パラリンピック アクセシビリティMAP・徹底ナビゲート「伊豆ベロドローム」

パラリンピック アクセシビリティMAP・徹底ナビゲート「伊豆ベロドローム」
2018.11.01.THU 公開

スピード、スリル、駆け引き。パラサイクリングを眼の前で観戦すれば、その迫力にきっと圧倒されるはずだ。今回はそんなパラサイクリングを間近で観戦できる「伊豆ベロドローム」のアクセシビリティを徹底研究。

車いすユーザーであり「あすチャレ!運動会」のナビゲーターでもあるブッキーが、最寄りの伊豆箱根鉄道・修善寺駅から競技場までのアクセスと会場内をすみずみまでチェック。誰もが気軽にサイクリング会場に足を運べるよう、ご紹介していきます。
※パラサポのWEBマガジンでは、アクセシビリティ(Accessibility)=交通のアクセスのしやすさ、施設等の利用のしやすさ、を表す言葉として使っています。

ブッキー!

「パラスポーツの魅力を多くの人に伝えたい!」それが自分の使命であると、 「あすチャレ!運動会」のナビゲーターとして日々その思いを各所で伝える熱き男。自身も車いすユーザーのため、本企画では鋭い視点で各会場をナビゲートします。

駅(修善寺駅)編へ
バス(新東海バス)編へ
会場(伊豆ベロドローム)編へ

室内に常設された木製走路は日本初。
迫力のパラサイクリングを体感しに、伊豆ベロドロームへ!

2011年にオープンした伊豆ベロドロームは、常設の木製走路を有する日本初の施設。2020年の東京2020パラリンピック競技大会では、自転車競技の開催が予定されています。現在、常設席数は1,800ですが、2020年までには大幅に観客席を増設予定とのことです。

パラサイクリングの大きな特徴は障がいの種類・程度によりクラスが分かれ、それにより使用する自転車が異なる点。たとえば脳性まひや重度の四肢障がいのある選手を対象としたTクラスは安定感のある三輪自転車を使用、視覚障がい者を対象としたBクラスは二人乗りのタンデム自転車を使用といった具合に、多彩な自転車が登場し、それぞれに技術的な難しさ、見どころが異なります。知れば知るほど奥が深い競技と言えるでしょう。

これが二人乗りのタンデム自転車。前席には晴眼者のパイロット、後席には視覚障がいの選手(ストーカー)が乗る。

それでは、自転車競技の聖地、伊豆ベロドロームへ、向かってみましょう。

伊豆箱根鉄道駿豆線・修善寺駅

利用しやすい、フルフラットのホーム

修善寺駅で降りたら、伊豆ベロドロームまではバスで向かうのが一般的。修善寺駅はホームと改札が同じフロアにあるので、移動もスムーズです。改札口も一つなので、駅での待ち合わせも安心!

ホームからバス乗り場まではフルフラット。

快適な伊豆箱根鉄道の車内

自転車を持参する乗客向けに自転車を折りたたまずに乗車できる「サイクルトレイン」システムを導入している伊豆箱根鉄道(三島→修善寺間)。それゆえ、車内は座席間を車いすが通行できるほどのスペースがあって、移動や車いすから座席への移乗も問題ありませんでした。

伊豆箱根鉄道駿豆線は広々とした車内。
さすがサイクルリゾート伊豆。車内には「自転車お持ち込みスペース」も。

ようやく、伊豆箱根鉄道駿豆線の終点・修善寺駅に到着。
電車を降りるとすぐに駅員さんがフォローに。電車とホームの段差は10センチ弱ありましたが、スロープを使ってスムーズに降車できます。駅員さんによれば「車いすの方の乗車、降車には必ず駅員のサポートがつきます。安心してご利用ください」とのこと。もちろんサポートが必要ない場合は過剰な対応はありません。さまざまな気づかいがありがたいですね。

降車後も改札まで段差はなくフラットなつくり。

バスで向かう場合は南口へ向かいましょう。バス乗車までの時間があるときには、駅構内にあるお土産屋さんに立ち寄ったり、名物のあじ寿司を入手するのもオススメ。

修善寺駅 便利なポイントをチェック

2014年に建て替えられた駅舎は天城杉を用いた伊豆の自然も感じる内装。

駅に着いてからまず目に入ったのが、改札口から各エリアにのびる点字ブロック。点字付きや凹凸のあるトイレ案内ボードや駅舎案内など、視覚障がい者に配慮された工夫がいくつも。もちろん多目的トイレもあり、安心して駅舎を利用可能です。

点字に沿っていくと、多目的トイレに到着。視覚障がい者にも配慮されたトイレ案内図や音で場所を知らせる工夫も。

周辺案内ボードは表面に凹凸があり、触って確認することもできます。

西口付近にはコインロッカーが。

伊豆ベロドロームへ向かうにはここから新東海バスを利用。南口を出て左のバス停留所へ

南口を出たら左へ。

東海バス案内所で切符を購入したら、さらに奥の9番乗り場まで進みます。

目指す停留所は「サイクルスポーツセンター」。ただし土曜、日曜、祝日は本数が少ないので事前に時刻を確認しておきましょう。また、車いすで利用の場合は前日までに乗車予定時間を新東海バス(電話0558-72-1841)まで伝えておけば、予定時間に車いす対応のバスとスロープを準備し、待っていてくれます。車いす対応をしていない車両が一部あり、車いす対応のバスでも車いすは一台しか乗れないため、事前の予約がおすすめです。

バスへはスロープを利用して乗り込みます。運転手さんがサポートしてくれるので、事前に乗車する時間を新東海バスへ伝えておきましょう。

バスの車内には車いすユーザーの乗車スペースあり。約20分で特徴的なベロドロームの施設が見えてきました。

ベロはフランス語で自転車、ドロームはラテン語で競技場の意。モダンなフォルムの伊豆ベロドロームを間近に見て、気分も高揚してきました。

バスを降り、すぐ隣にある横断歩道を渡ります。会場入り口正面は階段のため、右端にのびるゆるやかなスロープを利用して迂回します。

伊豆ベロドローム 1階は広々としたエントランス

会場の入り口に到着。車いすユーザーにとって引き扉は少し扱いにくいですね。

広々としたエントランスロビーを経て、いよいよ客席ヘ向かいます。

2階にある観客席へ向かうため、まずはエレベーターを目指しましょう。

現在、会場内にあるエレベーターはバックエントランス側に1箇所のみのため、利用する際はエントランスの外から右側の平坦な道をぐるっとまわって移動する必要があります。
2020年までにはメインエントランスすぐそばのエリアに来場者用エレベーターを設置予定ということなので、東京パラリンピックまでには車いすユーザーでも入り口から観客席へスムーズにアプローチできるようになるはずです。

いよいよ、2階の観客席へGO!

2階に上がると、大迫力のトラックが! ここでは走行する選手に手が触れてしまうほどの距離で観戦可能です。最大傾斜角45°のトラックはまるで壁のよう。このトラックを時速70kmで自転車が疾走するシーンは壮観のひとことです。

現在、車いすユーザーのためのエリアは4つのコーナー付近に4箇所。12名ほどの車いすユーザーが同時観戦可能です。車いすユーザーの同行者はその近くで一緒に観戦できますが、現状、椅子の用意はないようです。

伊豆ベロドロームの観客席は現在、1,800席ですが、2020年までには3,000席まで増設予定とか。もちろん、車いすユーザー専用席も増えていくとのこと。2019年の年頭から工事がスタートし、この会場は大きく変貌を遂げていくのです。

2F観客席エリアの多目的トイレ

多目的トイレは1階のメインエントランス近くに1箇所、バックエントランス近くに1箇所、そして2階の観客席エリアに1箇所。観客席エリアはフラットな床になっているので、どこで観戦していてもトイレまではスムーズに移動できそうです。

巨大な吹き抜けのデザインが印象的。太陽光を効率的に採り入れられるので、場内はいつも明るい状態をキープできるのです。

現在、オリンピック・パラリンピック、世界選手権を開催できる自転車トラックはこの伊豆ベロドロームのみ。自然いっぱいの環境にあるモダンな自転車の聖地は雰囲気も抜群で、なにより驚きの傾斜角を有するトラックは一見の価値ありです。会場のバリアフリー対策はこれからという部分も見受けられましたが、現状でも各種大会において障がいのある方の観戦ももちろん可能。実際に会場に来て迫力満点のスピードを肌で感じてみてはいかがでしょう。

車いすユーザーにとって初めて行くエリアに電車やバスの乗り継ぎがあるとちょっとハードルが高いと思ってしまうんですよね。でも今回お伝えしたとおり、電車もバスも乗れる環境が整っていました。「行ける」ということを多くの方に知って欲しいですね。今回の取材がそのきっかけになれば嬉しいです。私もまたバスにゆられながら見に行こうかな。

伊豆ベロドローム
http://www.csc.or.jp/izuvelodrome/

※本記事に記載の情報はすべて2018年8月時点のものとなります。また、伊豆ベロドロームに関する説明は、当該施設監修のもと掲載しております。

text by Piroshi Utsunomiya
photo by Munenori Nakamura

パラリンピック アクセシビリティMAP・徹底ナビゲート「伊豆ベロドローム」

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