活動ができるというところが僕にとってのパラテコンドーの魅力です」

●田中光哉(たなか・みつや)

田中光哉

男子 -75 kg 級 /K43/先天性両腕障害
障がい者スポーツをサポートする仕事をしていたが、発掘事業に参加したことがきっかけで、パラテコンドーを始めた。2018年パンアメリカンパラテコンドー選手権大会優勝

「自分は両腕に障がいがあり、国際大会ではK43クラスの-75kg級で闘います。やはり腕がある相手でも勝てるような闘い方ができるようになりたいなと思います。(腕があると)腕が支えになる分、スペースができるので足を入れやすいとか、リーチの長さの分押し負けてしまうこともあるのですが、そこを体をうまく使って闘えるかということを考えていきたいです。

課題は、後半1分半からのパワーと勝負強さ。疲れていても、改めてエンジンをかけ直して最後馬力を出さなければ、勝てないですね。また、僕のスタイルは動き回って、回し蹴りだったり、ターン蹴りを入れていくこと。動き回って相手を誘うスタイルをさらに磨いていきたいと思っています」

●太田渉子(おおた・しょうこ)

太田渉子

女子 +58 kg 級/K44 /先天性左全手指欠損
女子普及のために闘う! 2014年のソチパラリンピックでは日本選手団の旗手を務めたパラリンピック冬季競技のメダリスト。2006年トリノパラリンピック・バイアスロン(ロング)銅メダル、2010年バンクーバーパラリンピック・クロスカントリースキー(クラシカルスプリント)銀メダル

「もともとスキーの選手でしたが、2014年に引退しました。テコンドーは、始めてまだ3年。練習ではできても試合では出せないターンの技などがあるので、それをもっと練習して試合で使えるようになりたいと思っています。最近、国際大会の試合時間が2分(3ラウンド)から5分(1ラウンド)に変わってきたので、5分間動き続けられるスタミナをつけたいです。スキーを辞めてから、4年のブランクがあります。イチから体作りをしているところなので、まだ5分だとつらいところがあるのですが、昔の記憶を手繰り寄せてやっていきたいと考えています。

2020年を前にし、男子は徐々に選手が増えているのですが、女子はまだ私、1人です。私の姿を見て、やってみようかなという人が増えたらいいなと思っています」

★パラテコンドーの魅力とは?
「普段は、健常の人と一緒に練習しています。パラテコンドーは頭を蹴るのが反則で、その違いはありますが、一緒にできるところが魅力だと思います。あとは他の競技にはない足技が色々ある点が魅力ではないでしょうか」

text by Asuka Senaga
photo by X-1

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