東京2020パラリンピックまであと2年! 香取慎吾さんやパラアスリートがイベントに登場

東京2020パラリンピックまであと2年! 香取慎吾さんやパラアスリートがイベントに登場
2018.08.27.MON 公開

東京2020パラリンピックまであと2年となった8月25日、各地でパラの魅力を伝える様々なイベントが開催された。

東京2020パラリンピックのパートナー企業が関連ブースを出展したMEGA WEB(東京都江東区)では、カウントダウンセレモニー(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と東京都の共催)が行われ、ゲストとして、国際パラリンピック委員会特別親善大使であり、日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)のスペシャルサポーター・香取慎吾さんが登場。立すいの余地もない会場を大いに盛り上げた。
また、パラサポでは、この日初めて一般公開された日本財団パラアリーナ(東京都品川区)でイベントを開催。ここにも数多くの人が訪れ、6月にオープンになったばかりの施設を見学するとともに、車いすバスケットボールなど3種目のパラスポーツを体験した。

パラ競技をもっともっと知ってほしい

カウントダウンセレモニーでは、小池百合子東京都知事が「パラ競技をもっともっと知ってもらい、応援してもらいたい。東京パラリンピックは、どの会場も人で埋め尽くされる大会にしたい」と挨拶し、鈴木俊一東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣は「今後もパラ競技の魅力を発信しつつ、ユニバーサルデザインの街作り、バリアフリーの心作りを推進していく」と述べた。

ゲストの香取さんは大きな拍手で迎えられた

また、来場者から万雷の拍手で迎えられたゲストの香取慎吾さんは「オールジャパンの力を結集して、パラリンピックを成功させたい」と、力強い言葉で誓った。

セレモニーではパラスポーツの認知を高めようと、6人のパラアスリートが、それぞれの競技の特徴を分かりやすく伝えた。カヌーとボートについては、カヌーの小山真が「カヌーは前に、ボートは後ろに進みます」と、両者の違いについて触れると、ボートの前田大介は「カヌーはスプリント競技で、ボートは2000mと距離が長いです」と説明。2人は「広大な新しい施設(海の森水上公園)でオールを漕げるので、今からワクワクしている」と口を揃えた。

「ゴールボールはチーム競技」と、その魅力を話したのが、リオパラリンピック日本代表の天摩由貴。プレーするのは3人だが、ベンチの3人にも役割があり、6人全員が1つの目標に向かっていく。イベント後の取材では「ゴールボールはただ投げているだけでなく、実際は奥深い競技。会場で目をこらして、耳を澄まして、それも発見してもらえれば」と語っていた。

ゴールボール日本代表としてリオパラリンピックに出場した天摩(写真中央)

バドミントンの里見紗李奈は、パラのバドミントンにはクラス分けがあると説明し、自転車でリオパラリンピックに出場した川本翔大は「片足しか使えないので、上りが困難」と、パラ競技ならではの難しさを伝えた。

2年後はパラの花をもっと咲かせる

来場者も一体となった「ツーイヤーズ・ツーゴー(2 Years to Go!)」というかけ声とともにお披露目されたのが、フラワーオブジェだった。この日「MEGA WEB」に来場した人の協力で完成したフラワーオブジェには、「東京パラリンピックまであと2年。この花(パラリンピックという花)をもっと咲かせよう」という思いが込められている。

カウントダウンセレモニーでは、フラワーオブジェが披露された

6人のアスリートはこれを受け、それぞれの「花咲か宣言」を披露。2年後に向けて、
「メダル獲得」(バドミントン・里見)、「笑顔で最高のレースを」(カヌー・小山)、「金メダル!!」(自転車・川本)、「金メダル獲得」(ゴールボール・天摩)、「1Okg減量。決勝進出」(ボート・前田)、「(東京パラリンピックには出場する予定がないことから)支えられた分、誰かの役に立ちたい」(射撃・田口)と宣言した。
香取さんもアスリートともに「花咲か宣言」。「10㎏減量。思い切り応援(笑)」とボードに書いて会場を盛り上げていた。

射撃の田口(写真中央)らがそれぞれの「花咲か宣言」を披露した

セレモニー終了後、パラリンピック競技の魅力を発信するため、ステージ上でボート競技の紹介が行われた。「ローイングエルゴメーター」を使ったこのデモンストレーションには、小池都知事と香取さんも参加。ボートにはシートが動く「スライド式」と動かない「固定式」があり、前田は(体幹を使わず)肩と腕の力だけで漕ぐ固定式のボートを使っているが、これに挑戦した香取さんは、それがいかに大変なことか体感。額に汗を光らせながら「僕はボートの選手になることを諦めます」と、選手に脱帽の様子だった。
それでも香取さんは前田との100mを漕ぐ競争に挑むと、その差は1秒5(約5mの差)と大健闘。前田から「大きな動きでよかった!」とそのパフォーマンスに拍手を送られていた。

小池知事や香取さんもボートを体験!

体験してみて分かったパラ競技の深みと楽しさ

 日本財団パラアリーナで開催された、パラサポによる「2年前イベント」にも数多くの人が訪れた。開場となる11時にはすでに250人の列ができている盛況ぶりだった。
このイベントに参加した来場者は、クイズ(ユニバーサルデザインを施したポイント)に回答しながら、ラリー形式で6月1日にオープンになったばかりの館内を巡回。その後、車いすバスケットボール、ゴールボール、ボッチャの3競技が体験できる。先着500名には、香取さんが描いた記念壁画をモチーフにしたピンバッチが配られた。

ゴールボールについて熱心に学ぶ
来場者はクイズを解きながらパラアリーナを見学した

車いすバスケットボールを体験していたのが、朝早めに会場に到着したという小清水恵美さんと愛菜さん(高校2年)の親子。小学、中学とバスケをしていた愛菜さんは「ドリブルがしにくく、シュートをするときに下半身を使えない難しさもあるが、ゲームはとても楽しい」と、初めてプレーした車いすバスケットボールの感想を教えてくれた。一方3月に行われた「パラ駅伝 in TOKYO 2018」にボランティアとして関わった恵美さんは「パラアリーナの施設の充実ぶりに驚いた」と話していた。
恵美さんのように、施設に驚いた人は多かったようだが、なかには「母親の介護をしているので、シャワールームなど、身近に感じた」という30代の女性もいた。

小清水さん親子は車いすバスケットボール体験に熱中した

ボッチャを体験していたのが、荒木冬湖さん、直子さん夫妻。この日初めてボッチャにトライしたそうだが、直子さんは「もっと単純な競技だと思っていたが、点数の数え方といい深みがありますね」とその魅力にはまった様子。夫妻は揃って東京パラリンピックに対する関心が高く、ボランティアに応募する考えもあるという。

来場者はボッチャを実際に体験した

イベントが示した認知の輪の広がり

「2年前イベント」では、館内が土足厳禁のため、事前に内履き用意のお願いが告知されていた。ほとんどの来場者が持参してきたが、うち6割から7割はスリッパではなく、スポーツシューズ。パラ競技をしっかり体験したいという思いの表れである。
村松辰真さんをはじめとする4人のグループも全員がスポーツシューズ。香取さんが発信しているツイッターでパラ競技に関心を持ち、「実際にどういうものかやってみたくなりました」とのこと。ただ、いざ体験してみると、想像とは違ったようだ。ゴールボールの体験を終えると「本当に何も見えないんですね。どこへ投げればいいか、感覚がつかめない」と、その難しさを伝えてくれた。

ゴールボールを体験した村松さんら4人グループ

会場には小学生の姿も見られた。母親の唐沢亜希子さんと一緒だった芽衣さんは小学2年生。聞けば小学校(東京・多摩川小)の授業の一環で、視覚障がい者マラソンの高橋勇市選手が来校。芽衣さんは高橋選手の話を聞いて、パラ競技に興味を持ったそうだ。ちなみに芽衣さんの小学校は、東京オリンピック・パラリンピックの会場になる「武蔵野の森総合スポーツプラザ」に近く、地元は東京2020大会の気運で盛り上がっているという。

車いすバスケットボールの東京2020パラリンピック競技会場近くに住む唐沢さん親子

パラアリーナの玄関では多くの来場者が、香取さんが描いた記念壁画をレゴで再現したレゴ壁画の前で足を止め、これをバックに記念撮影をしていた。ある3人組の女性は「レゴで再現するとはすごい」と感心する一方で、いずれも香取さんの大ファンなだけにとても嬉しそうだった。

東京パラリンピックまであと2年。パラリンピック競技を理解し、楽しもうという輪が確実に広がっていると感じる一日だった。

レゴ壁画の前で記念にパチリ!
text by Shinichi Uehara
photo by Hisashi Okamoto
東京2020パラリンピックまであと2年! 香取慎吾さんやパラアスリートがイベントに登場

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