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暑さと湿気、突然の雨…東京パラ1年前のJPAF杯で国内トップアーチャーたちが激突!

暑さと湿気、突然の雨…東京パラ1年前のJPAF杯で国内トップアーチャーたちが激突!
2019.09.18.WED 公開

台風15号が関東に接近しつつあった9月8日、埼玉県障害者交流センターに東京2020パラリンピックの内定選手ら国内のトップパラアーチャーが集結し、第5回JPAF杯が開催された。

パラアーチェリーの種目は、使用する弓の種類により分かれる「リカーブ」と「コンパウンド」、そして体幹が効かず四肢まひなどがある車いす利用者を対象とした「W1」の3つある。同大会では、男女別のリカーブとコンパウンド、そして男女混合で行われたW1混合の計5種目にて、パラリンピックで採用されているオリンピックラウンド形式で実施。ちょうど1年後の東京パラリンピックを見据え、国内ナンバーワンの座を巡る争いが繰り広げられた。

強い日差しと蒸し暑さ、めまぐるしく変わる天候との戦い

日本最高峰のJPAF杯は、パラリンピックと同じ試合形式で行われる

昨年の同大会は、記録的な強風が吹き荒れ、ペースを崩す選手が続出したが、今年は打って変わり、ほぼ無風か、吹いてもそよ風程度。その代わり、というわけではないだろうが、強い日差しが照り付け、最高気温30度、湿度70%超という蒸し暑さ。加えて台風の影響により、時折スコールのような雨に襲われるなど天候がめまぐるしく変わり、選手たちはその対策に追われた。

なんといっても選手たちを一番悩ませたのは、暑さと湿気だ。アーチェリーは矢を放った後、「看的」といって的の前まで移動し、得点を確認する作業がある。車いす選手の場合、係員などに看的を任せ、シューティングラインで待機しているケースが多いのだが、その間、日傘をさしたり、首の後ろや頭頂部に氷のうを当てたり、スプレーで顔や首周辺に水を吹きかけたり、水で濡らしたタオルで顔を拭くといった工夫で乗り切ろうとする姿があちこちで見られた。

W1で東京パラリンピックの出場が内定している岡崎愛子も、その障がいゆえに体温調整ができないことから、暑さを見越したサポート体制を組み、大会に臨んだ。

岡崎はW1混合3位。「来年をターゲットに射形などを一から見直しているところ。今後はすべての試合で勝てるようにしていきたい」

「(暑さの中での試合経験があり)しんどいのは分かっていたので、(実家のある)大阪から母を呼び寄せました。介助者と母の二人体制でなんとか冷やさないと追いつかないと思って。おかげでいつもよりは良かったのですが、日差しが強すぎて、なかなか体温が下がらなかったです」

東京パラリンピックは、ちょうど1年後に開催されることを考えると、今回のような天候も十分ありうる。そう考えると、内定者にとっても、これから代表を目指す選手にとっても、今回の大会はうってつけのリハーサルとなったのではないだろうか。この天候を体験できたことを日本選手の大きなアドバンテージとして本番につなげてほしい。

目が離せないコンパウンドの争い

予選ラウンドでは、72本の矢を放ち、その合計点で順位を決定。その結果をもとに、決勝ラウンドで行われる1対1のトーナメント戦の組み合わせを決め、勝敗を競い合った。

東京パラリンピック内定選手がいるカテゴリーは、リカーブ男子・女子とW1混合の3つ。このうちリカーブは、男女とも内定選手が圧倒的な強さを見せつけた。

「東京パラ内定後、道具や技術面を一から見直していて調子がいい」(上山)

日本のパラアーチェリーを牽引するリカーブ男子の上山友裕は、「今日あたり日本新記録が出るんちゃうか」(上山)と言うほど絶好調で、予選ラウンドのシューティングライン上では、余裕の笑顔も見られた。後半はやや乱れたものの、2位以下を大きく引き離し、「今年3番目ぐらい」(上山)という好スコアでフィニッシュ。ポイント制で争う決勝ラウンドでは1ポイントも失わずに圧勝し、同大会3連覇を成し遂げた。

リカーブ女子の重定知佳は、昨年の大会では風に苦戦。結果、2位に終わり涙に暮れる姿が印象的だったが、その悔しさをバネに大きく成長。予選から別格の強さを見せつけ、自身の持つリカーブ女子70mラウンドの日本新記録を更新。「自信になりましたし、うれしいです」(重定)と素直に喜びを表した。

「この1年間、体重を増やしたり、矢を重くしたり風対策を講じてきた」(重定)

W1混合では、やはり東京パラリンピックに内定している仲喜嗣が優勝。体温調整ができないため、「体内に熱がこもって、サウナ状態」(仲)という悪コンディションとの闘いとなったが、サポート役の妻とともに冷静に戦い、接戦を制した。とはいえ、スコアには満足していない様子で、「本番まであと1年、初心に戻ってすべてを見直し、準備を重ねていきたい」と謙虚に振り返りつつ、前を見据えた。

「点数的には評価は高くない。東京まで1年あるので、初心に帰って準備をしたい」(仲)

こうしたいわば予想通りの戦いだった3種目に対し、まだ内定者が出ていないコンパウンド男子・女子の戦いは、見どころも多かった。

「予選ラウンドでも、また決勝トーナメントに入ってからも自分の粘り強さを出せた」(永野)

とくに女子は、昨年度の優勝者である永野美穂と、同2位でアテネパラリンピック銅メダリストの平澤奈古、そしてインドネシア2018アジアパラ競技大会銀メダルの篠原彩が予選ラウンドで激しいデッドヒートを繰り広げた。予選1回目は篠原が制したものの、その後永野が追い上げ、最終的には永野が1位、篠原が2位、そして平澤が3位。しかし、ど真ん中を射抜いたことを示す「×」の数は平澤がトップと、さすがの技術の高さを見せつけた。決勝ラウンドを締めくくる決勝戦では、永野と平澤が対決。当初は平澤がリードしていたものの、粘りを見せて徐々に点差を詰めていった永野が最終エンドで逆転。わずか1点差で勝負を制し、大会3連覇を成し遂げた。

「自分の(長所である)粘り強さが出せたかなと思います。来年に向けて、課題は修正しながら、粘り強さは向上するよう頑張っていきたいです」(永野)

「決勝戦では、出だしがいいと硬くなって後半で崩れるという悪い癖が出てしまいました。無心で戦えるようにトレーニングしていますが、まだ実を結んでいないというか。でも、とくに決勝ラウンドでは強い気持ちで戦えたので良かったです」(平澤)

1位永野(中央)、2位平澤(左)、3位篠原の結果だった

コンパウンド男子は、強化指定選手の安島裕が優勝。予選も2位で通過したものの、的上の矢はばらけがちで、本人も「点数がいま一つ、二つ出なかった」(安島)と悔しさをにじませた。それでも決勝ラウンドというプレッシャーがかかる舞台でしっかりと結果を出して見せたあたりは、さすがというべきだろう。

「タフな天候を経験できてよかったが、予選の点数がいま一つ。軌道修正していきたい」(安島)

来年の本番では「会場を満員にして、金メダルを」(上山)、「表彰台の一番高いところに」(重定)、「センターポールに日の丸を」(仲)と意気込む内定選手たち。そこにコンパウンドから誰が加わるのか、まだまだ目が離せない。

text by TEAM A
photo by X-1

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『暑さと湿気、突然の雨…東京パラ1年前のJPAF杯で国内トップアーチャーたちが激突!』