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Sports /競技を知る
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都内初の通年型アイスリンク開業。アスリートたちが語る「氷上競技の未来」

東京都立施設として初の通年型アイスリンク「東京辰巳アイスアリーナ」が9月6日、東京都江東区にオープンし、開業記念イベントが行われた。

“水の聖地”から“氷の聖地”へ
水泳の聖地として親しまれてきた「東京辰巳国際水泳場」。2021年の東京2020大会ではオリンピックの水球会場だった。
近隣に東京2020大会の水泳会場となった「東京アクアティクスセンター」が新設されたのを機に、アイスリンクに改修。氷上スポーツの聖地として生まれ変わった。

華やかに開幕したイベントには、多くの一般来場者が来場した。

オープニングを飾ったのは、2010年のバンクーバーオリンピックで銅メダルを獲得した高橋大輔さんと2018年の平昌オリンピックに出場した村元哉中さんによるアイスダンス。
2006年に開催されたトリノオリンピックのフィギュアスケート・金メダリストの荒川静香さんもセレモニーに登壇した。
「通年施設のオープンは、都民の皆さんや氷上スポーツのアスリートにとって大きな意義があること。ウィンタースポーツは、練習場所もトレーニング環境も厳しいが、来年にはミラノ・コルティナ2026冬季競技大会が開催され、そこに向かってアスリートたちもがんばっている。親しみながら、応援しながら、辰巳アイスアリーナでよい時間を過ごしてほしい」

都民が気軽に氷上スポーツを楽しめる施設でありながら、競技力向上の場としても期待されている。

小池百合子東京都知事も「辰巳の氷で練習した子どもたちから選手のトップに立つ選手が育ってほしい」とあいさつに願いを込めた。

カーリングシートで行われたデモンストレーション
車いすカーリングのデモンストレーションで来場者を魅了したのは、ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会の車いすカーリング日本代表に内定している小川亜希、中島洋治による精度の高いショット。


2024年の世界ミックスカーリング選手権大会日本代表の常世田千尋、2025年のワールドユニバーシティゲームズ優勝メンバーであり、「チーム中島」のコーチを務める荻原詠理が得点の数え方など、カーリングのルールをわかりやすく解説した。
デモンストレーションの隣のシートでは体験会が行われており「小さな子どもたちが楽しそうにやっていて、普及につながっていることが実感でき、うれしく思う」と小川。

普段は長野県にある「軽井沢アイスパーク」「カーリングホールみよた」で活動している2人。「首都圏にできたことで、競技人口が増えたら」(中島)、「カーリングを練習できる施設が少ないので、1つ増えたのはありがたい」(小川)とカーリングシートが常設された「東京辰巳アイスアリーナ」のオープンを歓迎した。
車いす利用については、「会場には立派なスロープがあって動線も非常にスムーズ」(中島)、「(車いすユーザーが使用できる)トイレもたくさんあったり、リンクに入るところも段差が少なかったり、車いすの選手だけでも快適に利用できる施設だと思う」(小川)とそれぞれ感想を述べた。


練習でアイスリンクが使用できないこともあるというパラアイスホッケーは「東京辰巳アイスアリーナ」開業により、練習環境の改善が期待される競技のひとつ。
現在、パラアイスホッケー日本代表は、厳しい環境の中で奮闘しており、2018年の平昌大会以来のパラリンピック出場に向けて11月に最終予選を控える。

オープニングセレモニーにも登壇したアイスホッケー女子日本代表の関夏菜美は「苫小牧で行った代表合宿でパラアイスホッケーの選手たちに会った。同じアイスホッケー(仲間)として、すごく応援しています」とエールを送っていた。
text by Asuka Senaga
photo by X-1