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女子はパラリンピックの種目入り間近? 18日から大阪駅前でブラインドサッカーの国際大会開催!

18日から8日間にわたって、大阪駅前グランフロント大阪「うめきた広場」でブラインドフットボール(ブラインドサッカー)の2つの国際大会が開催される。
ロサンゼルスへのスタートとなる男子代表
男子カテゴリーの「IBSAブラインドサッカーエリートカップ2025 in うめきた」は、世界ランキング上位8ヵ国の強豪しか出場する権利がない。当初参加を予定していたパラリンピック過去5度優勝のブラジルは残念ながら不参加だが、世界ランキング1位のアルゼンチン、パリ2024パラリンピックで日本に勝利したコロンビア、日本にとってアジアのライバル国のひとつであるタイが参加。フランスが優勝したパリで、大フィーバーのエッフェル塔スタジアムにいた中川英治日本代表監督は「ひとつのエンターテイメントとして一喜一憂してもらいたい」と話しており、新戦力3選手を試しながらも日本代表のハイレベルなパフォーマンスを見せるつもりだ。

photo by Takamitsu Mifune
パリパラリンピックで8位に終わった悔しさを胸に再スタートした男子日本代表の川村怜キャプテンは、地元・大阪出身。「昨年のパリはケガの影響もあってコンディションが上がらなかった。今回は観客の前でゴールを決めたい」と意気込む。
4チーム総当たり戦のあと、総当たり戦の1位と4位、2位と3位がそれぞれ準決勝で対戦。男子は25日(日)に3位決定戦と決勝が行われる。

photo by Takamitsu Mifune
昨年、炎天下の7月に同じうめきた広場で開催された「ダイセル ブラインドサッカージャパンカップ 2024 in 大阪」。電車や噴水の音、カフェから流れる音楽が聞こえる喧騒の中で、直後に開催されたパリパラリンピックのリハーサルとして臨んだ。しかし、パリ本番は想像以上の大歓声で、全盲の選手たちに指示の声が通らずシュートのチャンスを逃した場面もあれば、観客の大きな反応にショックを受けてなかなか立ち直ることができなかった選手もいたという。
昨年は、主催者によると日本代表戦4試合で5000人超が来場したが、今年は前回以上の観客を集め、さまざまな意味で経験値をアップさせたい選手たちの応援をしてほしい。

photo by TEAM A
女子の注目は“ソラとノア”
多くの観客に見てもらいたいプレーと言えば、世界ランキング1位の女子日本代表だ。今回は女子カテゴリーの「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2025 in うめきた」も同時開催される。
出場国は4ヵ国。日本代表の女子代表最多通算43ゴールのエース菊島宙を擁する日本は、世界チャンピオンのアルゼンチンに加え、日本がマークするイングランド、2032年にブリスベンで開催予定のパラリンピック開催国であるオーストラリアを迎える。

photo by TEAM A
実は、女子の公式戦は延期や中止が相次いだ歴史があり、国際大会は2023年8月以来。日本代表の若杉遥キャプテンは「日本だけではなく、世界の女子選手にとって悲願」と大会開催を喜ぶ。
2022年から指揮を執る女子日本代表の山本夏幹監督は2月にインドと行った親善試合で「(今年開催される国際大会で)優勝は至上命題」と話していた。だが、初代世界チャンピオンを目指しながら、準優勝に終わった2023年の「IBSAブラインドサッカー女子世界選手権」で、「あのときは優勝という言葉を口にしすぎた。(今大会では)一戦一戦積み上げたい」と4月の記者会見では控えめに目標を語った。
それでも、世界選手権の決勝で惜敗した宿敵アルゼンチンには勝ちに行く。「アルゼンチンの国旗を見るだけで胸が騒ぐ」という山本監督は、試合の動画はもちろん、歴史や文化を研究するほどの入れ込みよう。19日(月)の女子日本代表初戦となるアルゼンチン戦が楽しみだ。

photo by TEAM A
新しい風を吹かせる戦力もいる。スペイン留学から帰国した西山乃彩はフットサルで活躍してきた24歳の大型新人だ。ブラインドサッカーは始めて間もないが、ストライカーとして活躍が期待されている。
その他、右サイドから上がって撃つ至近距離のシュートが得意な高校生の島谷花菜にも期待大。威力のあるシュートを放って観客を魅了するスーパーエースの菊島だけではない“日本代表の攻撃力”が最大の見どころになるだろう。
2028年ロサンゼルス大会からパラリンピック種目入りを目指す女子カテゴリーだが、ことし夏頃とされる決定時期に向けて国際大会を開催する必要があり、この度、日本が手を挙げた。今大会は、女子カテゴリーをアピールする場としても重要な大会になる。
2017年に行われた女子初の国際大会から日本代表の鈴木里佳は、「女子の試合は関東(埼玉)ではあるが、関西では初。多くの人に女子カテゴリーを知ってもらいたい」と話す。
日本において女子の大会が屋外で開催されるのは初めて。立ち寄りやすい立地の国際大会、ぜひ生観戦してみてはいかがだろうか。

phot by Haruo.Wanibe/JBFA
text by Asuka Senaga
key visual by Haruo.Wanibe/JBFA