知ってました? 「パイロット」を「ストーカー」することでメダルを狙うスポーツがあるんです

知ってました? 「パイロット」を「ストーカー」することでメダルを狙うスポーツがあるんです
2019.07.19.FRI 公開
タイトルにいきなり「ストーカー」という何やら穏やかではない言葉が使われているが、ここでいうストーカーは、stalker(忍び寄る人、つきまとう人)ではなく、stoker(機関車などに薪・石炭をくべる人)を意味する。そして「パイロット」とは、その名の通り操縦者という意味。そして、このストーカーとパイロットが協力してメダルを狙うのは、実は視覚障がいのある選手(ストーカー)と晴眼者(パイロット)がペアになって競い合う「タンデム(二人乗り自転車)」に乗る種目のことだ。

視覚に障がいのあるストーカーが、一体どのようにパイロットと一緒に最速を目指すのか!? 今回はその驚異的なテクニックや見どころについて紹介しよう。

え、分身してる? と思わずにいられないほど、二人は一心同体

(写真は、Paracycling World Championships)ⓒGetty Images Sport
タンデムを使用する種目を初めて見る人は、ペダルをこぐ「パイロット」と「ストーカー」の動きがまったく同じであることに驚くだろう。足先だけでなく、太ももやお尻、ペダルをこぐ際の体の微妙な揺れまでもがぴったりと同じなのだ。

それが、見ていて単純に面白い。そしてその後に、どれだけ練習を積めばこんな風に走れるのだろうと、彼らの努力を想像するとまた違った面白さが見えてくる。

パイロットとストーカーの役割とは?

パイロット(前席)・・・晴眼者。ストーカーの前に乗り、自転車を操作する。脚力はもちろんのこと、ストーカーを導く的確な判断力が求められる。

ストーカー(後席)・・・視覚障がい者。パイロットの後ろに乗り、息を合わせてペダルをこぐ。自転車の操作はパイロットに任せる。つまり、後ろでペダルを漕ぎ、大きな推進力を生みだすエンジンとなるのだ。

なんだかパイロットの能力が高ければ高いほど有利に感じてしまわないだろうか? 実際、オリンピックのメダリストがパイロットを務めることもあるが、それだけでメダルを獲得できるほど甘いものではない。

一瞬のズレが命取り。転倒や落車の可能性も!

自転車を操作し、ストーカーをリードしながら最速のスピードを出すパイロットには、脚力とともに、高度なテクニックや判断力が求められる。そしてストーカーには、パイロット同様の脚力はもちろん、何よりもパイロットの動きを察知してそれに合わせる力が求められる。

もし、一瞬でも二人の動きにズレが生じてしまうと、それが命取りに。

特に重要なのがスタートダッシュだ。筆者は趣味でロードバイクに乗っているが、スムーズな漕ぎ出しは思いの外、難しくバランスを崩しそうになることもある。それを二人でぴったり合わせるとなると、タイミングや力の入れ具合が少しズレるだけでも、大きなタイムロスにつながってしまうだろう。

またカーブもスタートダッシュ同様、勝敗を分ける難所だ。カーブを曲がる際は体を内側に傾けるが、二人の傾け具合が違ってしまうとタイムロスだけでなく、転倒や落車の可能性もある。

タンデムの面白さ、見どころは?

(写真はParacycling World Championships )ⓒGetty Images Sport
タンデムを使用する種目には、自転車競技場で走るトラック種目と、一般道を走るロード種目の2種類がある。一般の自転車競技と通じることではあるが、それぞれの見どころを紹介しよう。

会場全体の一体感に酔いしれる「トラック」種目

ひたすらにタイムを求める、そのスピードが一番の魅力。ロード種目だと、コースが広範囲なので競技の全貌を見ることは難しいが、トラックなら最初から最後まで見ることができ、会場全体の一体感にも興奮する。

コースの変化や心理戦が面白い「ロード」種目

トラック種目と違い、道に起伏があったり、カーブが連続してあるなどコースによって特徴が異なり、それに伴いレース展開が変わるのが魅力。集団レースでは、風の抵抗を抑えるためのポジション争いやいつスパートをかけるかなど、選手同士の駆け引きも注目のポイントだ。

パイロットとストーカーが心と体を一つにし、最速を目指すタンデムには、一人乗りの自転車競技にはない難しさがある。観客の心を動かすのだ。選手たちのその熱い闘いをぜひチェックしてみてほしい。


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text by Satoko Myodo(Parasapo Lab)
photo by Getty Images Sport
知ってました? 「パイロット」を「ストーカー」することでメダルを狙うスポーツがあるんです

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