日本財団パラリンピックサポートセンター

日本財団パラアリーナに16チームが集結「全国横断パラスポーツ運動会」関東ブロック大会

日本財団パラアリーナに16チームが集結「全国横断パラスポーツ運動会」関東ブロック大会
2019.01.25.FRI 公開

昨年12月より日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)が全国7ブロックで開催している「平成30年度スポーツ庁委託事業 全国横断パラスポーツ運動会」の5回目に当たる関東ブロック大会が、1月20日、東京のお台場にある日本財団パラアリーナで行われた。優勝チームは3月17日にパラサポが主催する日本一決定戦(於:同会場)に招待されるとあって、エントリーした16チームによる熱戦が繰り広げられた。

当日の東京は快晴。お台場には多くの参加者が詰めかけた
会場となった日本財団パラアリーナは、来る日本一決定戦の開催場所でもある
16チーム260名の参加者が揃って入場
開会式ではパラサポの山脇康会長が挨拶に立った
当日は聴覚障がいのある参加者も複数いたことから、手話通訳がついた
<全国横断パラスポーツ運動会 関東ブロック参加チーム>
株式会社朝日新聞社、株式会社アシックス、NTT、株式会社NTTドコモ、オットーボック・ジャパン株式会社、JXTGエネルギー株式会社、JTBグループ、JAL、スポーツ庁、株式会社タニタ、大日本印刷株式会社、千葉県、東京メトロ、日本郵船株式会社、パナソニック株式会社、株式会社フォーチュンアイランド

参加者同士のコミュニケーションを深めるアイスブレイク

今回、会場に詰めかけた参加者は総勢260名。異なるチームに所属している人はもちろん、同じチーム内でも実は顔を合わせるのはこの日が初めてという場合も少なくない。こうした参加者たちのコミュニケーションを深める目的で行われているのが、この運動会では恒例となっている「アイスブレイク」と呼ばれるプログラムだ。これまでは、アイマスクを装着し、視覚を制限した状態で血液型や名前の文字数など、与えられたテーマに合わせてグループを作るアイスブレイクを行っていたが、今回は参加者の中に聴覚障がいのある人が含まれていることもあり、声を発することを制限するパターンでも行われた。

声を出せない中、参加者たちは身振り手振りで自分の血液型をアピールし、同じ血液型同士でグループを作る。五感のうちの1つを制限された状態で行なうことで、そのほかの感覚を使ったコミュニケーションが促進され、プログラムを終える頃には参加者同士はチームを超えて打ち解けた雰囲気となっていた。

参加者全員でラジオ体操で体を暖める
目隠しをしていても、ついつい手を挙げて呼びかけてしまうのは普段からの習性
指を立てているのは、テーマである“名前の文字数”。だが、参加者には見えない
声を出さずに行った回は、参加者は身振り手振りで自分の血液型をアピール
A型やO型は簡単そうだが、B型AB型は身振りで表すのに苦労していた
「身振り以外にも口の形で表現したり、相手の手のひらに書くこともできます」とは、
パラサポ・推進戦略部の伊吹祐輔

シッティングバレーボールで幕を開ける

この日はシッティングバレーボールから競技が開始される。6人1チームで3タッチ以内にボールを相手陣に返す点は一般のバレーボールと同様だが、全員がコートに腰をおろした状態でプレーするのがこの競技の特徴。そのため、ネットは低く、ボールはソフトなものを使用するため体格やジャンプ力などに関係なく、誰もが楽しめるのがメリットだ。競技中もお尻がコートから離れるのはご法度だが、プレーに力が入ると、ついつい腰が上がってしまうシーンも。お尻を着けたまま、いかにすばやく移動できるかが勝敗を分けるポイントとなっていた。

この競技を全勝で終えたのが「東京メトロ チーム」。同社のオリンピック・パラリンピック推進室を始め、広報部や人事部などからなるチームだが、「パラスポーツはみんな初体験。バレーボール経験者が何人かいたのが勝因かもしれません」と語るのは同チームの脇田さん。「ただ、熱くなると気づかないうちにお尻が上がってしまっていたのが反省点ですね。あと、レシーブやトスの際にひざが使えないのがしんどいという意見もありました」とバレーボール経験者らしいコメントを残してくれた。

コートにお尻を着いた状態でいかにすばやく動けるかが大切なため、ゲーム前に全員で練習
サーブももちろん座った状態で行う。上半身でのコントロール力が問われる!?
ネットが低く、全員が着座している以外は、基本的なゲームの流れはバレーボールと同様
ネット際の攻防も座ったままなので、和やかな雰囲気でプレー
良いプレーがあったらチーム全員でハイタッチ! これはどんな競技でも同じ
「日本郵船株式会社チーム」の応援を盛り上げていたのは、射撃で3度パラリンピックに出場した田口亜希さん(後列右)

音を聞き分ける集中力が問われるゴールボール

続いて行われたのはゴールボール。1チーム3人ずつでボールを投げたり転がしたりし、相手のゴールラインを割れば得点が入るというルールだが、アイマスクを付けた状態でプレーするため、お互い視界はゼロ。ディフェンス側はボール(ソフトボールを使用)に入っている鈴の音を頼りに全身を使ってボールを止める。一度止めたと思っても、しっかりボールを保持していないとこぼれたボールがゴールラインを割ってしまうこともあるが、何しろ目隠しをした状態のため、ボールの行方を追うことも指南の技だ。

ここでひと際鋭い投球を見せていたのが、この日「株式会社フォーチュンアイランドチーム」の一員として参加していたMICROさん。ヒップホップグループ「HOME MADE 家族」のMCであり、日本身体障がい者水泳連盟の公式テーマソング『魂 No Limit』を提供している。「これまでも体験会でパラスポーツを経験しているので、チーム唯一の経験者として知っている限りの知識をメンバーと共有しています。ゴールボールの場合、スピードのある球でディフェンスの間を抜くか、バウンドさせて体を越えるように投げるのがコツ」とエネルギッシュに語り、見事なバウンドボールで得点を量産していた。

また、「スポーツ庁チーム」の伊藤さんは、大きな体を活かしてディフェンスとして活躍。「実際にプレーする前は、目隠しした状態で競技ができるのか不安でしたが、とにかく音を頼りにボールを止めようと、集中力を高めて挑みました」と語ってくれた。

目隠しをした状態でも思い切りよくボールを転がすことが大切
ディフェンスする側は鈴の音を聞き分け、全身を使ってコースを塞ぐ
攻撃もディフェンスも自分の位置を把握することが重要。コートに貼られたタコ糸が頼りだ
応援する人たちも固唾をのんでボールの行方を見守る。声を出すことは厳禁だ
自分のチームがゴールを決めても静かにガッツポーズ!

パラスポーツの裾野を広げる体験会も

昼休みの時間には、応援に訪れた人を対象としたパラスポーツの体験会も開催。毎回、親子での参加が目立つが、この日も「株式会社NTTドコモ チーム」の応援に駆けつけていた長江さん親子がボッチャと競技用車いすを体験していた。社内でパラスポーツの推進活動をしているという長江さんは、参加メンバーを集めるためにも奔走していたが、自身は妊娠していることがわかったため、この日は応援する側に。「社内のスポーツ好きな人たちを中心に声をかけたのですが、みんな楽しんでくれているようで良かったです。誰でもできて、こんなに盛り上がれるパラスポーツを楽しむ人や、見に行く人を1人でも増やしたい」と語り、お子さんと一緒にボッチャや車いすスポーツを楽しんでいた。

競技用の車いすは少しの力で動かせるので、小さな子でも思い通りにコントロール可能
ソフトボールを使って親子でパスも体験。乗ってみるとプレーヤーの気持ちもわかるはず
ボッチャも小さな子でも楽しめるのが魅力。しっかり狙ってボールを転がす
会場には東京2020パラリンピックへの応援メッセージを集める「応援-OENフラッグ」
コーナーがあり、多くの人がメッセージを書き込んでいた
チームで記念写真を撮れるフォトブースも設置。参加の記念に1枚パチリ

誰もがヒーローになれるボッチャ

午後の競技は、ボッチャで幕を開ける。最初に投げる白いジャックボールに対して、2チームで赤と青のボールを投げ、近くに寄せられたほうが勝ちというルールだが、カーリングなどに似たゲーム性の高い駆け引きが魅力だ。体力よりも投球の正確さと戦略性が勝敗を分けるため、スポーツが得意でない人が一発逆転のスーパープレーを見せたりするのが醍醐味。最後の一球まで勝負がわからないため、応援する側も緊張感を持って楽しめる。

また、ジャックボールに近い球を投げたチームの勝ちではあるが、相手チームの一番近くにある球の内側に、いくつ自チームのボールがあるかで得点が決まる。2ゲームを行い、その総合得点で勝敗が決まるため、1ゲーム目を落としても2ゲーム目で逆転する可能性がある点も面白いところだ。相手チームの球やジャックボールを弾き出すといった戦法も認められているため、そうした駆け引きも見どころ。やる側はもちろん、見ているだけでも楽しめる競技といえる。

この競技ですばらしい投球を見せ、チームを3連勝に導いたのが「オットーボック・ジャパン株式会社チーム」で参加していた廣瀬誠さん。視覚障害者柔道の選手としてアテネからリオまで4大会連続でパラリンピックに出場しているメダリスト。視覚に障がいがあるため「自分で投げたボールの行方は見えていない」という廣瀬さんは「チームメイトからのアドバイスを頼りに投げた」と話すが、スーパースローを連発。チームは全勝の好成績で競技を終えた。「障がいの有無に関わらず一緒に楽しめるこうした運動会こそ、ダイバーシティの象徴として東京パラリンピックの後も続けてほしい」と廣瀬さんは言葉に力を込めていた。

また、ボールさえあれば、ちょっとしたスペースでも楽しめるため、社内で楽しむ企業が多いのもこの競技の特徴。この日、参加していた「株式会社アシックスチーム」も社内にボッチャのボールセットがあるとのことで、そのアドバンテージを活かして好成績を収めていた。「ボールに触ったことはありますが、試合は今日が初めてなので、勝てたのは運です」と同チームの菊田さんは謙遜するが、「野球の経験があるので、それを頼りに投げたら結構いいところに飛んでくれた」と語るように、他競技の経験を活かすこともできるようだ。

白色のジャックボールに向けてボールを投げる。投球するのは
視覚障害者柔道の廣瀬誠さん
ジャックボールに近いところに投げられたほうが勝ちとなるため、計測は厳密に行われる
戦略と正確性が問われる競技だけに、ときにはボールの近くまで行って作戦会議も
勝利チームと得点はこのように表される。写真は青チームが1点獲得して勝利
体格や障がいの有無に関係なく勝負できる競技だけに、誰もが真剣な表情に
スーパースローを決めれば敵味方関係なく大きな拍手が送られる

パスをつなぐチームワークが勝敗の決め手

続いて行われたのは、車いすバスケットボールを多くの人が楽しめるようにアレンジした車いすポートボール。通常のバスケットボールと同じ高さのゴールは、初心者は投げ入れるのが難しいため、ゴールマンがボールを受け取る形としたものだ。本来の競技では、車いすをふた漕ぎする間に1回はドリブルをしなければトラベリングになるが、この運動会ではそのルールも適用しないなど、初めての人でも楽しみやすいルールとされている。とはいえ、ボールを一人で持ってゴールに向かう場面はほとんど見られず、多くのチームがパスをつないでゴールを目指していた。

そんな中、負け無しの好成績を収めたのが「JTBグループチーム」。同グループ内の3社共同のチームで、普段の仕事でも一緒になることのないメンバーで出場したが「パラスポーツの経験がないのも同じで、初めて会うチーム員も多いからこそ結束できた」(杉浦さん)という言葉の通り、巧みなパス回しで得点につないでいた。「上肢に障がいのあるメンバーもいますし、こういう機会にスポーツを通じてコミュニケーションの仕方を学びたい。それは日常生活にも役立つことですし、共生社会を作るきっかけにもなると思います」との言葉を裏づける活躍だった。

通常のバスケットボールと同じようにティップオフでゲームがスタートする
わかりやすいルールの競技だけに、応援も盛り上がる。会場が最も熱くなる種目だ
ゴールマンがいるため、ロングシュートが結構決まるのも面白いところ
トラベリングのルールが緩和されているのでボールをひざに乗せて進むのはOK
ルーズボールの処理の上手さもゲームの中では重要なポイントとなる
「株式会社フォーチュンアイランドチーム」の一員として参加していたHOME MADE 家族・MICROさんも大きな声を出して全力でプレーしていた

スピードだけでなくチームワークも問われる車いすリレー

そして、優勝の行方を大きく左右するのが最終競技の車いすリレーだ。予選と決勝のそれぞれで順位に応じた得点が加算されるため、ここで勝利すると日本一決定戦への切符を大きく引き寄せることができる。車いすをバトン代わりに乗り換えていくため、スムーズに車いすをつなぐチームワークが求められる競技だ。コートを往復する形で競われる予選は4組にわかれて行われ、それぞれの1位が決勝に進出。この日は「株式会社朝日新聞社チーム」「株式会社アシックスチーム」「千葉県」「株式会社フォーチュンアイランドチーム」が決勝に駒を進めた。

オーバルコースを周回する形で行われる決勝戦は一番アウトコースからスタートした「千葉県チーム」が、イン側で3チームが混戦している間に大外からかぶせてトップに立つ。そして、そこからはトップを一度も渡すことなく優勝を決めた。

予選はコートを往復するかたちで行われ、決勝に進出する4チームを選出
車いすを乗り換える際のチームワークの良さは、意外とタイムに影響するもの
決勝はオーバルコースを走るため、カーブを曲がるテクニックも求められる
インコースが混雑する中、外側からかぶせた黄ゼッケンの「千葉県チーム」がトップに立つ
そのままトップを独走した「千葉県チーム」が車いすリレーでの勝利を決めた
随所でデッドヒートが展開されるので、応援する側も力が入る種目だ

日本一決定戦の切符の行方は!?

すべての競技の得点を集計した結果、車いすリレーで優勝した「千葉県チーム」と、それまでの競技で好成績を収めた「JXTGエネルギー株式会社チーム」が同点でトップに。どちらも優勝にふさわしい活躍を見せたが、日本一決定戦の切符は1枚のみ。両チームから3人ずつが参加してのジャンケンで、2勝したほうが出場権を得ることとなった。その結果、先に2連勝を収めた「JXTGエネルギー株式会社チーム」が3月の日本一決定戦に出場することに! もちろん、会場からは「千葉県チーム」にも惜しみない拍手が贈られた。

同点優勝の2チームは勝ち抜きジャンケンで日本一決定戦に進むチームを決める
2連勝を収めた「JXTGチーム」が日本一決定戦の切符を手にした

日本一決定戦の出場権は「JXTGエネルギー株式会社チーム」に!

「去年行われた運動会では3位だったので、今回は絶対優勝するという気持ちで挑みました。同点優勝だった千葉県チームの分も力に変えて日本一決定戦でも絶対優勝します!」と力強く語ってくれたのは同チームの代表を務めた中野さん。また、出場権をかけたジャンケンで勝利を決めた高岡さんは「自分の出ない競技も応援で楽しめたことが結果につながったと思います。これから練習を積んで日本一決定戦は、運ではなく実力で優勝したい」と力を込めていた。

同点でトップの成績を残した「千葉県チーム」

東京2020パラリンピックでは、ゴールボールやシッティングバレーボールの開催県でもある千葉県。県の障がい者福祉課やオリンピック・パラリンピック推進事業に関わる千葉市とも合同で編成されたチームとのことで、「普段は体験会などを運営する側ですが、実際にやる側として参加できて楽しかったです。実際に体験してみて、選手たちのスゴさを改めて感じました」と話すのは小高さん。また、平尾さんは「応援するのも楽しいですが、競技の面白さを知るにはプレーするのが一番ですね。今日は無心で楽しめました」と言葉に熱を込める。そして2人は揃って「これだけ面白い競技をぜひ本番は幕張メッセに見に来てほしい」と口をそろえていた。

≪次回記事≫
第6回 中部ブロック 1/26(土) @西尾市・西尾市総合体育館
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text by TEAM A
photo by Haruo Wanibe

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