「withコロナ時代」のスポーツ観戦に求められる、新しい応援スタイルとは?

「withコロナ時代」のスポーツ観戦に求められる、新しい応援スタイルとは?
2020.08.19.WED 公開

新型コロナウイルス問題により新しい生活様式になったことに伴い、スポーツの場面でも「新しい応援スタイル」が始まっている。パラスポーツの大規模な大会はまだ再開されていないが、今のうちに心構えとして準備しておきたいのが、withコロナの社会における「新しい応援スタイル」での楽しみ方だ。

コロナ禍で始まったプロ野球とJリーグ

メジャーどころのプロスポーツであるプロ野球(日本野球機構)とサッカーJリーグは、問題が拡大し始めた3月上旬にいち早く手を組んで、「新型コロナウイルス対策連絡会議」を立ち上げた。

専門家の意見を聞きながら対策を練ったうえで、開幕の遅れていたプロ野球は6月19日にまずは無観客で開幕。Jリーグも6月27日から無観客でリーグを再開した。7月10日以降は政府が定めたガイドラインに沿って、5000人を上限として有観客で試合を行っている。

現在はゴルフツアーやレスリングといったプロの興行や、陸上競技大会や高校野球の独自大会などがそれぞれ制限をつけた中で開催されている状況だ。

そこで気になるのが実際に見られる「新しい応援スタイル」だ。大会を観戦するときに注意すべきことは何か。制限がある中ではどのように楽しむのが良いのか。パラスポーツ再開時にも活かせるような応援方法はあるのか。

ここでは主に、Jリーグの例を参考に考えてみたい。Jリーグは1節あたりの開催が29試合(J1~J3の合計)と非常に多い。開催地も全国各地に散らばっている。それゆえ、プロ野球と比べても制限が幅広いのが特徴で、より慎重を期していきたいであろうパラスポーツ観戦の参考になりそうだ。

基本の行動規範を徹底!

ドイツのパブリックビューイング会場でサッカーチームのロゴをあしらったマスクをつけるサポーター
photo by Getty Images Sport

Jリーグが策定したwithコロナの応援スタイルは、5月にリーグを再開させていたドイツの例に倣い、そこに独自のルールを加えたものだ。もちろん、基本にあるのは日本政府が示している
1:外出時のマスク着用
2:「三密」(密集、密閉、密接)を避ける
3:咳エチケットや手洗い
といった行動規範である。

観客はスタジアム到着時にサーモセンサーなどで体温のチェックを受け、手指の消毒を義務づけられている。マスク着用は大前提。

入場後は、間隔を開けてあらかじめ指定されている席に着き、移動は禁止されている。これは、万が一、新型コロナウイルス感染者が出た場合に近くにいたかどうかが分かるようにするなど、情報の正確性と対策効率を高めるための方策だろう。

チーム名や選手名入りのグッズを準備!

再開したJリーグでマフラータオルを掲げる川崎フロンターレのサポーター photo by AFLO SPORT

試合が始まるとさらに決まりごとは増えるが、ここからが、新しい応援スタイルを楽しむための知恵の絞りどころとなる。

Jリーグの場合は、よく見られる応援光景のひとつであるタオルマフラーを振り回す応援はNG。エアロゾル拡散につながるからだろう。

しかし、タオルマフラーなどを左右に揺らすのはOKだ。Jリーグでは元々、チームによって応援スタイルは千差万別だったが、今は観客数が少ないこともあって、試合開始時やハーフタイム、試合終了時などに掲げている一人ひとりの様子が以前より目に入りやすくなった印象だ。

これはぜひとも活かしたいところだ。お気に入りのチーム名や選手名の入ったタオルマフラーを用意すれば、選手へのアピール度はおそらく今まで以上だ。自分でつくったオリジナルデザインのもので、積極的に目立つことを楽しむのも一考だと思う。なんなら数種類用意するのも良さそうだ。

声がダメなら拍手で好プレーを後押し

熱心なスポーツファンにとって一番つらいのは、声を出せないことだろう。Jリーグでは声による応援はNGとなっている。歌を歌うのも禁止だ。

そのため、チャンスの場面やピンチの場面では声が出そうになるのをグッとこらえることになる。プロならではのテクニックでゴールが決まったときなどはついつい声が出そうになるが、やはり我慢。「チャント」と呼ばれる選手応援歌も、今は歌えない。

声を出さない応援はつらい。しかし、朗報がある。拍手はOKだ。以前なら、試合中の拍手は点が入ったときに起きるものというイメージだったが、「新しい応援スタイル」では一変し、応援方法のど真ん中に君臨するようになっている。

試合開始時には両チームに「良い試合を頼む」との思いが込められた温かい拍手が響く。相手の攻撃を防いだときは「よくやった」という強めの拍手。ボールを持ち上がって敵陣に迫っていく時は徐々に大きくなる右肩上がりの拍手。ビッグチャンスが決まらない時は「次だ!」という意味合いの込められた短めの拍手。そして、ゴールが決まった時はマックスで鳴り響く。試合終了がすれば、今度は再び両チームに「ありがとう」の思いが込められた拍手がじんわりと長く響く。

選手に聞くと、制限下での拍手はとても好評だ。「試合の流れに沿った拍手が聞こえると、プレーしている方も気持ちが良いし、リズムを掴むことができる」という。拍手が起きるタイミングや強弱、長短によって、競技を理解してくれていることが伝わるというのだ。また、ブーイングがなくなったのも試合のムードを友好的にしている印象だ。

一方、プロ野球からはお馴染み光景だったトランペットや太鼓など、鳴り物を使っての応援リードがなくなった。元々、私設応援団のリードが行われてきたのがプロ野球文化。自然発生的な拍手は苦手かと思いきや、それでも工夫をこらして「新しい応援スタイル」を見つけ出しているようだ。例えば、拍手のリズムだけで選手のコールを表現すること。行き慣れていたファンなら、例えば「パン・パパン・パン・パパン」ならこの選手のコールが続く……というのが分かるからだ。もちろん、選手自身も分かっているはず。声のないじれったさもかえって応援が身に染みることにつながるかもしれない。

MLBでは段ボール紙を切り抜いて作った“ファン”がスタジアムを埋めた photo by AFLO SPORT

ところで、第2波が来ている今、前述した3つの行動規範に加えて、「会話」に敏感な人が増えている印象がある。

ファンに聞くと、「大きめの声でしゃべっていたり、ずっと会話が続いたりしている人がいると気になる」という意見があるので、念のため、ご注意を。観客同士が互いに気持ちよく応援を楽しむために、常に配慮を忘れたくないものである。

リモート応援で投げ銭も浸透

会場には行けないけど……という人にも応援できる方法がある。テレビ観戦をしながら、ひいきのチームや選手を直接お金で応援できる「投げ銭」のシステムが急速に広まったからだ。「pring(プリン)」や「Player!」などのツールを利用し、スマホから「投げ銭」をする仕組み。「オンラインギフティング」とも呼ばれるこのシステムは、コロナのタイミングで多くのプロ野球やJリーグのチームに浸透してきた。

システムによって最低金額などは異なるが、数百円程度で参加できるとあって、利用する側にとってのハードルも高くない。スポーツ会場がフルハウスになるには今後かなりの時間がかかりそうであることから、ファンとチームや選手を結ぶ新たな応援スタイルとして期待されている。

スタジアムで応援できなくても……スタジアムのモニターなどに自宅で応援するファンの姿を映す“リモート応援”も進化 photo by Getty Images Sport

新型コロナウイルス問題がすべての人々に影響を及ぼしている中、新たな楽しみ方を見つけ出していくのもスポーツの力。パラスポーツの大規模な大会の再開が待ち遠しい。

text by Yumiko Yanai
key visual by AFLO SPORT

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