東京パラリンピックへ一番乗り! 上地&国枝がアジアパラV

東京パラリンピックへ一番乗り! 上地&国枝がアジアパラV
2018.10.13.SAT 公開

インドネシア2018アジアパラ競技大会は12日、車いすテニスの男女シングルス決勝が行われ、男子の世界ランキング1位の国枝慎吾と、女子同2位の上地結衣が優勝し、東京2020パラリンピックの出場権を獲得した。東京パラリンピックにおける日本代表が決まったのは初めて。国枝はアジアパラ3連覇、上地は初優勝だった。

アジアパラ初優勝の上地結衣

国枝慎吾が吠えた! 日本人対決を制す

決勝戦のスコアは、6-2、6-3。

数字だけ見れば国枝の圧勝だが、内容はスコア以上だった。決勝戦前、国枝は「今大会の眞田(卓)選手は調子がいい」と警戒。だからこそ、歓喜のときを迎えた瞬間、「YES!!」という雄叫びを響かせた。

世界ランキング1位の国枝慎吾

1セット、より積極的に仕かけたのは「東京パラリンピックの出場権以上に“打倒・国枝”を考えている」と話していた眞田だった。
立ち上がりから両者がうめき声をあげながらのラリーになり、まず眞田がゲームカウント2-1とリード。このあとも眞田はコースを突いた速いテンポのストロークで揺さぶり、6ゲーム、7ゲームではゲームポイントを握って国枝を追い詰めた。

気迫のプレーを見せた眞田卓
 

しかし、ぎりぎりの場面でも決して崩れないのが王者・国枝だ。
誰もが眞田が決めたと思う場面で、粘りのレシーブを何度も見せ、1セットを先制。試合後に眞田が「私のストロークはコースをつけていたのに、それを上回る国枝選手のディフェンスの強さでびっくりしました」と振り返るほどだった。

2セットでは、国枝の経験値が光る。コートは暗くなり、照明がついてもなお球が見えにくい状況のなか、眞田がコントロールに苦しんだのに対し、国枝は「ボールに合わせるだけではやられてしまう。勝利を掴むんだという気持ちで打っていきました」と、鋭いリターンにこだわり続けた。

一方、眞田は2セットでも、ゲームポイントを握る場面があったが、奪いきれないシーンが目立ち、「私のコンディションも悪くないなか、少し経験の差が出たかな」と悔しがっていた。

優勝したあと、両手をあげて喜びを表現した国枝。東京パラリンピックの出場権を獲得したことについては、「もちろんうれしい。調整しやすくなります」と喜んだ。ただし、目標は、パラリンピックだけではない。

「僕らはツアーに出続けるのが日常で仕事。次の目標は何ですかと聞かれたら全豪オープンです、全仏です、となる。正直、一番獲りたいタイトルはまだ残しているウインブルドン。グランドスラムを戦うなかで東京パラリンピックを目指していきたい」と冷静に語っていた。

前回に続き、アジアパラでパラリンピック切符を掴んだ
アジアパラ3連覇!
スタッフとともに写真に納まる国枝

上地結衣が初優勝! 情報の少ない中国選手を撃破

男子シングルスより早く試合が始まり、優勝して東京行きの切符をやや先に掴んだのは女子シングルスの上地結衣だ。

「大会前の記者会見で“今回は準備が万端。シングルスで金メダルを獲って帰ります”と話していたので金メダルを獲れてホッとした気持ちです」と安堵の表情を見せた。

日本の上地が表彰台の中央に上がった。2位(左)が中国のズーン、3位が日本の大谷

決勝の相手は、世界21位の中国のズー・チェンチェン。中澤吉裕監督が「中国は実力が飛び抜けてきている印象がある」と警戒していた通り、初戦で第2シードの田中愛美を下して勝ち上がってきた。

そんなズーから上地は1セットを6-3で奪ったが、2セット目は相手にブレークされる場面も。「コートはフェンスが近く、後ろに追いやられるとボールが取れなくなってしまう。1セットは相手を後ろに追いやって、プレッシャーをかけられたが、2セット目はもう少し押し切る必要があった」と振り返る。それでも最後は6-3で勝負を終わらせ、小さくガッツポーズした。

決勝をストレートで制し、リベンジを果たした上地

試合後、上地はこんな思いを口にした。
「東京パラリンピックでも、アジアパラと同じ気持ちになるのかな」

というのも、これまでアジアパラには2度出場して金メダルに手が届いたことはない。前回のインチョン大会では銅メダルだった。同様にパラリンピックは、初出場のロンドン大会はメダルに届かず、リオ大会では銅メダルで終わっている。

センターポールに日の丸を掲げ、悲願の優勝を噛みしめた

「だから、次の東京大会に出場するときも過去に獲れなかった金メダルを獲りに行くという気持ちで試合でコートに立つのかなと思ったんです」

上地は早くも2年後に向けて、思いを巡らせていた。

クァードは菅野浩二、悔しさ残る銀メダル

クァードは、世界ランキング4位の菅野浩二が、準決勝で日本の川野将太を下し、決勝に進んだが、世界ランキング12位のキム・キュンソン(韓国)に敗れ、金メダルには届かなかった。

決勝を振り返り、菅野は「僕は汗をかかないので、汗をかける相手と3セットにもつれるときつい。スタミナで差がついた」と反省を口にしたが、「この暑さのなかで決勝に来られたことは自信になる。今後はショットの精度を上げていきたい」と前を向いた。

パワーショットを武器とする菅野浩二

さらにダブルスは、男子が国枝/眞田、クァードは諸石光照/菅野が金メダル。女子の上地/田中愛美は銀メダルを手にした。なお、今大会でクァード、ダブルス種目は、東京パラリンピックの出場枠の対象にはなっていなかった。

シングルス、ダブルスを含めて合計10個のメダルを獲得した車いすテニスの日本チーム。22歳の田中や23歳の大谷らはまだ発展途上であり、今後ますます目が離せなくなりそうだ。

※世界ランキングは2018年10月8日時点

text by Yoshimi Suzuki
photo by Haruo Wanibe

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