日本財団パラリンピックサポートセンター

研ぎ澄まされた“感覚”を武器に! 敵を見ずして戦う究極の競技とは?

研ぎ澄まされた“感覚”を武器に! 敵を見ずして戦う究極の競技とは?
2019.04.16.TUE 公開
鍛え上げられた肉体と精神を武器に、息づかいさえも頼りにしながら「見えない」相手と一対一の勝負を行う極限ともいえるスポーツがある。それはパラリンピックの正式競技としても採用されている「視覚障害者柔道」だ。当然、試合を行う選手たちは全盲や弱視であるのだが、「目が見えない状態でどうやって柔道をするのか?」と思うのが自然だろう。しかし、そんな疑問は試合を観ればすぐにぶっ飛ぶ。4分間という短い試合時間の中で息をつかせぬほどに展開される、アグレッシブな技のかけあいに見る側もアドレナリンが爆発。今回はそんな視覚障害者柔道の魅力を紹介する。

開始と同時にクライマックスも! 常にダイナミックな技のかけあいに大興奮

視覚障害者柔道のルールは、通常の柔道とほどんど変わらないが、最大の特徴は、お互い組んでから試合が始まることだ。そして試合中は離れず、常に組んでいる状態で技を掛け合う。
一般の柔道は選手同士がなかなか組み合わず、観ていてじれったく思うこともあるが、このルールによって視覚障害者柔道には膠着状態が少なく、常にエキサイティングな試合展開を楽しめるのも魅力だ。
 
最初の組み方には手の位置など細かいルールがあり、自分の得意な形から始まるとは限らない。そのため、いかに自分有利の形に持ち込むかが重要になり、素早い崩し合いも見どころのひとつ。得意な形になるや放たれる、ダイナミックな柔道技の応酬は観ていて爽快感さえある。
 
そして常に組んでいるため、一本で決まる試合が多いのも見ていて面白い。残り数秒でも大逆転の一本チャンスが残されているため、選手は試合終了の合図を聞くまで諦めることもなく、観戦している側も最後までハラハラドキドキできるのだ。

“呼吸を読む” というマジックのような技術も!

「視覚に頼らず技をかけたり、相手が技を仕掛けてくるタイミングをどうやって感じているのか?」

その答えは、相手の柔道着を掴む自身の手、そして自分の柔道着を掴む相手の手から伝わってくる感覚などを元にしている、ということ。

一瞬のチャンスや危機を察知する感覚は非常に繊細で、繰り返し練習することによって養われていく。見えないからこそ、研ぎ澄まされていく感覚を最大の武器として、大外刈りや一本背負いなどの柔道技が繰り広げられるのだ。
 
もうひとつ、相手の息づかいで次の一手を読む、という仙人のような高等技術もある。呼吸を読んで動きを予測するなんて、まるで格闘技漫画の世界。そんなマジックのようなことが実際、試合中に行われているというから驚きである。


いつ勝負が決するかがわからないため、最初から最後まで目を離すことができない視覚障害者柔道。競技の魅力やルールを少しでも理解することで、その奥深い世界を知ることができ、より興味深く観戦できるだろう。4分という短い時間の中に凝縮される、日々の努力で練磨された技の数々を楽しんでほしい。
 

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Text by Jun Nakazawa(Parasapo Lab)
Photo by Getty Images Sport 
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『研ぎ澄まされた“感覚”を武器に! 敵を見ずして戦う究極の競技とは?』