自分らしい道を突き進む18歳。パラ卓球・三浦稟々の素顔

自分らしい道を突き進む18歳。パラ卓球・三浦稟々の素顔
2026.10.18.SUN 公開

ブレイク必至のスター候補を紹介するシリーズ“TOP PROSPECT(有望株)”。今回は、「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」パラ卓球日本代表、三浦稟々選手です。「生まれ持った個性を大切に自らの道を貫く」という意味を持つその名のように、自身のスタイルを信じて成長を続けてきた三浦選手。2026年の全日本パラ卓球選手権女子シングルス(クラス10)優勝をはじめ、国内外の大会で着実に実績を重ねてきました。ロサンゼルス2028パラリンピック出場を目指す若き新星の素顔に迫ります。

三浦 稟々(みうら・りり)|パラ卓球
2008年神奈川県生まれ。先天性の左足部欠損により義足を使用。リオデジャネイロ五輪をきっかけに興味を持ち、その後、地元のスタジオで卓球を始める。テレビで観た東京パラリンピックでエネルギッシュにプレーする八木克勝の姿に刺激され、パラ卓球の世界へ飛び込んだ。2024年から国際大会に出場し、女子シングルス(クラス10)世界ランキング20位(10月15日現在)。戦型は右シェーク裏裏ドライブ型。クラーク記念国際高等学校在学中。

パラ卓球界に現れた18歳の新星、三浦稟々

卓球で見つけた「自分らしさ」

――地元の卓球スタジオで卓球を始めました。卓球をしていて自分らしくいられるようになったと感じる場面はありますか。

三浦稟々(以下、三浦):小学生の頃は授業中に騒ぐクラスメートが許せないような真面目なタイプでしたが、卓球と出会ってから本来の自分をオープンに出せるようになりました。心の底から打ち込めるものができたことで自信がつき、周囲からも「元気印」と言われる性格に変わっていったように思います。

プレー中のピン留めスタイルとは異なり、前髪を下ろした普段の素顔

――子どもたちに寄り添う教師になるのが昔からの夢だそうですね。

三浦:小学校5年生の終わり、コロナ禍で学校に通えず心が不安定になっていた時期がありました。そのときに休校期間中も電話で親身に悩みを聞き、寄り添ってくれたのが当時の担任の先生でした。「自分もこんな大人になりたい」と強く憧れを抱いたのが、教員を目指すようになった原点です。

中学、高校と進学するなかでも素敵な先生方との出会いがあり、その気持ちはさらに膨らんでいきました。遠征や練習で多忙な日々ではありますが、小学校の頃から想い続けてきた「教師になる」という夢に向かって、大学へ進学し教員免許の取得を目指していきます。

衝撃を受けたパラ卓球の世界

――パラ卓球との出会いは中学生のとき。テレビで東京パラリンピックを見たのがきっかけでした。

三浦:東京パラリンピックで八木選手が躍動する姿を見て、「障がいがあってもこんなに強いボールを打つんだ」と驚きました。それがきっかけで、「私も障がいがあるし、パラの大会に出られるかもしれない」と考えたんです。コーチに相談すると「いいじゃん!」と背中を押され、大会へのエントリーを決意。初めて出場したパラ卓球の大会では、自分より重い障がいの選手たちが堂々と戦う姿を目の当たりにし、「隠さなくていいんだ」「自分ももっとできる」と意識がガラリと変わりました。そこから、パラ卓球の大会に出場するようになりました。

負けると悔しくて試合の夢を見るほど生粋の負けず嫌い

――高校2年生の7月に全日制の高校から通信制のクラーク記念国際高等学校へ転校しました。

三浦:高校1年生のときは特進コースで学業に打ち込んでいました。ところが、パラ卓球の日本代表としてチェコに初めて海外遠征に行き、2週間休んだら授業のスピードについていけなくなってしまったのです。これまで頑張ってきた勉強ができないことが嫌で仕方がなく、気持ちが落ち込み、学校を休みがちになってしまいました。

そんなときに「海外に行くなどしていろんな経験をしているのは素晴らしいこと。あきらめないで」と励ましてくれたのも当時の担任の先生でした。その後、競技と学業を無理なく両立させるため、通信制高校への転校を決意。いまは自分でスケジュールを柔軟に管理できるようになり、心身ともに充実した日々を送っています。

――ハードな日常や厳しい遠征を乗り切る活力になっているのが、好きなアイドルグループの曲を聴くことだそうですね。

三浦:もともとアイドルなどにハマるタイプではないと思っていた私ですが、今年4月のトルコ遠征で思いがけない出会いがありました。現地の食事になじめず、空腹でフラフラになりながら目覚めた朝。手持ちぶさたから、普段はあまり見ないYouTubeを開くと、画面に流れてきたのが「=LOVE(イコールラブ)」の動画でした。
そのかわいさと楽曲のメッセージ性に、一瞬で心を掴まれてしまって。とくに大好きな『今、この船に乗れ!』の歌詞には、落ち込んでいた気持ちをどれほど救われたかわかりません。
その日、曲を聴いて気持ちを整えたおかげで、コンディションが最悪だったにもかかわらず、ミックスダブルスで国際大会初優勝を飾ることができました。今となってはジムでのランニング中はもちろん、大事な試合の前にもノリノリで聴いて気分を高める毎日です。遠征先の車内で運転手さんにお願いして曲を流してもらい、ほかの選手たちにも“布教”しているほどハマっています(笑)

試合中に声を張り上げて自分や周囲を鼓舞するときが「一番自分らしくいられる瞬間」と語る

――これからの目標について教えてください。

三浦:これからの大きな目標は、世界のトップ選手になってロサンゼルス2028パラリンピックでメダルを手にすることです。18日に開幕するアジアパラでは、シングルス・女子ダブルス・ミックスダブルスの3種目にエントリー。アジアには世界トップクラスの強豪が立ちはだかりますが、コーチとともに徹底的な対策を練り上げてきました。積み重ねてきた努力を信じ、自らの手で勝利を掴み取りにいきます。

初めて挑むアジアパラでメダル獲得を目指す

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自身のスタイルを貫きながら高みを目指す三浦稟々。明るくエネルギッシュに突き進むその姿は、きっと輝かしい未来を見せてくれるに違いない。

text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda

『自分らしい道を突き進む18歳。パラ卓球・三浦稟々の素顔』

自分らしい道を突き進む18歳。パラ卓球・三浦稟々の素顔