日本財団パラリンピックサポートセンター

【舞台裏】チームワークが生んだ奇跡の一枚|GO Journal 4号

【舞台裏】チームワークが生んだ奇跡の一枚|GO Journal 4号
2020.01.22.WED 公開

都内の某撮影スタジオ。やや緊張した面持ちで、ひとりのアスリートが姿を現した。
車いすバスケットボール・鳥海連志

「GO Journal」創刊号の重本沙絵選手(陸上)の写真を見たことがあったという鳥海選手は、撮影の話が持ち掛けられた時、「自分もやってみたい、やってみる価値は大いにある」と素直に感じたそうだ。
その思いをしっかり受け止めるかのように、クリエイティヴ・ディレクターの蜷川実花さんは穏やかな笑顔で迎えた。

撮影、ティップオフ!
アート×スポーツ、最高を目指す“試合”が始まった。



第1クォーター
白いスクリーンにくっきりと浮かび上がる光

点々と置かれた競技用車いすのセンターに鳥海選手。ボールを手にすると、ふっと緊張が和らぐ。ぐっと腰を曲げてのぞき込むようにカメラを構える蜷川さん。順調に撮影が進んでいく。

第2クォーター
夜明け前の“マジックアワー”のような世界。

深みのある暖色系の光が、ニナガワワールドへといざなっていく。ノースリーブのシャツ、鍛え抜かれた二の腕。鳥海選手の髪が風に吹かれる。「かっこいい!」蜷川さんが思わず口にした。時折、写真をふたりで確認しながら、お互いのイメージを共有する。

第3クォーター
光とボールが描く軌跡

動きをつけようとスタッフが鳥海選手にわざとボールを散らして投げる。さすが日本代表。どんな球でも取ってしまう。車いすの片輪を浮かせ高さを出す“ティルティング”も飛び出し、スタジオに歓声と拍手が起きる。そして、バスケットボールを高く上げ、シュートフォームでポーズをとる鳥海選手。光とボールが重なる。光の曲線はまるでボールが描く軌跡のようだった。

第4クォーター
ベールに包まれたアスリート。

半透明のスクリーンにバックから光を当て、鳥海選手のシルエットだけが浮かび上がる。スクリーンの前に立ちカメラを構え、シャッターを切り続ける蜷川さん。鳥海連志という唯一無二のアスリートの姿をしっかりと伝えたいという意志の表れのようだった。

延長戦、奇跡の一枚。

幾重もの色が重なり合う。プロジェクションマッピングのスクリーンは真っ白な衣装を着た鳥海選手。スタジオは、ニナガワワールド一色に染まる。「今日は神がかっている!」蜷川さんがスタッフを見回し、笑った。

「最初は不安がありましたが、撮影の雰囲気とか彩りとか、みんなで作り上げている感じが自分の中にすごくあって。“チーム”で動いているのはバスケだけではなく、こういう場面でも変わらないと感じました。本当にめちゃくちゃ楽しかったです!」
撮影の感想を語る鳥海選手には、充実感が漂っていた。

国際大会に海外遠征、強化合宿と車いすバスケットボールに打ち込んだ2019年。
鳥海選手は、「チームの中での“遂行力”が、この一年で成長できた部分」だと胸を張る。8ヵ月後に迫った東京パラリンピック本番を目指し、この冬にはもう一度基礎を作り直し「レベルアップした僕を見せたい」と話す。そして、「自分が主軸になっていくようなプレーを示していきたい」と東京大会の先もしっかり見据えている。

「かっこよくしてもらった僕を見てもらうことで、いろいろな方面の方がパラスポーツに興味や関心を持ってくれたらと思います」

鳥海選手のそんなメッセージが込められた「GO Journal」4号。
東京パラリンピックを目指す若きアスリートたちに注目だ。

GO Journal公式サイトにて、蜷川実花さん撮りおろしビジュアルと鳥海選手のインタビューをお楽しみください。
https://www.parasapo.tokyo/gojournal/

●秦由加子選手のメイキングレポートはこちら
https://www.parasapo.tokyo/topics/24245

text by Rihe Chang
photo by Hiro Nagoya

【舞台裏】チームワークが生んだ奇跡の一枚|GO Journal 4号

『【舞台裏】チームワークが生んだ奇跡の一枚|GO Journal 4号』